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インド11~12世記マナソラーサの4配置図の正体(長さん)

以前増川宏一氏の著書から、本ブログでは
インド2人制古将棋類(チャトランガを含む)の、
初期配列による4種類のゲームの存在を疑ってい
た。以下はその件の続報である。
 少なくとも、一つは、古チャトランガの途中の
局面を指している事が判った。具体的に最初に書
いてしまうと、以下のようになっている。
4段目:口、口、兵、口、口、口、兵、口
3段目:口、兵、車、兵、兵、車、兵、口
2段目:兵、口、口、馬、馬、口、口、兵
1段目:口、口、象、王、臣、象、口、口
マナソラーサの文献を解釈したものだが、解釈者
は、欧州人のボックラーミンクで、1995年の
事である。以下に、説明を加える。
 雑誌名が不明であるが、著者ボックラーミンク
の居所が、オランダのアムステルダムと記載され
たコンテンツの309から331ページに、以上
の情報がある。325ページに問題の配置図が記
載されているとみられる。題名は、
The varieties of
 Indian chess through
the ages(”インドチェスの通史”か?)
である。なお、ボックラーミンクは別文献だが、
ドイツ語でも論文を書いている。オランダ語は発
見されていない。国籍は良く判らないがオランダ
人は、かなりドイツ語が出来るので、ドイツ人の
方ともオランダの方とも断定できないと見られる。
 なお、雑誌名はともかくとして、以下のurl.
にコンテンツがある点が、重要である。

エイチティティピー://history.chess.free.fr/library.htm

私は、本ブログをたまたま読まれた有志の方より、
上記のサイトの存在を教えてもらった。

情報の提供者の方に、深く感謝したい。

ところで。
 ボックラーミンクは324ページの図の記載で、
11~12世記のインドの2人制チャトランガの
各駒の動きにつき次のルールと解釈しているよう
である。(本文中の説明はまだ読み取れて居ない。)
王:玉将。大臣:猫叉。象:飛車。馬:八方桂
車:シャンチーの相/象。兵:ポーンに加えて
2升目前方に、制限された香車の走り。ただし、
ボックラーミンクの文献を良く見て居ないので、
2升目前方移動が、最初の位置からだけなのか
どうかは、まだ私には個人的に判らない。その他、
西洋チェス同様、ステイルメイトがこの時点で、
古チャトランガにも有ると、ボックラーミンク
は、見ているようである。今問題にしているイン
ドの古文書マナソラーサに、終盤近くの局面部分
例があるとボックラーミンクは言っているようだ。
 ところで少なくとも上の配列へ、普通の2人制
古チャトランガの初期配列から移行できることは、
車の位置から確実とみられ、その際、特に特記す
べき点は、

馬が八方桂馬でなければならない事と、兵が、
ほぼポーン動きである点

と指摘できる。何れにしても、4種類有ると、
増川宏一氏が彼の成書で書いている、ボックラー
ミンク解読の、11世紀~12世記インドの文献
マナソラーサの配列のうちの、少なくとも1配列
は、インド2人制古チャトランガの、途中局面図
であるようだ。なお、終盤部分局面図も、前記の
英文”アムステルダム発・文献1995”には、
マナソラーサの分として2枚載っている。だから
残りの1つは、増川氏の言うようにインド2人制
古チャトランガの初期配列だとすれば、問題の”

3種類のゲームの配置図”は、全部チャトランガ
の途中局面図の可能性も濃い

とみて、間違いないようである。
 以上で、本題の説明は終わる。
 以下に、少なくとも12世紀の初め頃には、
インドも、イスラムシャトランジのように、
”馬が八方桂の動き”だと、確定した件について
コメントする。
 まずこの結果は、11世紀の4人制チャトラン
ガを再現していると本ブログでは見る、4人制の
成立時期、11世紀初時点のものと、本ブログで
見るルールよりは、動きが桂馬ではないから

馬に関して、西洋チェスのナイトである。

インドが元々、日本の将棋に近い馬駒の動きだっ
たと仮にしたとして、
少なくとも12世紀に入る頃には、たぶんイスラ
ムシャトランジに、より近くなり、結果西洋チェ
スにも近くなったと、結論せざるを得ないとみら
れる。インドの今の残る2人制チャトランガへは、

ビルーニ反転の前に、馬が八方桂、もしかすると
車が角行から飛車へ、先祖返りするという事が、
マナソラーサ期には起こった

と、ボックラーミンクの研究結果を正しいとする
限りは、そう考えざるを得ないのであろう。なお、
前記の駒組図で、象を角行動きと仮定したケース
でも、角道が空いているので、

ボックラーミンクの象駒の推定(飛車)は間違い

である可能性も、有ると見られる。その際には、
ビルーニ反転と、走り駒のついての象/車の角→
飛車の変化は、実際には本ブログで、従来考えて
いるように、同時の可能性も残ると見る。しかし、
八方桂化は、それ以前と考えざるを得ない。その
原因は難しいが今の所、11世紀に、そもそも
アル=ビールニがインド訪問をした頃、訪問自体
を可能にした

トルコ系カズニー朝のインドへの侵攻が、インド
にイスラム化を、それなりにもたらしたからだ

とでもしないと、さしあたりは旨く説明できまい。
今後は以上の、2段階のインドチャトランガ→
イスラムシャトランジ化(”古チャトランガ”→
”今に残るチャトランガ”への転換)仮説を、本
ブログでは取る事にしたい。
 なお、冒頭付近に記載した、ボックラーミンク
解読のインド2人制チャトランガの配置図の戦法
は、かなり消極的であり、個人的には、この駒組
は、実戦として、余り尤もらしいとは思えない。

馬は守り駒ではなくて、このゲームのケースは、
先制攻撃駒だと、個人的に私は考えている

からである。この”戦法図”を見る限り、マナソ
ラーサのチャトランガ説明部のボックラーミンク
による解析結果の方式は、ヘビーゲーマー以外の
人間の作った、チャトランガ解説書の中の、尤も
らしいが”作り物の作戦図”ではないかと個人的
に、私には疑われている。(2020/02/16)

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