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何故モンゴルシャタルの副官駒動きに龍王バージョンある(長さん)

岡野伸氏の自費出版書”世界の主な将棋”によると、
岡野氏がモンゴル共和国で、識者のアモガラン氏
より聞き取ったうちの、西洋チェスから遠いバージョ
ンの、モンゴルシャタルの副官駒、ベルスは、

龍王の動きであるという。

 今回はずばり、このルールが何処から来たのかを
論題にする。回答から書く。
ペルシャの中世の”大将棋”、13升目52枚制
シャトランジ・アル・カビールの、

フィルツェーン・アル・カビール(大将軍)の、
グリフォン動き(割り箸走り)が訛った物

である。
 では論を開始する。
 モンゴルシャタルのアルガモン氏弱ルールの副官
ベルスの龍王走りの理由について、先行研究は特に
見当たらないと思われる。王/副官駒と駱駝駒(象
駒相当)の間に置く、ヒャーシャタルのヒャー駒の
方が、特異性で著名である。
 岡野氏の前記著書では、モンゴル古チェスは、
ペルシャ伝来か、チベット伝来とされる。本ブログ
では、後者の梅林勲説に賛成している。
 シャタルは岡野氏によれば13世紀成立とされる。
が、本ブログでは北元国が滅亡した、

1450年程度以降からモンゴルで将棋は指された

と今の所考えている。だから、以下が大事だが、

モンゴルシャタルは、チムールチェスやしょっぱな
に述べた、ペルシャ13升目制大将棋より、成立は
遅い

と、ここではとらえられている。モンゴル共和国で
は、当時敵制の中国シャンチーは避けられたが、囲
碁が強かったので、元々はイスラムシャトランジも、
カラコルム付近では、指されなかったと想定したと
言う意味である。つまり、

ベルスにグリフォン駒の動きを導入しようと思えば
出来た

という事である。実際、ペルシャの大将棋を真似て、
グリフォン駒=ペルシャ大将棋の大将軍を、副官
ベルスに充てようとしたが、

ルールが誤伝して、割り箸走りが龍王に、近世(明
王朝以後)になって、変わってしまったと考えれば、
アルガモン弱シャタルベルスの龍王動きは説明可能

である。チベットは14~15世紀はシャトランジ
系で、ペルシャ古将棋も伝来していただろう。だか
ら、チベットから実質イスラムシャトランジルール
のチャンダラキが、モンゴル共和国内の当時の
オイラート国に入った際に、普通の猫叉動きの副官
(ペルシャ将軍)のルールと共に、ペルシャ大将棋
の大将軍(グランド・アセドレフのグリフォンルー
ル)が入っても、チムールチェスやペルシャ大将棋
の成立後であるから、おかしくは無いと思える。
 そのため、モンゴルシャタルのベルスルールの一
部に、

グリフォン・大将棋の割り箸走りルールが、変形し
たような龍王の動きが、今もなお残っている可能性
も、否定はできないのではないか。

以上のように私は、モンゴルのチェスは、チベット
経由で、どちらかと言えば、イスラム古形に近く、
駒数多数象棋の情報を残すものであると、疑ってい
るのである。つまり、成立が遅かったのでモンゴル
の象棋には当時の、イスラム系の大将棋の雰囲気が、
残っているのではないかと疑えると言う事である。
(2020/06/01)

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