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麒麟と鳳凰の駒ルール。江戸時代記録は信用できない(長さん)

今でこそ、佐藤敬商店が中将棋の6000円のセット
を出し、故大山康晴永世名人等の筆で、中将棋の棋譜
を開示しているので、中将棋の駒の動かし方ルールは、
比較的安定して残っているかに見える。概ねそうだが、
本ブログで前に指摘したように、

麒麟と鳳凰の”飛龍に似ない”ルールは、江戸時代の
百科辞典の中将棋のルールの記載で、反映されている
とは限らない。

個人的には、東洋文庫本として、現代語で簡単に読め
る和漢三才図絵の、麒麟、鳳凰ルールのフレが、

社会的には、最も厄介な問題

だと思っている。麒麟の縦横と鳳凰の斜めが、東洋文
庫本和漢三才図絵では、2升目まで走りになっている
のである。今回は、こうした現状を、どう説明するの
かを問題とする。結論から書く。

専門書を見れば良いという結論には、ならない。

江戸時代の将棋書は総じて中将棋に関して衰退期に
書かれていて、

末期的なフレがある

と考えるべき。
以上が結論であり、以下に説明する。
 状況として、私が知る限り、麒麟と鳳凰のルールが、
佐藤敬商店版”中将棋の指し方”や、中将棋連盟ホー
ムページと整合しているのは、江戸時代本では

中将棋指南抄位

である。和漢三才図絵は冒頭に説明した通りおかしい。

中将棋麒麟.gif

将棋図式(松浦大六氏所蔵)には、シャンチーの象型
に読み取れるように書いてある。中将棋絹篩には、
”合い駒が利かない”程度しか、注意書きが無い。
故大山康晴永世名人は、中将棋の麒麟・鳳凰に関して
は、ざっとみると水無瀬兼成の、将棋纂図部類抄に合
わせているのであろう。なお、どちらも中将棋の専門
書と言えるので、

中将棋絹篩と中将棋指南抄では、同格だ。

将棋纂図部類抄に権威が無かったら、中将棋の麒麟と
鳳凰の駒の動かし方ルールには、現代ではフレが生じ
ていた事だろう。
 以上の結果から概ね中将棋は、江戸中期以降には、
普通の日本将棋に押されて、世継ぎが絶えて皇族が、
跡目を継いだりした公家が、玉将の有る中将棋を指さ
なくなると、中国シャンチー等の文化の流入もあって
それらと溶け合い、どちらかと言うと”西洋チェス
の香りが元々はした”との旨、日葡辞書に出ている

日本の中世的な中将棋では、次第に無くなってきた

と、認識した方が良いように私は思う。よって、
江戸時代の将棋の専門書だからと言っても、棋譜
を全くチェックしないで、字面でルールを書いている
ルール書を標準にしては危ないと、見た方が良いので
はないかと私は思う。つまり、信用してよいのは、
水無瀬家という公家の家の者で、自身が将棋の棋士の
家系の子孫でもある、

水無瀬兼成からの情報程度

と、他人に伝えた方が良いのかもしれない。つまり、
和漢三才図絵等、江戸時代の史料のルールは、一般に
判りやすいが

中将棋が、やや衰え始めた江戸時代のものなので、
何から何まで信用するのは良くない。

以上の主旨の情報を、web等上では流すべきだと言
う事かと、私には結論される。(2019/06/02)

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