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1960年頃作アメリカ・ジェタンのチェック(長さん)

梅林勲・岡野伸著の世界の将棋(2000)
によると、西暦1960年代初期に、アメリカ
のSF小説家とみられる
エドガー・ライス・バローグスが、ジェタンと
いう名称で、10升40枚制のチェスを発表し
ているとの事である。ほぼ典型的なチェス類で
あるが、天竺大将棋の副将型の動きをするとい
う点で、駒の動きが特殊である。今回は、小説
の中で、たまたま現われただけとみられるが、
ゲームとしての造りの良し悪しをチェックして
みた。回答から書くと、小説の内容に合わせる
ため、最終的にルールを変更しているので駄作
になったのだが、基本的に途中までは、真面目
に調節した形跡のあるゲームである。
 では報告する。
 以下は、以降のチェックで間違えないように、
駒名を工夫した、このチェス類ゲームの初期配
列である。

ジェタン初期.gif

ただし、副官と王子は、天竺大将棋型の3升目
までの動きをし、王子は跳び越え可能である。
力士、金剛、飛龍、猛牛で象、駱駝、馬、車位
置駒を表現したが、曲がりながらも動けるので、
注意が必要である。中馬は、中国シャンチーの
馬の動きとみられる。三歩はこの将棋の神殿駒
であり兵の類。インドの中世将棋、
ハリハラチャトランガと同じく、3歩まで歩め、
駒を取るときには、斜め前動きだとみられる。
その他、王子はゲーム中1回だけ、自在天王の
ように動けるが、相手駒はそのとき取れない。
勝負は王子を取れば勝ちだが、司令官を司令官
で取っても勝ち。ただし、司令官を司令官以外
の駒で取ると、引分けになってしまう。以下で
は、引分け回避で指すを一応仮定した。また、
双方3枚以下になったときには、詰みの手筋が
有っても、長手数(11手以上)になるときに
は、引分けになる。
 ゲームを進めると、一例として、次の局面に
到達する。

ジェタン途中.gif

この局面では、後手王子は詰んで居るようにも
見えるが、自在天王動きをして、逃げてしまう。
 更に進めると、以下の局面に到達して、この
ケースには引分けで終わる。

ジェタン指了.gif

このゲームは、やはりザッと指すと、引分けが
多そうである。
 前記の途中局面で指了になるのなら、まあま
あの出来なので、

小説の内容に合わせるために、細則を調整した
り、終端条件を変えたのが、ゲームとしての出
来に響いた

ようだ。だからエドガー・ライス・バローグス
は、ゲームデザイナーとしても、それなりの腕
を持つ人物ではあったようである。(2020/10/29)

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