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車が一歩後退して、5走でなくて2走の広将棋のチェック(長さん)

前に述べたように、荻生徂徠の広将棋は、荻生徂徠が他界してから
40~50年後に調査され、広将棋譜愚解で、ルールが記載された
ものが、現在残っている。このゲームには(イ)駒の騎総が、簡単
に序盤、相手陣に突入できる不自然が先ずある。それと、(ロ)弓
や弩類が、それぞれ存在する時点で、同類を攻撃して、獅子に関す
る特別な規則のない中将棋のように、中盤初期に相討ちになってし
まうので、弓・弩・砲・仏狼機は、有っても無くても最初から、
違いのない駒になってしまう、という問題がある。特に後者(ロ)
は、

車には、弓等射駒類の互い取りを、遮蔽して調整する機能が有るに
もかかわらず、序盤で消耗するのでその役が果たせて居無い

と言う点から発生するとみられる。そして(イ)と(ロ)は、

車の初期配列位置が1歩前過ぎなのと、動きが5走では、互い取り
が、出来すぎるため、2走程度が適切なのに、そうなっていない

という問題から来ると見られるものである。そこで、砲でも車類、
すなわち、
①車、車総、砲車、神機車は、砲では射れない。の他(ロ)対策で、

②車は縦横2走りとし、

③砲車も縦横2走りの、5路以内、跳び越え可能な射。
④神機車も縦横2走りの、7路以内、跳び越え不可能な2枚射。
以上4箇所ルールを変え、更には(イ)の対策として、

車と車総の初期位置を、全部6段目ではなくて5段目に変えて、

この将棋のチェックを行った。
 初期配列は、先手からみて左袖と中央から右袖側を、2つに分け
て示すと、車と車総の位置だけが、オリジナルとは違い、次のよう
になる。
(左側半分)
前衛,高道,軍匠,軍吏,舎餘,舎人,力士,親兵,記室
後衛,百総,口口,把総,口口,千総,口口,護兵,口旗
口象,口砲,口弩,口弓,口象,口砲,口弩,口弓,口象
騎総,口口,馬兵,口口,馬兵,口口,馬兵,口口,馬兵
車総,歩総,口車,歩兵,口車,歩兵,口車,歩兵,口車
口口,牌総,口口,口牌,口口,口牌,口口,口牌,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,牌総,口口,口牌,口口,口牌,口口,口牌,口口
車総,歩総,口車,歩兵,口車,歩兵,口車,歩兵,口車
騎総,口口,馬兵,口口,馬兵,口口,馬兵,口口,馬兵
口象,口砲,口弩,口弓,口象,口砲,口弩,口弓,口象
後衛,百総,口口,把総,口口,千総,口口,護兵,口鼓
前衛,神僧,軍匠,軍吏,舎餘,舎人,力士,親兵,記室
(中央列から右側)
口将,参謀,親兵,力士,舎人,舎餘,軍吏,軍匠,神僧,前衛
中軍,口鼓,護兵,口口,千総,口口,把総,口口,百総,後衛
仏狼,口象,口弓,口弩,口砲,口象,口弓,口弩,口砲,口象
口口,馬兵,口口,馬兵,口口,馬兵,口口,馬兵,口口,騎総
歩総,口車,歩兵,口車,歩兵,口車,歩兵,口車,歩総,車総
牌総,口口,口牌,口口,口牌,口口,口牌,口口,口牌,口口
先鋒,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
先鋒,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
牌総,口口,口牌,口口,口牌,口口,口牌,口口,口牌,口口
歩総,口車,歩兵,口車,歩兵,口車,歩兵,口車,歩総,車総
口口,馬兵,口口,馬兵,口口,馬兵,口口,馬兵,口口,騎総
仏狼,口象,口弓,口弩,口砲,口象,口弓,口弩,口砲,口象
中軍,口旗,護兵,口口,千総,口口,把総,口口,百総,後衛
口将,参謀,親兵,力士,舎人,舎餘,軍吏,軍匠,高道,前衛

エクセル画像だと、以下のようになる。

広将棋車1下初期.gif

結論から述べる。

ほぼこの変更で図星であり、前記の各変更を、広将棋譜愚解ルール
に施すと、かなりゲームが改善される。

では、ルール変更したゲームの状況を、以下に更に詳しく述べる。
 以下は、中盤の駒の取り合いが始まって、すこし進んだ局面だが、

広将棋車2走途中.gif

①騎総は相手陣を荒らす前に消えているし、
②車駒が、両軍にまだ何枚か残っている。

車が6段目に無いので、車自体が離れ駒にならないので、騎総は、
指し始めから出してみたが、大きな成果が上がらなかった。
また、車同士の取り合いが、2走では相当たりが余り起こらないの
で、これ自体が仏狼機でしか射られない特徴があるため、この少し
後に、弓、弩、砲、仏狼機を繰り出すと、有効に遮へい駒として作
用した。
 その結果、

狙い通り、弓等射駒の消耗率が、広将棋譜愚解ルールよりは減少し
て、ゲームとしては、出来の良い方向に改善

される事が判った。
 どうして、消耗率が減るのかを、より詳しく述べると次の通りで
ある。

この改善により、仏狼機の相対的な力が、砲に対して低下

した。理由は、仏狼機の射るルールが、砲と異なり、

跳び越え不可能なため

である。その結果、

7路先までの相手駒を2枚づつ射る仏狼機が、砲で撃たれやすい

という状況が生じたのである。そのため、局面が進むと、盤面に、

7路先まで射る仏狼機が無くなり、最高で砲の5路先になった。

その結果、

射る駒同士の同士討ちが、起こらないで特に砲が、すり抜けられる

ようになったのである。その結果、終盤まで少数の特に砲が残るよ
うになり、この将棋の

終盤に、多様性が発生して、ゲームの状態が良くなった。

以上のようである。
 従って、やはり、
広将棋譜愚解は、4段目以降の駒のルール、特に車のルールに問題
があり、

千葉県野田市せきやど図書館の、ルールの4段目以降が抜けている
広将棋譜愚解は、ルールの再現の不都合と、何らかの関係がある

のかもしれないと、疑われるようになった。
 とりあえず、以上のようである。その他に気がついた、この将棋
のルールに係わる点としては、成りが弱い点が挙げられる。現行知
られたルールでは、相手陣に入ると成る以外に、

①相手玉駒系を取った時に成る。
②力士、龍驤、招謡、霹靂を取った時、歩み駒が成る。
③仏狼機を取った時、馬兵が成る

がある。
が、これらだけでは成りヅラすぎる感じがある。

④1~2段目に配列されている、千総、把総、百総以外の駒は、
相手の走り駒、2回動きを繰り返す駒を取っても、成れて良い

ように思えた。元々これらの下段駒には、成りに特長があり、現行
伝わる、成りの条件に関するルールだけでは、

成り駒の動かし方のルールを覚える事自体が、徒労に近くなる

からである。
 尤も、いろいろいじると、内容がごちゃごちゃして、比較的ルー
ルの複雑なこの将棋の指し方が、益々複雑になるので、今回は、以
上の程度の指摘に、留める事にしたい。(2019/03/11)

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