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唐代伝奇集”くらやみの碁”の囲碁の棋譜表現(長さん)

以前に、囲碁の石の置き方の形を表現する
囲碁の用語が、中国古代から中世、日本の
古代に天体観測が盛んな時代、中国星座を
把握するための専門的知識として、転用さ
れたとの”仮説”を本ブログで述べた。
 具体的に、中国たとえば唐代の、囲碁ゲー
ムでの、布石の表現方法については、表題
のように、

北宋の太平広記に記載のある、唐代の伝奇
集の中の、囲碁についての話の表現の中に、
一部が載っている。

”くらやみの碁”という話がそれで、太平
広記番号で、228番、作者は9世紀の
人物とみられる、薛用弱、集異記が元文書
名との事である。日本語訳は、東洋文庫の
16、前野直彬編訳(平凡社1964年)
唐代伝奇集2に載っている。残念ながら、
前野氏が日本人向けに、たぶん今の囲碁棋
譜と同じ形式の”1~19の一~十九(黒
or白)+石の置き方”で表す形式と見ら
れるが、

訳すときに、手直ししている。

なお、石の置き方に対応する記載(キリ、
ツギ、ハネ・・)は、物語中には、このケー
スは書かれて居無い。つまり、
前野直彬氏により、日本人読者向けに、
最初の1~19に当たる部分が、イ~ツと
イロハニホヘト形式に改竄されているよう
である。原文は、中国式の何らかの序数法
で、1~19までを表しているのだろう。

イロハニホヘト・・が中国にも有るという
話は無いから、この改竄解釈は間違いない

とみられる。
 何れにしても、根本的に今と同じ、囲碁
の座標系形式のようである。
 これで天文道で、こんどは特定の星の、
星図上の座標が類推されるかと言えば、

yes.である。

宣明暦を例に取ると、中国の円周は一周が
約365.259に分解される。360°
制では無いが事実上、東西は時角0°から
182.6295°は180°に近いから、
0°、10°・・・180°と、10°刻
み目盛りの線の総数は19本と解釈できる。
残りの半分は、地面の下に沈んでいる。
南北も-91.31475°から+91.
31475°は、-90°から+90°と、
ほとんどいっしょなので、刻み目盛りの数
は同じく10°刻みなら、-90°、-80°
・・・+80°、+90°で全部で19本
である。ただし、極点は線ではなくて、点
になるので、

メルカトル図法で考える必要がある。

 実際には、赤道上ではぴったり、この通
りになり、その他の緯度では、下が切れて、
左右と北の空の下に、ハミダシがある。
 しかし実際上、

囲碁盤が、19×19升目だったので、

円周360°に近い、中国の天球座標のイ
メージで、星を囲碁の石に置き換えた、座
標の表し方で、だいたい対応出来る事が判
る。なお中国では、十進法の算木等を使用
し、天文計算をしていたとみられる。
 唐代暦の一種である宣明暦流の天文座標
と、唐代伝奇集の集異記の”くらやみの碁”
の囲碁の棋譜表現は、だから対応している
事は明らかだ。むろん、くらやみの碁の表
現方式は、現代の囲碁の方式である。
 以上で、説明は終わる。
 以下は、脚注として示す。
前記の、365.259という、円周の
半端なわけ方に対する、数値の説明である。
 宣明暦は、太陽年の長さに誤差があり、
一年が0.0024日程度長すぎである。
ただしこの時代には、歳差が知られている
ので、恒星年と回帰年の差は正しく把握さ
れていると、上では仮定する。その上で、
正しい恒星年である、
約365.25636日に、誤差分、
約0.0024日を乗せて、宣明暦では
円周を、約365.259分割と、本ブロ
グの、このページでは表現している。
なお、0.0024日は時間で、3分半位。
800年強で約2日の誤差になり、江戸
時代に、和製の貞享暦に、日本では取って
代わられた。脚注は以上である。
 以上の事から、囲碁の棋譜座標そのもの
が、盤升が一辺19路だったので、石の色
の後に付け足す、囲碁石の置き方の囲碁基
本用語だけでなく、その前段に示されてい
る、ゲームで使用している縦横路座標自体
もまた、古代中国の天文座標とほぼ、対応
していた事は、明らかである。(2019/11/01)

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