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川西奔横駒は十巻物伊呂波字類抄成立1135年以前か(長さん)

徳島県の徳島市の近郊川西遺跡より出土した、奔横
(異説有り)とみられる駒を、少なくとも本ブログ
では、西暦1260年以前に奔王駒に変化終了した
駒と見ている。
 しかしながら、該遺跡の年代は、遺跡の発掘報告
等から察して、たとえば西暦1200年~1275
年程度の間でしか、今の所成立年代を絞り込めて
居無いと、私は認識する。
つまり、未だ

西暦1260年以降、西暦1275年頃までは存在
し得る駒

だと言う事である。この期間に奔横駒が存在し得る
としてしまうと、横行が移動した後に、奔横駒が、
何らかの別かもしれない将棋の何処か、別の初期配
列の場所に有るのかも知れないか、または、
成書の”将棋の歴史”等で増川宏一氏が書いている
ように”単なる奔王のあて字”と言う事になってし
まい、本ブログにとっては、かなり都合が悪い。
 そこで今回は、二巻物色葉字類抄と、
十巻物伊呂波字類抄の”横”という漢字の記載内容
の僅かな差に着目し、より年代を絞り込んで、
下限(早い)はそのまま(西暦1200年)として、
上限(遅い)に関して、

奔横駒は、西暦1235年以降は存在しない

とみられる事を、説明する。
 差が何なのか、先に書いてしまおう。

十巻物の伊呂波字類抄にだけ、横に”ヨコタハル”
と書いてある

のに着目する。つまり、水平方向に向きが限定され
た観が強まるのは、十巻物が成立したと言われる、
鎌倉時代前期、つまり西暦1235年程度以降であ
ろうという論法である。
 では、以下に詳しく述べる。
 最初に記載事実を述べる。
まず三巻物は”よ”が欠巻なため、議論できない。
二巻物の色葉字類抄で横は、”ヨコサマ”である。
十巻物の伊呂波字類抄で横は”ヨコシマ、と、
ヨコタハル”である。
ただし、二巻物の色葉字類抄の横は、西暦1164
年頃迄に成立したとみられ、十巻物の伊呂波字類抄
の横の漢字の意味は、西暦1235年に成立したと、
本ブログでは解釈する。
 つまり、逆さまの類似語と見られる”ヨコサマ”
は、”アウトローな向き”の意味が強いとみられ、

目線に対して直角な意味が、比較的強いものの、
不定な向きとの意味を、西暦1235年までは含蓄
していた

のではないかと、本ブログでは考える。それに対し
て、十巻物の伊呂波字類抄で、事実上意味がいっしょ
のヨコシマに加えて、

”ヨコタハル”が加わってきたので、目線に対して
直角な意味である、現在の横のイメージが強まった

とも見る。むろん、平安時代後期に、”ヨコタワル”
が、全く無いとは言わない。枕草子や源氏物語には、
少しは”ヨコタワル”が使われていたらしいからだ。
 しかし、ここで言っているのは、鎌倉時代前期の、
西暦1235年までは、”ヨコタハル”よりも横と
漢字を書くと、”ヨコサマ”の方が、使われる頻度
が、高かったろうと言う意味である。
そして、何れにしても、

奔横という駒名を作ったときには、不定な向きと、
横が取れたほうが、すっきりした名称だったはず

だ。横へ動くが更に、”その動きが激しい”では、
横行と、何が違うのかが、駒名を見ただけでは判然
としないからである。
 横は、どちらかと言えば目線に対して直角な意味
が、比較的強いので、横行のときには目線に対して
直角に動く意味だが、奔を付けると、比較的不定な
向きとの意味の要素が強まると、将棋棋士に解釈し
て貰えれば、意思が伝わったという事に、恐らくなっ
たのではないか。つまり、

横の意味として、西暦1235年程度に成立した、
十巻物の伊呂波字類抄の”ヨコタハル”は、無い方
が良い

という事になるように、私には思えるのである。
 結局の所、そうすると、

奔横という将棋駒の名称が存在した時代には、十巻
物伊呂波字類抄が無かったのではないか

と、私には疑われるようになった。
 つまり、川西遺跡の少なくとも将棋駒が出土した
地点の年代は、共出土遺物等から今の所、
西暦1200年から西暦1275年程度にしか、
絞り込めないようだとても、奔横の意味が、そのよ
うな駒を作っても、今の我々の感覚のように、意味
不明にならないように、するという制限から、

西暦1200年~1235年の間と、より狭める事
も、ひょっとしたら可能なのではないのか。

以上のように、色葉字類抄の”よ”の”横”を見て
から、私は思うようになったという訳である。だか
ら将棋史家は、複数の意味で”横”を疎かにはでき
ないようだ。なお更に後に、横に関しては、
横行が熟語として、鎌倉末期に日本でも普及した。
 結果、西暦1235年までは、アウトロー方向。
西暦1290年までは”横たわるの横”。それ以降
は、日葡辞書にも有る、”横行は、生活や身持ちの、
乱れた人”に意味が、近くなって行ったと見られる。
(2019/04/21)

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