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”桂馬香車歩兵”習書木簡大宰府条坊遺跡出土の訳(長さん)

西暦1996年頃に、大宰府で出土した、表題
の習書木簡は、12世紀に将棋が普及していた
事、香車が当然有った事を証明する遺物として
有名である。

しかし、これだけの情報から、詳しい意味を
割り出すのは困難

だ。が、ここでは敢えて、それを論題とする。
つまり、この習書木簡は、

何のために作られたのかを今回は論題にしよう。

以下の論じるが結論を述べると次の通りである。

将棋駒を書くのではなく、”大宰府は、桂馬、
香車、歩兵の名の発祥地”という、旅人が旅先
で購入する”みやげ物”の記念木札などの類に
書く字の、試書きをしたもの

であると考えられる。
 では、論を続ける。
 この木簡の特徴は、習字しないと駒字が書け
ないとは思えない、達筆な人物の書であるとい
う点である。
つまり、作駒の為、

駒字の練習をしようとしているのにしては、
その点にやや、おかしい所がある。

内容は、玉将から始まって、歩兵で終わる字を
1字づつ書いたというのが、素直な解釈だが。
別の人間かもしれないが、その後

桂馬、香車、歩兵の部分だけを、割って残した
が、最終的には処分された

ようにも見えるという特徴がある。
 そこで思い出されるのが、伝来元国とここで
は推定する大理国から、将棋が博多に伝来した
とき、玉将、金将、銀将、馬、車、兵だった、
はずだという事である。
 奇しくもだが、この論だと、出土している
木簡は、

日本人作の駒名だけを集めたもの

という特徴がある。
 つまり歩兵は単純に兵の動きからだとしても、
桂馬と香車は、後一条天皇用の玩具用の豪華絢
爛進上品が、大鏡の記載から察するに、桂皮で
芳香が漂っていた事に因んだ、大宰府での命名
だったというのが、経緯の内容であり、
観光案内で、語り草を述べた記念品に書くと
良いと見られるフレーズ、

”桂馬、香車、歩兵、発祥の地。大宰府”

の一部であると、言う事になる。なお、玉将、
金将、銀将が2文字で、馬、車、兵を1文字と
いう、伝来時の状態のままにしなかったのは、
前3者を経帙牌に書いて、将棋駒として使用
してみると、駒の向きが把握しやすいという
長所があるのに、日本人棋士が気がついたから
であろう。そのため残りの馬、車、兵、特に車
を重点的に、2文字化しようとしたというのが
理由だというのが、本ブログの見方である。
 また今述べたように文字数が元々はバラバラ
なのは、字書き駒で伝来したのではなくて、
元々伝来元は、その意味の駒名を、字は書いて
いない駒に付けていたのであり、立体駒で伝来
した事を、意味していると考えるのである。
 その際、馬は桂馬でも天馬でも良く、車は
香車でも輜車でも、機能上はどれでも良かった
ので、

権威のある人物による、固定化(チョイス)が
必要

だったのであろう。
 最近になって、本ブログの管理人は、それが

西暦1020年一年ぽっきりの、大宰府長官、
藤原行成その人だった

のではないかと、疑うようになった。
 以前に述べた通り、彼は刀伊の入寇の立役者
で知られる藤原隆家の後任として大宰府に下り、

将棋駒の書き方の指導を、博多の駒師にした疑
いの強い人物

だ。しかし、書体を決めるには、そもそも駒名
が決まってないと、藤原行成には指導が出来な
い。恐らく、大宰府の将棋場で指されているう
ちに、馬と車と兵の名前が決まり、
周文裔が1020年に博多に来たとき頃に、一
例では彼が持参した、将棋駒の量産をするため
の500枚は有ったであろう経帙牌に、書く文
字内容自体は、概ね決定済みだったのだろう。
 だが、実際に能筆家の藤原行成が、その字を
書くと、

書体まで含めて、大宰府長官の提案で決まり

に、話が変化した。その結果、以降

こんにちまで、ほぼ不変に近い状態

になったのではあるまいか。
 そのような状況で、100年位経ったときに、
その和製の駒名を木簡に書いて、旅人に”記念
の地の土産”として売る者が、大宰府に現われ
ても、余り不思議は無いような気が私にはする。
 藤原行成ほどではないにしろ、その土産の
将棋駒名等を書いた木簡の書体は、有る程度の
ものである必要が、当然有ったに違いない。
 だから実際に、比較的整った字で、

桂馬、香車、歩兵の部分が残された木簡が、
出土したとも考えられはしまいか。

だとすると、この遺物は、桂馬、香車、歩兵の
駒名が、

大宰府で出来た事を示す、貴重品。

以上のような性質のものでは、絶対ないとまで
は言えないのだろう。ともあれ、この遺物1つ
では、今述べた仮説は、弱い物である。
 しかし今後、同じような遺物が仮に、福岡県
大宰府市で複数発見・発掘されたら、

その最初の一枚だったと、結論せざるを得ない

のではないか。以上のように、私はさいきん、
考えるようになったのである。(2019/10/02)

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