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八方桂型インド二人制古チャトランガは先手有利(長さん)

欧米の遊戯史界で、現在は、インド2人
制古チャトランガは、下段が飛龍、八方桂、
飛車、玉将、大臣、飛車、八方桂、飛龍
動きだというのが、定説だろう。実際に
指してみると、八方桂が序盤に活躍するし、
兵が、相手の駒を取る時2方向のポーンな
ため、働きが日本の将棋の歩兵に比べて
大きく、いかにも、旨く行っていそうに、

序盤だけ見える。

しかし、馬が強いので、玉将、大臣、飛車
の配列は、イスラムシャトランジの、
飛車、八方桂、飛龍、玉将、猫叉、飛龍、
八方桂、飛車の、象/車逆転配列よりも、

王手飛車を食いやすい。

1300年以上も前のゲームにしては、
いっけんマトモだが、本当に王手飛車が
簡単にできるゲームが、古代インドで指さ
れたのかどうか、若干の疑念も有る。
 ただし、以前の例では、後手が悪手を
指した場合に、序盤で先手から王手飛車を
喰らった場合であった。実際には序盤の悪
手は、何回か経験すると、指さなくなると
考えられる。そこで、今回は、もっと良い
例が無いかどうか、探してみた。
 結論を書く。

先手が飛龍を、盤面中央ではなくて、端で
切る手の方が、より判り易すそうである。

この例から、

日本の将棋のように、インドの2人制古
チャトランガも、馬が桂馬だったのではな
いかと、より強く本ブログの管理人には疑
われ出した。

では、説明を続ける。
 インドで西暦600年から775年まで
は、少なくとも指されたとみられる、象が
飛車動きの、初期インド2人制古チャトラ
ンガの馬が桂馬であるか、八方桂であるか
どうかは、

日本の将棋、特に平安小将棋系のゲームの
系統樹上の、位置付けを決定するのに重要

である。つまり、弧立型(八方桂の場合)
か、生きている化石類としてのインド古形
型(桂馬の場合)かを決める、分かれ目に
なるからである。つまり、玉と金将の他に、
もう一種類、最下段に動きが両者で、共通
の駒種が、あった方が良いという意味であ
る。そこで、初期インド2人制古チャトラ
ンガの駒構成については、入念に検討する
事が、特に日本の将棋史家にとって重要と
考えられる。
 そこで、もっと判りやすい、インド2人
制古チャトランガの序盤の王手飛車局面を
探したところ、以下のような例を見出した。
 以下の局面は、以前示した陣形に似てい
るが、以前の陣形とは袖のポーンが更に、
上がっている点で違っている。すなわち、

以前の陣形から、仕掛けずに、もう少し、
先後手同形に、互いに駒を組んだ所である。

2人制チャトランガ仕掛2.gif

 ここから、先手が先攻めするのだが、
前と違って、左飛龍は陣の中央で捨てずに、
端筋の方で捨てる。
 すなわち、上の図のエクセル記号のまま
で、着手を表すと、以下のように表現され
る。
 ▲B4ポーン△(A3から)B4同ポー
ン、▲A4飛龍、△(B3から)A4同ポー
ン、▲(A5から)B4ポーン、△A1右
の飛龍、▲C6八方桂馬、△G5ポーン、
▲B3ポーン△(C2から)B3同ポーン、
▲E5八方桂馬、△(G5から)H6ポー
ン、▲B4八方桂馬で、以下の局面になり、
王手飛車が成立する。

2人制チャトランガ成立2.gif

 ここでも厳密に言うと、後手は悪手を
指している。すなわち先手の、端の捌きに
関して、

相手にしないという方法がある

のである。
 本当なら、先手の手を、後手は完全に、
マネた方が良かったに違いない。しかし、
強いられて、マネ将棋を指した場合には、
たいがい先攻め側が、勝つ場合が多い。

以上の例から見て、このゲームは、先手
がかなり、有利なのではいかと、私は疑う

ようになった。
 1300年前とはいえ、インドでは、序
盤の駒の捌きは、確かに華麗とはいえ、

本当に、極端に先攻め側が有利な将棋を、
指していたのだろうか

という疑問は、少なくとも無視は、し得な
いように思う。
 1300年も前の事だからと言ってしま
えばそれまでだが。やはり、

インドの2人制古チャトランガの馬駒は、
序盤に大駒の交換が余り起こらない、桂馬
型だった疑いも、欧米の研究者の現行の多
くとは違って、無視は、し得ないのではな
いのか。

以上のようにして、日本の将棋が、シーラ
カンスのように、古代の記憶を残したゲー
ムである可能性は、全く無いとまでは言え
ないような気が、私には以前に増して、か
なり強く、するようになって来たのである。
(2019/09/11)

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