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インド二人制古チャトランガを復元する意味は何(長さん)

本ブログの見解によれば、インドの二人制古
チャトランガの馬駒の動きに関し、桂馬動き
と確定したとしたら、日本将棋は生きている
化石と認定されるという事であった。
王、大臣、象、馬、車、兵のうち、王、大臣
馬が、インド二人制古チャトランガと現日本
将棋とで、駒の動かし方のルールが一致すれ
ば、同系統と見てよいだろうと、考えたため
である。桂馬の問題はさておき、ここでは、
二人制古チャトランガの復元に、

そもそもどういう意味があるのか

を論題とする。回答から書く。

①副官は戦国の時代には、1領主に一人必要
なだけだという教えを、インドの古代将棋か
ら学べる。オーケストラの指揮は一人にすべ
きというような、イメージである。
②象、馬、車は、”そのものの性質に関する、
自然な認識が大切”という、ものと人間の文
化の間の関係についての本来の姿が、インド
古代文化から再認識できる。

何れにしても①や②のような知恵が、古代の
インド文化には有ったと、確定し、

我々現代人も、学ぶ内容が存在する

とみられる。
 では、以下に論を開始する。
①に関して重要なのは、日本将棋の金将駒が、
副官ないし大臣ないし軍師駒になるという事
であり、本ブログの仮説が正しければ、軍師
は王に似た能力の人間と、インドでは見られ
ていた事を、示唆している点である。
 つまり、後に四人制チャトランガが実際に、
インドでは発生しているので、傍証はあるの
だが。インド二人制古チャトランガの副官が、
猫叉動きではなくて金将や酔象、剪牛等の
金将系の動きだと確定すると、古代インドで
は、軍師や参謀には王類似の権威者であると
の旨が確定する。ここからインドでは特に、
クプタ朝から、イスラム系統一国家が形成さ
れるまでの概ね戦国期に、一時のバルダナ朝
の時代を除いて、小国支配で長続きせず、国
王の軍師としての個人的な能力で、戦国地方
国家が短い期間だけ保たれていたと見なせる。
 そして、このような小国家は次々と生じて、
ほとんど全ての国で、支配力は王個人の人徳
で保たれていたという事情を、垣間見る事が
出来るように、私には思える。インドでは、
日本や中国と違って、親が王であるという
血統よりも実力がものを言う、比較的合理的
な社会風土であり、また政府機関のような、
官僚体制を作る風土が、乏しかったのだろう
とも推定できる。少なくとも日本では、合戦
のときの戦術は、優勢な武家勢力に於いては、
合議制だったと私は認識するが、

そもそも有力な戦法が編み出せる、有能な
軍師は、自分自身で国王になろうとする傾向
が、古代のインドでは強かった

のではないかと、チャトランガのルールから、
間接的にせよ、推定可能になるように、私に
は思えるのである。
 少なくとも四大文明の中で中国やエジプト、
イスラム帝国時代のメソポタミヤとは違い、
インドだけ、広域王朝が、特にチェス系ゲー
ムが存在した中古世に無かった事は、インド
文化がレベルが高くても、伝播速度が低下し
たとみられるだけに、実体把握にとって、
チャトランガの情報は、大切であるように、
私には思えるのである。
 また、象、馬、車と言った、動物・物への
認知の癖の傾向に関する②について重要なの
は、以下の通りである。つまり仮にインドの
二人制古チャトランガの、象、馬、車が、
本ブログの仮説等から、基本的に、飛車、
桂馬、香車動き等だとすると、
象は大きく強いものであり、
馬は前方に馬の走りで駆けるものであり、
車は走るもの
と、インドで数世紀頃は認識していたと確定
する。そうだとすると、それは単に

ありのままの姿を、表現したにすぎない

事になる。
 馬は、惑星のように動く天体力学と関連す
るという、天文とゲームを関連付ける抽象的
な思想がインドに元々は無く、それについて
は、イスラムと中国から、挟み込まれて外来
したものという事になるはずである。もとも
と、馬は前方に馬走りするだけであり、数手
連続して動かして、複雑な閉曲線図形を描か
せるといった意味は、インドに於いては無かっ
たのではという意味だ。

恐らくインドでは、科学思想がてんこ盛りの、
プトレマイオスのアルマゲストは、余り人気
が無かった

のではあるまいか。
 つまり、インドチャトランガの馬が、チェ
スのナイトと同じ動かし方のルールだという
のが間違いだったとすると、古代のインド人
の、思考の様式について、特に欧米では、

間違った、己に近づけすぎるイメージが過去
定着していた

という事になるかと私は思う。
 何れにしても、正しい情報そのものが無く、
本当はどうだったのかが判らなければ、たと
えば以上のようには、推論できない。である
から、我々は古代インドから、学びたくても
学べない事になる。だから、事実としての、

インド二人制古チャトランガの正確な復元が
必要になる

という事に、なるわけであろう。(2019/12/18)

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