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鎌倉中期(1260)塵袋には横笛の”横”が記載(長さん)

前に、横という漢字の意味は、将棋駒の奔横、横行
のルールの変遷や、衰退に影響し、西暦1235年
までは、アウトローな向き、1290年までは、
横たわるの横、それ以降、生活や身持ちの乱れた人
を横行が指すようになったようだと、本ブログでは
述べた。
 これらはそれぞれ、二巻物色葉字類抄、十巻物
伊呂波字類抄、日葡辞書が根拠だった。
 ところで、だいたい西暦1235年成立の伊呂波
字類抄と西暦1603年前後成立の日葡辞書の間に、
西暦1260年頃に成立したとみられる、塵袋があ
る。今回は、西暦1260年頃の大将棋の横行の袖
移行に対応するとみられる、塵袋の”横”の使い方
を議論する。結論を書く。

”ヨコザマ”という言葉を”視線に対して直角”と
いう意味で、横笛の説明で使っている。が二巻物の
色葉字類抄のパターンに、字の上では戻ってしまい、
”横たわる”が、今の所見つからない。

では、以下に説明を加える。
 まず横とか横行といった見出し名は、

塵袋には見当たらない。

横は別の語句の説明で、相手に伝わるのを当たり前
と考えて、著作者が使っている熟語として出現して
いる。場所は、

”吹(く)”が項目名で、塵袋第七”仏事、宝貨、
衣服、管弦”のNo.46

である。東洋文庫(平凡社・2004)、塵袋2、
校注者:大西晴隆等では、2の67ページに記載さ
れている。
 訳が下手で申し訳ないが、ざっと訳すと。”(問)
一つ。律書音図で、笛を横吹というのは、よこざま
に持つという意味か。
(回答)その通りである。但し礼記によれば、横吹
は普通に、笛を吹くという意味に過ぎない。それが
端緒で、”吹”という字が、笛の意味に充てられた
という事である。なので、横笛という熟語も、同じ
意味だとみられる。”
となるかと思う。
 問いの”よこざま”は、”よこさま”と実質同じ
字を書いたつもりとみられ、西暦1260年前後の
塵袋も西暦1165年頃成立の、二巻物色葉字類抄
の横と、

実質同じ読みをしている。

ニ巻物色葉字類抄の”よこさま”をアウトローな向
きと、現代語訳したのは、本ブログの管理人なので、

差の正確な所は、良く判らない

と結論できる。情報量が少なく、残念な結果だ。

横笛の持つ向きが、視線直角なのが明らかだから、
塵袋の”よこざま”に、”方向に関して不規則性が
有るという証拠が、簡単には見つからないようだ”

というだけの事である。つまり、

西暦1260年の大将棋で、将棋駒の横行を、竪行
と角行と3つ組にして、袖に移動する事はできない
とする、積極的な証拠は、少なくとも見つからない

というだけが、今の所結論できるとみられる。
 つまり、アウトローな向きのうち、視線直角以外
の向きを示すニュアンスは、西暦1260年の横に
は、無くなってはきたような、

漠然とした感触は、その時点の辞書:塵袋には有る

という程度の事だと、ここでは結論する。
 なお、浄土真宗開祖の親鸞が西暦1255年前後
までには著作した教行信証ないし愚禿鈔(?)で、
横を訓読みで”よこ”と読む仏語が始めて発生した
との、未確認情報が”角川古語大辞典 第5巻”等
にある模様だ。更に調べる事にする。(2019/04/26)

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