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将棋の駒はなぜ歩が金になるの(長さん)

表題の件に関しては、既に本ブログでは、
イスラム時代に、インド発の将棋ルールが
簡素化したためであるとの旨、回答して来
た。今回は、多少補強すると同時に、この
件のまとめを行ってみる。結論から書く。

現代の”欧米諸国は先進国”のイメージが、
イスラム・アッパース帝国及び、その後継
中東国家に対して10世紀前後の世界には、
世界中に広がっており、イスラムの習慣は
どこも真似る傾向が有った。そのため、習
慣の一つである、”将棋の歩駒の成りを金
にする”というやり方を、世界中でマネた
のが、日本の将棋の歩兵が金将に成るよう
になった、そもそもの原因である。

 では以下論を開始する。
 基本的に、将棋のゲームデザイナーは、
駒の成りを、具体的にそのようにした理由
を、現実が証明しているように、

記録に残さないもの

だと言ってよい。理由は、
自分自身が、そのゲームをする仲間に、表
明以降、加われなくなる懸念があるためで
あると、

私は考える。

理由を知っている方が、ゲームに勝つため
有利だからなのである。だから吹聴して、

自分の考え出したゲームでは、自分だけ有
利になっているのを、極力宣伝したくない

のである。たとえばごく近年作の将棋ゲー
ムである、5五将棋の成りが、なぜ最奥段
なのか。具体的に考案した人間が、得意げ
に吹聴しているという記録が、もし有ると
でも言うのなら、出してみて頂きたいもの
だと私は思う。

隠匿されているというのが、当たり前

なのではなかろうか。
 だから、基本的にこうした問いには、証
拠を示せないものだと考えた方が良いと、
私は思う。
 しかしながら幸運な事に、個別表題の問
いに関しては、

本ブログのように考えると、状況が旨く
説明できる

という性質があるというのが、今の所

本ブログ独自の見方

だ。
 インドチャトランガは元々相手最下段の
初期配列駒への成りであって、金将すなわ
ち副官成りにはなっていない。ペルシャ人
は、それを継いだようであり、後代の
チムールチェスでも初期配列駒成りのまま。
順序からみて、ペルシャを更に次いだと見
られる、

イスラムの将棋で、始めて副官成り(金将
成りは、日本の将棋での副官)

なのである。だから、

将棋の歩駒が金に成るのは、イスラムシャ
トランジでの改良だと特定可能

だ。ただし、ゲームデザイナーは、

なぜそうしたのかは、このケースも露に記
録に残していない。

 実は、日本の将棋で銀将にあたる駒が、
斜め2升先跳び(飛龍動きと以下表記する)
であったのが、理由なのは、イスラムシャ
トランジを

実際に指してみれば判る。

このゲームでは歩兵を余り進めなくても、
一気に3段目まで跳べる、跳び越え駒が多
いので、歩兵(兵またはポーン)を前に進
めなくても戦闘が始まるのである。
 だから簡単に言えば、
歩兵の成りのルールを、複雑化する必然性
が、イスラムシャトランジにも、その前の
インド・2人制古チャトランガにも無かっ
た。その事にアラブ・イスラム教徒のゲー
ムデザイナーが気がついて、イスラムシャ
トランジのゲームデザイナーは、歩兵の成
りのルールを、行き先の大駒から、副官
(金将系)に、単純化、合理化してしまっ
たと、前にも述べたが考えられるのである。
 しかし、そのような裏の理屈を、真似る
方は、余り深くは考えなかったのであろう。
 たとえばミャンマーのタトン又はパゴー
の、原始シットゥインのゲームデザイナー
は、歩兵を3段目に上げて、成りが頻繁に
起こるようにして、ゲームの進行をそもそ
も早めたにも関わらず、

イスラムが先進国で、文化を真似なければ
ならないと考えて、兵の成りはとにかく
副官にした

と考えられるのである。
 こうして本来なら、個別のゲームに関し
て、それぞれ考えてルール調整すべきだっ
た兵の成りは、

何でもかんでも、イスラムシャトランジに
合わせる傾向が強まった

と考えるのが、今の所

本ブログにだけ書かれている、独特の見方

なのである。そしてこの盲目傾向が収まっ
たのは、本格的に、チェス系ゲームのルー
ル調整が、精密に行われるようになった、

西洋チェスや、中国シャンチーの成立時代(
前者は15世紀、後者は12世紀)である。

他方、日本の将棋は成立年代は、伝来期そ
のものが11世紀であるから、その点では、

イスラムシャトランジの習慣そのまま

だ。
 以上で、問いに対する回答に、このケー
スはなっているはずである。実際には更に、
もっと言いたいことはある。が、問うた者
が複雑な言い回しを期待しているはずも無
いので、本稿では、こう結論して論を判り
やすいままにして、止めて置く。
 よって冒頭に述べたように、将棋の歩駒
が金に成るのは、先進国イメージが、イス
ラム・アッパース帝国等に対して10世紀
前後の世界には世界中に広がっており、イ
スラムの習慣は、世界中で何でも真似る傾
向が有ったため、”将棋の歩駒の成りを、
金将にする”というやり方を、世界中で
マネたので、その時代の習慣が残る、日本
将棋では、歩兵の成りは金将であるという
のが答えになるのである。
 実は、西洋チェスのポーンの成りが、自
分自身以外の駒のどれでも成り可だったの
で、欧米従属主義のわが国では、個別この
問いの発生そのものが、大きく遅れたとい
う事情が、明らかに有ったと私は思う。
それも手伝って、この問いの答えは、諸説
ありどころか、ルール作成のの裏事情は、
基本的なものは、公開されにくいという情
報の学会内普及を利用し、”解明無理”が
遊戯史界では、暗黙の常識と見られていて、
答えずで、済ましてしまいがちなのである。
 しかしながら傍から見れば、そのやり取
りは、学際の見栄えを外面上悪くしてしま
うという効果を、明らかに持つ物なのであ
ろう。
 だからこの問い方は、ある意味初学者に
顔を向けて発してみるのには、旨いやり方
だったとも言える。つまり

好キラー・クエスチョンを考えたものだと、

考えた方に私は、常々感心しているという
事である。(2020/09/13)

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