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モンゴル密偵対応龍王無狛犬後期大将棋のゲーム性確認(長さん)

以前に、後期大将棋の龍王と奔王の位置に、左か
ら獅子、狛犬、奔王と入れ、猫叉を取り除いて、
盲虎を平安大将棋の猛虎に変えた将棋は、西暦
1323年時点で、モンゴル帝国降伏の呪術的
意味が、ほぼ無いゲームであるとの旨を述べた。
そこで今回は、このゲームの性能の良否を実際に、
1局だけだが、指してチェックしたので報告する。
 この将棋は以下の写真のような初期配列となる。
なお、成りのルールは、水無瀬兼成の将棋纂図部
類抄と同じとした。つまり酔象、麒麟、鳳凰以外
不成りであり、この3枚だけ、敵陣5段目で中将
棋のパターンで成るとした。

新安沖大将棋.gif

結論を述べると、

盲虎を猛虎に戻した効果が大きく、攻めが守りに
対して強すぎ

との結果となった。
 では、以下にもう少し詳しく述べる。
 この1局だけの将棋では、手前側が、無理奔王
端攻め戦術、向こう側の後手が、普通唱導集の、
唱導唄戦術で攻め合う作戦とした。
 結果は以下のように、手前方が一応勝ったが、
後手の方が中盤はむしろ、押していた。

新安沖大将詰.gif

すなわち、

普通唱導集の第1節の戦法はこの将棋にも使える

事が判った。むしろ、右桂馬と仲人がかみ合わな
いため、

対策に有効なものが無く、攻め合うだけの点で、
普通唱導集の第2節とは合わず、この将棋も、
普通唱導集の唱導唄と、全体としては合って居無
い事が判った。

そして、後期大将棋と、この”龍王と猫叉を除い
た後期大将棋”の差は、

猫叉で、猛牛に繋ぎが出来ない事

である。そのため、普通唱導集の大将棋流の角と
馬による、タスキがけの端攻め作戦をかわすのは、
この将棋でも、実は難しくなる。
 そこで、奔王を無理やり手数を掛けて、左端の
最下段に移動させてから、相手右辺の端を攻める、

普通唱導集の作戦では無い、後期大将棋の攻めに
特有の戦術で攻め合う作戦

を、手前、先手側に取らせると、後手より大きく
遅れて、中盤は手前先手側が、かなり押された。
それでも勝てたのは、後手が気を抜いて、麒麟の
繰り出しが遅れたから、だけであった。
 また、陣の強さについては、

虎が、盲虎の前方以外の七方歩みで無くて、斜め
4方向歩みである事が、圧倒的に効いた。

つまり、崩れやすい陣に、典型的な後期大将棋の
陣から、大きく変化した。そのため、

攻めの方が、守りに比べて、はっきりと偏りすぎ
ているゲーム

と結論できた。
 前方以外の七方歩み盲虎にしていたとしたら、
ほぼ、バランスが取れていたのかもしれないが。
奔王は、その分左端下隅へ、移動しやすくなった
だろう。壁駒として、また猛牛の繋ぎ駒として、
猫叉はやはり、後期大将棋系の将棋の場合、ほし
い所か。
 何れにしても、

神奈川県鎌倉市今小路西鎌倉市福祉センター遺跡
出土の中将棋木札に、いみじくも示されているよ
うに、”万うこ(盲虎・猛虎)”の駒の動かし方
のルール調整が、大将棋や中将棋の陣囲いの強さ
の調節で、いかに大切なゲームルールの調整ポイ
ントになるかが、はっきりと示された良い例

のように、私には、この将棋を試してみて思い知
らされたように思った。
 何れにしても、このバージョンのゲームは、存
在したとしても、短命であったはずだ。新安沖
沈没船の中で、たまたま思いついて指され、それっ
きりだった可能性さえ、有るのだろう。(2019/07/12)

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