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後期大将棋を西暦1225年~75年間不完全性我慢か(長さん)

通説では、少なくとも二中歴の示した平安大将棋が成立
してさほど経たないうちに、徳島県川西遺跡の時代頃、
後期大将棋が成立。普通唱導集で唄われたとされる。
 しかしながら、神奈川県鎌倉市の、
今小路西鎌倉市福祉センター遺跡中将棋木札にさいきん

狛犬が記載されているのが、

よみがえる中世3武士の都鎌倉(1989)にて、発覚
した。その結果、鎌倉時代の後期に、狛犬を含む
摩訶大大将棋が、成立しているのかの検証を待たずに、

獅子と狛犬と恐らく、金剛と力士と、および、夜叉、
鳩槃、羅刹のうちの2枚程度は、容易に導入できると
いう理由で不自然

と考えられるようになってきた。
 すなわち、
元々、これらの駒を後期大将棋に更に導入した方が、
ゲーム性能が上がるのに、西暦1225年から西暦

1300年の75年間、我慢して、130枚制の将棋を、
15升目を標準的な将棋盤を使用して、指していたと
すれば不自然

という意味である。
 今回は、以上のような論旨について、以下にもう少し
詳しく述べる。
 重要な点は、

15升目130枚制の後期大将棋は、酔象、盲虎、銅将、
猛豹で作られる、玉の囲いがとても堅いので、現行の駒
構成では、攻撃力に比べて、防御が強すぎ

と考えられるという点である。
 これは、

たとえば、もう14枚、攻撃性の強い駒を加えて、配列
を変えれば、10年20年、苦しまなくても直る。 

たとえば、以下のように摩訶不思議大大将棋に有るか、
その類の、狛犬、金剛、力士、夜叉、羅刹、横龍を加え、
踊りと成り金の範囲のルールを有る程度、調節するだけ
だと考えられる。

攻守バランスの取れる15升目後期大将棋ゲーム(144枚制):
口口口口口口口口仲人口口口口口口口口口口仲人口口口口口口口口
歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
飛車横行堅行横龍龍馬龍王獅子奔王狛犬龍王龍馬横龍堅行横行飛車
口口飛龍猛牛角行羅刹力士麒麟口口鳳凰金剛夜叉角行猛牛飛龍口口
反車口口猫刃嗔猪猛豹悪狼盲虎酔象盲虎悪狼猛豹嗔猪猫刃口口反車
香車土将石将鉄将銅将銀将金将玉将金将銀将銅将鉄将石将土将香車

なお、上記配列で、泰将棋の横龍ではなくて、摩訶大大
将棋の横飛にした場合は、土将よりも桂馬の方が良いと
みられる。また、夜叉の駒の動かし方ルールは、たぶん
だが、水無瀬兼成の将棋纂図部類抄の泰将棋の夜叉では
なくて、摩訶大大将棋の夜叉の斜め2升目踊り、前方一
歩の方が、このケースは良いと見られる。
 何れにしても現在では、
今小路西鎌倉市福祉センター遺跡中将棋木札の、
西暦1350年成立の狛犬の存在が、概ね確定している
ので、獅子と狛犬の対、金剛と力士の対を考え出すのは、
前にも本ブログで述べたが、鎌倉時代末期頃までには、
可能だったのではないかと、かなりの程度疑われる。
 すなわち安土桃山時代の水無瀬兼成の将棋纂図部類抄
には、ゲーム性の劣る後期大将棋と、改良の材料として
自明な摩訶大大将棋の情報が、材料だけ記載されていて、

鎌倉時代中期に、15升目130枚制の後期大将棋を
標準的に指していたとしたら、当然あるべき、問題点の
改善の跡が、何故か見当たらないという状況だ

という事である。
 なお、”本ブログの言うようにするというのは、
144枚では130枚より、複雑になるのだから、その
ような改良はするはずはない”という主張は、

成り立たない。

第一に、①144枚と130枚の差は、14枚と1割強
でしか無い事。

第二に、②144枚という数は、72枚の2倍であって、
72候の陰陽道の意味と合致している

という点が、指摘できるからである。
 すなわち、実際に15升目の後期大将棋が、鎌倉時代
の大将棋の標準だったとすれば、有る程度、ゲーム性の
高い144枚モデル等が、文献に残って、

92枚制の中将棋よりも煩雑さで負けて、指されて居無
いという話なら整合するが、実際にはそうなって居無い

のである。これは、

中将棋を作ったついでに、アバウトに後期大将棋は作っ
た、だけだと考えると、状況と旨く合う

のである。なぜなら、材料が目の前にあるにも係わらず、
使って居無いという事は、やる気の有る無しの問題だか
らである。
 いままで一般に、錯覚してしまっていた事柄とは、

”13升目の将棋に比べて、15升目の良い将棋をデザ
インするのは、現実として例が無いため、相当たいへん
だろう”と、実は間違って決め付けていた

という事ではなかろうか。近々チェックしてみようと思
うが、

大きな差は、実際には無いのでは

と、私は思う。
 だから、12升目の中将棋の親は、その升目数前後で
それに近い、

13升目の平安大将棋型で、恐らく68枚制~108枚
制の間で推移したものを12升目92枚制にまとめた物。

以上のように、推定するのが、神奈川県鎌倉市の

今小路西鎌倉市福祉センター遺跡中将棋木札の狛犬が
検出された現在では、充分に自然だ

と考えられるようになったのである。(2019/07/13)

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