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仮説普通唱導集大将棋で角行竪行横行と並んだ配列の訳(長さん)

少なくとも本ブログでは、鎌倉時代の大将棋、すなわち
本ブログの108枚制普通唱導集大将棋は、13升目
で、飛龍列がまだ無く、第3段目の袖からは、飛車・
横行・竪行・角行と配列されていると考えている。
つまり、後期大将棋で3段目が中央から、
奔王・龍王・龍馬・角行・竪行・横行・飛龍・飛車と
配列されたのは、15升目にしたため、1列不足で、
飛龍列が出来たという解釈だ。なお、中将棋で、
獅/奔、龍王、龍馬、飛車、竪行、横行としたのは、
斜め走り駒の先制攻撃が、強力すぎないように、角行を
下げて、普通唱導集の言う”飛車が無くなっただけで、
勝負が決まる”という難点を避けるつもりで、飛車と
竪行と横行の場所を交換したためとも考えている。
つまり、

奔王・龍王・龍馬・角行・竪行・横行・飛車という配列
が、オリジナルだというのが、本ブログの主張

だ。今回は、飛龍列が余分に入って、後期大将棋では
不規則化しているものの、大将棋で、角行・竪行・横行・
飛車という袖配列を、

何を考えて、デザイナーが作ったのか

を論題とする。回答を書いて、ついで説明する。

平安大将棋で、横行と奔車は、動きが不規則

で、速度ベクトルの方向はもちろんの事、加速度まで
不定な、動きをする事物を指すと、普通唱導集時代の
大将棋のデザイナーは考えた。どちらも、規則的な名称
の駒が有ると見えるように整理して、

揃って3つ組

で、駒の動かし方ルールの、判りやすい名称の駒だけに
しようとして、香車・反車・飛車の端列と、
角行・竪行・横行の3段目袖配列を作ったと考えられる。
 では、以下に説明を加える。
 諸橋徹次の大漢和辞典等にあるように、平安大将棋の
奔車は、著名な熟語であり、向かう向きだけでなくて、
加速の仕方を含めて、不規則な動きをするため”孔子も
乗り物として使用しない車の事”であるとされる。
つまり、速度のベクトル方向はもちろんの事、加速度の
ベクトルも不規則な車である。

本来このような熟語を、前後走りの駒に充てるのはおか
しい。

 他方、色葉字類抄のニ巻物(前田本)によると、横は
ヨコサ(?)マ、十巻物によると、横は、ヨコシマ(等)
の意味なので、横行とは、悪意の有る走り方、つまり
方向について単純でなく、その方向の変化も、気まぐれ
である走りの事とも取れる。つまり、顔の向きと直角に、
几帳面に走る訳でも、必ずしもないと言う事である。

本来、このような熟語を付けてしまっては、厳密には駒
のルールは決まらない。

 つまり、将棋駒の動き方のルールとして、明解性を欠
いたという点で共通な駒が、平安大将棋の2段目の中央
と端列に、ペアで存在したと言う事である。
 そこで、普通唱導集に唄われた大将棋が成立した時代
より40年位前に、大将棋のゲームデザイナーは逐次、
奔車を反車に名称変更し、飛車という著名な熟語を付け
た駒種を、新たに加えて、従来からあった香車・反車・
飛車で、車の列を作って、大陸のチャンギやシャンチー
と、象は無いものの、桂馬の馬と香車の車で形式を揃え
た。そうした上で、今度は横行に関して、整理を試みた
とみられる。時代はモンゴル帝国の来襲間近で、玉将の
前升目に、釈迦としての太子に成る、酔象を配置する機
は熟していた。そこで、横行を袖に移動させて2枚化し
て、対比駒として横行から竪行を派生させ、更に角行を
派生させて、飛車の横に、車列に合わせて3つ揃えで置
いて、竪と角との言葉の対比で、横行のルールを明確化
させた。13升目96枚制になったとみられる、西暦
1260年タイプの大将棋作成のデザイナーは、左右計
6対6で、駒バランスが取れたと、この時点では満足した
ことだろう。
 こうして、動かし方のルールに見合った、名称の駒だ
けに、揃えたつもりだったのであろう。なお以前に述べ
たが、この時点で、当時の中国語学者では無かったので、
ゲームデザイナーには、横行する人間を指す、今の我々
の横行に関する語彙の知識は恐らく無かったとみられる。
 ようするに、3つ揃えにするには、平安大将棋の自陣
3段配列を4段に増やす必要が、車列、行駒並びについ
て、どちらにしても必要だったし、行駒並びについては、
袖に寄せる必要もあったのであろう。それはそのとき
奔王に変化した、奔横を発明した事で、西暦1230年
には、4段化の路が既に開かれていた。
 そして空いてしまう升目には、蒙古来襲対応のために、
龍駒を作り、龍王と龍馬は、龍駒は龍の頭や蛇のような
体の形から、駒の動かし方ルールを、名称の影絵に見立
てて4方走りに、できる”根拠”があった。かつ、”王”
や”馬”という字で2字駒にしたので、玉将の動きや、
金将の動きをひっかける事ができたので、本来行けない
残りの4方向を、歩みに出来た。
 以上をまとめた結果、新たに出来た3段目走り駒列の
駒を、8方走り、4方走り4方歩み、4方走り4方歩み、
4方走り、2方走り2方歩み、2方走り2方歩み、4方
走りと規則的に並べる事もできた。以上により、3段目
の配列が、きれいな形で、確定もしたという事である。
 つまり、たまたまだったが、

平安大将棋のデザイナーが、動きがめちゃくちゃという
意味で共通性のある、横行と奔車を作っており、

香車は元から有った事が、3種類の行駒が3段目袖に置
かれる事を、決定付けたと、本ブログでははっきり推定
する。つまり実際には、現存する史料が有るかと言う意
味での証拠は、ほとんど見つかって居無いのだが、

飛龍列こそが、後から出来たものに間違いない

という事である。(2019/04/12)

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