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月の黄経不等の第3項、”二均差”の確認(長さん)

だいたいの話であるが、月の朔瞬間に影響する
黄経不等には、大きい方から中心差、出差、
二均差、年差、月角差(太陽視差項)がある。
これらは、西暦666年前後に百済が崩壊し、
唐暦の儀鳳暦の供給に、不安定感が出たときに、
暦の消失のリスクを回避し、万が一の国内自作
を担保する為に、月位置の観測時の表現に関連
する天文学用語を供給する囲碁の文化を、
政権トップが、官職に学び、囲碁を禁止するど
ころかむしろするように、奨励する政策をする
よう作用したはずである。その結果藤原京時代
に、囲碁が盛んに打たれたというのが本ブログ
の論である。
 以前述べたように、第1項の中心差、第2項
の出差については、議論したので、今回は第3
項の二均差の実体の把握を試みた。結論は、

国立天文台暦計算室のページに記載されている
通りで合っていて、

黄経不等は軌道の形が全体として歪む効果によ
る、朔望月の半分の周期の、サインカーブ変動
になる。
 では、議論を開始する。
 中心差、出差、二均差、年差、月角差(太陽
視差項)については、周期と振幅が、成書に載っ
ている。日本に於ける”元ネタ”は現時点で、
(故)古在由秀氏の記載とみられる。恒星社、
現代天文学講座2”月と小惑星”(1979)
の古在氏執筆部分が源流なのであろう。それ等
によると、各々次の通りであるという。
 第1項の中心差は近点月周期27.5546
日であり振幅は角度(以下同じ)の6°.29
である。
 第2項の出差は本ブログではたびたび述べた
が、朔望月と近点月の差の分だけ、近点月と
は反対に、朔望月よりも長く約31.8日周期
で振幅は1°.27で、第1項の1/5程度で
ある。これにより黄経不等成分のsinカーブ
は、約205日周期の、AM及びFM変調成分
を持つ。
 第3項の二均差は、朔望月の半分の周期で、
月軌道の形の変化が、そのまま出たに近いもの
であり、振幅は0°.66である。
 第4項の年差は地球軌道が楕円であるため
太陽潮汐摂動力が年周期変化をするためで、
周期が、1(地球の太陽に対する)近点年、約
365.26日で、振幅が0°.19である。
5番目~9番目は、確認できない。
 第10項の月角差は、朔望月(29.53059日)
周期で振幅は0°.03。この項は、地球と
太陽との間の距離に反比例して、太陽系が小さ
いほど大きくなる。
 所で以前シミュレーションしたときに、
新月近日点で、近点角の前進に合わせた回転
座標で座標計算し、かつ新月近日点がズレない
ような軌道を計算した。この軌道はこの回転座
標から見て、ほぼ”恒常的”なので、前記の
月の黄経不等の第3項、二均差をチェックする
のに適している。つまり、三日月近日点や、
有明月近日点と異なり、この時点で月の軌道は
細長くなったり丸くなったり変形しないのであ
る。話は戻って、くどくなって恐縮だが、以前
本ブログで述べたように、月の黄経不等の第2
項である出差は、国立天文台の暦計算室のペー
ジにあるように、

新月または満月近日点で、太陽潮汐摂動により、
軌道が細長くなるのでは無い。

三日月または寝待ち月近日点で、太陽潮汐摂動
により、軌道が細長くなる効果なのであった。
 なおその、三日月近日点等での軌道離心率の
増加等がそもそも起こる理由も、本ブログの管
理人にもようやく、つかめてきた。すなわち
遠地点で、月が太陽潮汐摂動力に引き戻される
効果が、近地点で太陽潮汐摂動力に同じく引き
戻される効果よりも、

作用時間が長い上に、距離も遠いために、
遠地点での月に対する太陽潮汐型摂動力の引き
戻しが近地点のそれよりも、卓越している事が
原因

だと、ここに来て気がついた。
 何れにしても、軌道自体が回転する事を我慢
すれば、新月、満月、半月近地点軌道の状態は
不動なので、軌道自体の形を見るには適してい
る。そこで新月近地点のときの軌道と、本来の
月の、ケプラー楕円軌道とを、軌道傾斜が6°
以下の月では、黄経に真近点角がほぼ近いを使
い、黄経を真近点角に等しいとみなして後者に
関する比較を行い、差分をプロットすると、
半朔望月周期の二均差曲線が描けるのかどうか
を、前に作成したプログラムで行った。つまり、
太陽潮汐摂動を抜いた2体問題の軌道へ、
リファレンス軌道を調整したうえで、それと、
新月近日点の太陽摂動有りの月軌道とで、
真近点角、つまりは、だいたい黄経について、
比較しているという意味である。
 近点角差、つまり概ね”黄経不等”は、以下
の図のような曲線になった。

二均差の曲線.gif

これはまさに、二均差の曲線が分離された姿

である。以上の事は、以下のようにして、確か
めた。つまりそこで、上の方の図の曲線が、確
かに二均差カーブである事をチェックするため、
近点月の周期で振動するサインカーブを引き算
する、ケプラー楕円軌道の周期は同じで、離心
率をわずかにズラし、多少多めだが中心差成分
を混ぜたケースも、以下の図のように作成して
みた。

二均差+中心差0.2.gif

 上図のグラフをよく見ると、近点月周期の
主要サインカーブに重なって、それの1/2
よりも少し長い、

朔望月の半分の周期の、副サインカーブがある

事で、最初の図が、朔望月の半分の周期のサイ
ンカーブの”二均差の曲線”である事が判ると
思う。つまり下の方の図で、副極大が出たり、
それが移動する点からみて明らかである。だか
ら今回、上の方の図では多少歪んではいるが、
二均差項が一応分離できたと見なせるであろう。
 つまり二均差は、古在由秀氏や国立天文台の
暦計算室のページにあるように”軌道の形の変
化のダイレクトの効果”に、こちらの方に関し
ては、間違いが無さそうだ。
 なお、第3位の二均差は、第2位の出差の、
振幅は半分の0°.66あるので、西暦600
年代の

暦国内自作化準備の政策では無視できない

とみられよう。

但し、0°.5の誤差で大体、長安と奈良の
地方時の差分の暦誤差

になる。だから、これ以下の振幅の0°.19
の年差と、太陽と地球の質量比を求めるには
大事だが、0°.03の月角差の項は、

年差と月角差は西暦600年代の、おおらか
だった、わが国社会には考慮不要

と考えられるのであろう。以上から、だいたい
であったが、太陽潮汐型摂動で、月の黄経不等
のうちの多体問題からみの効果で、囲碁文化の
隆盛原因と見られる月の黄経不等出差と二均差
について、本ブログの管理人にも、ようやく
実体の理解が、射程距離内に入ってきたと感じ
られるようになってきた。(2020/05/23)

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