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月の黄経不等の第2項”出差”は離心率の伸び縮み(長さん)

以前議論した、囲碁の日本に於ける藤原京時代の
隆盛に関連した、儀鳳暦(麟徳暦)の時代から日
本の暦に採用された、定朔を計算するための、月
の黄経不等の第2項、出差の実体をチェックした。
なお、不等の第1項は、平均月軌道が楕円である
事から来る、中心差である。結論を述べると、

新月方向から太陽潮汐摂動が掛かった場合に、月
の軌道の離心率が増大するのではなく、45°ズ
レた、三日月方向から太陽潮汐摂動が掛かった場
合に、月の軌道は、どんどんイビツになって行く。

が、地球が公転して位置関係が変わり、新月状態
になった所で、ほど良くイビツになるのが止まっ
て、その点で細長の程度最大になり、平衡状態に
なっている事が判った。
 では、論を開始する。
 今回は、太陽の位置関係が変わっても、月の
平均楕円軌道の離心率が同じになる初期軌道を注
意深く選び、軌道が回転したら、座標も回転させ
て、離心率の変化だけが、よく見えるようにして、
太陽潮汐摂動のある場合の月の軌道を、よく調べ
てみた。以下は、そのとき使用した日本電気の
ベーシック(basic)インタープリターで
読み込まして計算する、コンピュータプログラム
の例である。なお、インタープリターは互換ソフ
トを使用したため、windowsのdos窓で、
右下座標が、(640,400)ではなくて、
”全画面状態”で(800,800)程度になっ
ているようである。本物の日本電気社のインター
プリターでは、行番号1020の640は320
に、行番号1040の400は200にし、
(640,400)と書かれた何箇所かも、
(320,200)に変える必要がある。
1000 cls
1020 ceX0=640
1040 ceY0=400
1052 sun=1.5708
1060 X1=0.98*100
1080 Y1=0
1090 X2=1*100
1100 Y2=0
1180 zettaiv=0.5*1.025
1182 Vx0=0.*zettaiv
1184 Vy0=1.*zettaiv
1191 Vx1=1.0100*cos(0.0174532*90)*zettaiv*1.
1192 Vy1=1.0100*sin(0.0174532*90)*zettaiv*1.
1193 Vx2=1.0000*cos(0.0174532*90)*zettaiv*0.9945
1194 Vy2=1.0000*sin(0.0174532*90)*zettaiv*0.9945
1195 ax1=0
1196 ay1=0
1197 ax2=0
1198 ay2=0
1199 coun=0
1200 '繰り返しの始め
1202 coun=coun+1
1206 if (coun mod 1000)=0 then circle(640,400),100,7
1208 if coun=>100000 then goto 3000
1210 r21=x1*x1+y1*y1
1220 r1=sqr(r21)
1240 ax1=-25*X1/r21/r1+0.00000025*cos(0.0174533*0.0050*coun)*(cos(0.0174533*0.0050*coun)*X1+sin(0.0174533*0.0050*coun)*Y1)
1260 ay1=-25*Y1/r21/r1+0.00000025*sin(0.0174533*0.0050*coun)*(cos(0.0174533*0.0050*coun)*X1+sin(0.0174533*0.0050*coun)*Y1)
1300 Vx1=Vx1+ax1
1320 Vy1=Vy1+ay1
1400 X1=X1+Vx1
1420 Y1=Y1+Vy1
1560 '表画
1590 XP1=ceX0+(cos(0.0174533*0.005*coun)*x1+sin(0.0174533*0.0050*coun)*y1)/r1*(100+10*(r1-100))
1595 YP1=ceY0-(-sin(0.0174533*0.005*coun)*x1+cos(0.0174533*0.0050*coun)*y1)/r1*(100+10*(r1-100))
1600 '
1610 r22=x2*x2+y2*y2
1620 r2=sqr(r22)
1640 ax2=-25*X2/r22/r2+0.00000025*sin(0.0174533*0.0020*coun)*(cos(0.0174533*0.0020*coun)*Y2+sin(0.0174533*0.0020*coun)*X2)
1660 ay2=-25*Y2/r22/r2+0.00000025*cos(0.0174533*0.0020*coun)*(cos(0.0174533*0.0020*coun)*Y2+sin(0.0174533*0.0020*coun)*X2)
1700 Vx2=Vx2+ax2
1720 Vy2=Vy2+ay2
1800 X2=X2+Vx2
1820 Y2=Y2+Vy2
1960 '表画
1990 XP2=ceX0+(cos(0.0174533*0.0025*coun)*x2-sin(0.0174533*0.0020*coun)*y2)/r2*(100+10*(r2-100))
1995 YP2=ceY0-(sin(0.0174533*0.0025*coun)*x2+cos(0.0174533*0.0020*coun)*y2)/r2*(100+10*(r2-100))
1998 if (coun mod 10)=0 then gosub 2000
1999 goto 1200
2000 'sub 表画部
2002 circle (xp1,yp1),1,5
2004 circle (xp2,yp2),1,2
2006 line (640,400)-(xp1,yp1),5
2008 line (640,400)-(xp2,yp2),2
2020 for i=1 to 100:next i
2042 circle (xp1,yp1),1,0
2044 circle (xp2,yp2),1,0
2046 line (640,400)-(xp1,yp1),0
2048 line (640,400)-(xp2,yp2),0
2890 xp1=0:yp1=0:xp2=0:yp2=0
2900 return
3000 end

月の軌道の離心率が、太陽の引力が掛かる方向が平行
と直角の場合に一定になるのは、行番号1060から、
1194に示したような、初期位置・速度条件のとき
である。なお、加速度の地球引力第1項は、行番号
1240と1640に示したように同じ形にする。
 今回は、太陽潮汐摂動があるために、月軌道が回転
する場合には、座標回転して重ねるようにした。
また、常に一定方向から摂動が掛かるように、回転を
追いかけるように、太陽潮汐摂動の力の掛かる方向を、
シフトさせている。
 上の例では、太陽方向に新月のある場合と、下弦の
月がある場合を比較している。
 軌道は回転してしまうので、2つの軌道は実際には、
黄経の合計運動角が違う。1周で10°強もズレル
のである。すなわち。
 近地点新月のケースは近地点前進しており実際軌道
は約1.5%大きいとみられる。また、近地点半月の
ケースは近地点は後退し、実際軌道は約0.8%小さ
いとみられる。だから上記の両者の軌道は、だいたい
は大きさまで同じで、この2つの軌道は本質的に合同
なので接続する。
 なお、行番号1990、1995のように、
(100+10*(r2-100))で1を10に変えているので、
月の縁のギザギザを10倍拡大した感じて、表画では
離心率を強調して表示し、判りやすくしてみた。
 今回の議論で大切な点は、以下の通りである。
この軌道から、行番号1240、1260、1590、
1595、1640、1660、1990、1995
を調節して、近地点が、三日月の場合を計算すると、

軌道がどんどんイビツ化し離心率の増加が止まらない

事が判った。

だから、国立天文台の言うように、月の軌道の近地点
が太陽方向にある、新月近地点のときには、月軌道が
細長くなる

のである。つまり、

近地点三日月の時代に蓄積した効果で、太陽方向に、
長軸が向いたときに、出差振動が最大になる

のである。なお、逆に近地点が有明月の場合は、軌道
が丸くなって、たぶんだが、円になるまで変化し続け
るようだった。そのため、有明月近地点時代の効果の
蓄積で、下弦近地点のときには、月の軌道が丸くなっ
て、出差振幅が最小になっているようであった。
 なお今回の考察の範囲では、月への作用位相に、
180°点対称性があるため、満月は新月と、上弦は
下弦と、10~11日程度月は有明月と、寝待の月は
三日月と結果が一緒になる。
 何れにしても地球が公転しているので、
月の軌道は際限無くは変わらないで、一定の最大イビ
ツ度を保って、1/2近点月位相回帰年の周期変化を
しているようであった。なお、月の近地点は8.8年
で一周するように、元々激しく全般的に前進している。
 以上の事から、国立天文台暦計算室のページの出差
の説明は、恐らく正しいが、正確に言うと軌道が細長/
丸変化をしているのは、どうやら直前の45°月軌道
が傾いた時代の効果の結果であったようである。
(2020/05/16)

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