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何かに”なる”事を示す鎌倉出土かわらけ(長さん)

以下、鎌倉考古学研究所著、中世鎌倉の墨書
に記載された、墨書かわらけ等-105番の
話題である。

この史料には、”になる”と書かれている。

結論から先に言うと将棋ルール書ではなくて

霊前に納める仏具だと本ブログは考える。

では論を開始する。
 問題の遺物の”になる”から本ブログの場
合直ちに思いつくのは、”金に成る”である。
 しかも、左にズレているのが気になるが、
以下の図のように、”に”の上には”ん”と
書いてあるようにも読める。

鎌倉市御成町868番.gif

しかしその、平仮名の”ん”には見える字は、

左に偏っているのが確かにおかしいと言える。

そこで以前にも用いた以下の成書を見てみる。
”覚えておきたい古文書くずし字500選”
柏書房編集部編、柏書房(2002)
 すると、左にズレていて”ん”に見えるケー
スは、

”にんべん”らしいと判る。

この事から、この”かわらけ”には、

”仏にぞなる”等と書いてある

事が疑われる。つまり故人のの霊前に納める、
何らかの器具として使用した物品ではないか
と、疑われるという事である。
 なお、冒頭に述べた出典文献には、文字が
墨でかわらけの裏面に記載されている事。元
報告書が”若宮大路周辺遺跡発掘調査報告書”
で1993年7月発行である事。成立年代が、
13世紀中ごろ~後半である事。発掘地点が、
神奈川県鎌倉市御成町868番(地番)であ
る事などが、表形式で記載されている。
 ちなみに記載文献は、本ブログでたびたび
登場した集成鎌倉の墨書、鎌倉考古学研究所、
西暦2017年の、記載の箇所は具体的に、
17ページの下の遺物で、かわらけ・
白かわらけの105番と、遺物番号が付いた
史料である。
 この遺物については、”金に成る”と書か
れていたとしても、”主語”が不明だとすれ
ば、情報に中身が希薄な為、これまでは、将
棋の遺物として疑いの有る物には、本ブログ
の場合、入れてこなかった。というよりは、
”になる”では、余りに漠然としていたので

ノーマークだった。

しかしこれでは、うかつだったと言える。そ
こで最近見返してみて”になる”の3文字が、
”金に成る”にますます見えてきたので、気
になり調べ直した。
 が、以上の結果から、この遺物については、
将棋に関連した内容が、はっきりと書かれて
いるようには、残念ながら見え無いという事
になってしまった。(2020/11/24)

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