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佐伯真一氏普通唱導集大将棋第2節陣は深謀遠慮(長さん)

普通唱導集の唱導唄のうち、大将棋の第2節の
”守り陣”については、本ブログの自陣4段
モデルより前に、最初の注目者の佐伯真一氏に
よる、後期大将棋の陣を前提とした、駒組図が
知られている。
歩兵、空升
竪行、桂馬
嗔猪、仲人
空升、歩兵、歩兵(5段目)
という主旨である。

今回は、この説に対する、本ブログの見解を
述べる。

なお、上記配列は、2018年度に解散した
遊戯史学会の会報”遊戯史研究”の第5号
西暦1993年や、三元社が2002年に発行
した、”日本文化としての将棋”等に出ている。
ちなみに本ブログの論では、麒麟側でなくて、
鳳凰側に陣を作るので、この鏡像となる。
 見解に対する答を書く。
 この陣形を、15升目自陣5段配列の後期大
将棋で、鳳凰側に作るとすれば、わざと相手の
斜め走り駒を、消耗させるのが狙いの深謀遠慮
の陣となる。よって、
”仲人嗔猪が腹を合わせ桂馬を昇せて支え得る”
のではなくて、
”仲人嗔猪が腹を合わせ桂馬を昇せて

騙し得る(撹乱する事が出来る)”

と、唱導唄は表現されるはずで、やはり

合って居無い。

 では、論を続ける。
 この陣の特徴は、この将棋が後期大将棋だと
すると、攻め側相手陣反対側の左辺から、龍馬
が筋代えしなくても、袖攻撃が出来るように、

いっけん、相手のお手伝いをしている

という点に、特徴がある。
 そして龍馬2枚を、桂馬と竪行と交換すると、
守り側は仲人を上げざるを得ず、

角行で、素抜きになると考えられる

からである。だから、

元々、この手数の多い中間陣は、守ろうとして
いるのではなくて、相手にわざと攻めさせて、

斜め走り駒を、消耗させようとしている

と、取れるのである。
 そもそも、
後期大将棋では、こうして横行頭を破って、成
麒麟を突入させても、銅将、猛豹の作る”柱状
の陣”等、玉周りの囲いが初期配列で強すぎて、
相手陣は破れない。
 だから、そうした作戦は考えられないのだが、

わざと、お手伝いして、無駄な攻撃を相手に誘
う”囮の陣形”

と取る事が一応出来ると、私は考える。
守り側は、守り切った後で、温存した龍馬、角
行を、相手の玉将周りの守り駒を倒すのに使い、
なんとか、引き分けではなくて、己の勝ちとし
ようという、気持ちの見える作戦と言える。
 だから、これで”支え得る”のが目的では無
くて、むしろ

”騙し消耗させる陣立て”と、言うべきではな
いか。

 よって、佐伯氏の本ブログに先行する、普通
唱導集大将棋の唱導唄、”大将棋”第2節
”仲人嗔猪が腹を合わせ桂馬を昇せて支え得る”
と、佐伯真一氏の西暦1993年の布陣とは、

合って居無い

のではないかと、私は疑うのである。
 ”これだけの情報から、正確な所を推測する
のは難しい”との、現在の将棋史会の空気は、
いっけん尤もらしいが。普通唱導集という

史料に合わせるのは、意外に難しく、ゲーム内
容が、実際にはかなり絞り込める情報が、たま
たまだったのだろうが、普通唱導集には記載さ
れている

と言うのが、私の今の心象である。(2019/10/24)

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