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聆涛閣集古帖戯器の(後期)大将棋の記載特徴(長さん)

以前に述べたように、国立歴史民俗博物館の
文書データベースkhirin-aの以下の
ページに聆涛閣集古帖戯器が登録されている。

https://khirin-a.rekihaku.ac.jp/reitoukakushukocho/h-1660-44

本ブログの見方では、現存しない
将棋纂図部類抄一巻の写しと見ているので、
記載は貴重である。本ブログは大将棋の
ブログなので、その内容のうち”大将棊”の
記載を特に論題にしておく。
①奔王が前後に走れず
②仲人が横に歩め、
③麒麟と鳳凰が2升跳びルールの方向が曖昧。
④悪狼と嗔猪は後退できず
で、現存する将棋纂図部類抄の巻物とは、

①だけ違う点が特異

と判る。
 では、もう少し解釈を入れる。
本ブログでは、聆涛閣集古帖の著者は、
将棋纂図部類抄の元文献に書かれていない
駒の動かし方ルールは、適宜、他の将棋種の
記載や、著作時代の常識から加筆したと考え
る。そして後期大将棋の奔王のルールについ
ては、常識による加筆と見る。
よって、

書き間違えただけであり、結局、
聆涛閣集古帖、戯器、大将棊に新しい情報は
含まれない

と考える。
 根拠は、将棋纂図部類抄の現存の巻物に、
奔王の駒の動かし方ルールに関する記載があ
るとの兆候が無い、つまり、当たり前なので
水無瀬兼成は、全部省略したと見ると自然だ
と考えるからである。
 次に②については、水無瀬兼成の捺印が
押してある点が謎ではあるが。

現行の水無瀬宮の、将棋纂図部類抄の巻物も、
書写品であるというのが、本ブログの独自の
解釈

である。根拠は、仲人に関する中将棋後、
後期大将棋前の注釈記載”不行傍、立聖目内
成酔象”が、『中央筋後続歩兵の邪魔になる
場合は特例で、駒名意味解釈困難な駒種であ
る注人に関しても成れる』という平安大将棋
、二中歴時代の一般則(『大将棋』末備不明
十字の本ブログ版解釈)の延用の意と、本ブ
ログで独自に解釈しているからである。
 なお、この水無瀬兼成個人が持つと見られ
る知識に関する、カラクリが解読されたのは、
将棋纂図部類抄を前田本で書写したときであ
るとも、本ブログでは独自に見ている。そこ
で以上の経緯によって、本ブログでは、
聆涛閣集古帖が参照した将棋纂図部類抄の巻
物も、仲人が横に歩める、

水無瀬兼成の知識意図を、反映してい無い
書写品であった

と今の所解釈する。すると、
後期大将棋のページに関しては、現存する、
水無瀬兼成の将棋纂図部類抄(水無瀬宮保管・
水無瀬捺印のある巻物)と、

コピーとみなしてよいほど、同じものが、
聆涛閣集古帖戯器を作成する際に参照された

と考えてよいように思える。つまり、

水無瀬宮将棋纂図部類抄巻物と聆涛閣集古帖
戯器の作成元文献巻物とは、摩訶大大将棋の
王子が玉子になる程度の、微差しか無かった
のではないか。

以上のように、本ブログでは依然考えると言
う事である。(2021/02/07)

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