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北海道恵庭市西島松3/5遺跡で縄文晩始奔王・山奉(長さん)

本ブログでは既に、表題遺跡の擦文期の奉王、
奉山墨・刻書遺物、本州以南弥生期「馬奉山」
墨書遺物を紹介した。今回は、これらの遺物
よりも、更に時代が遡り北海道縄文時代後期
末から晩期初頭成立等とされる土器に「奉王」、
「山奉」と漢字で書かれたような煤模様が、
縄文・擦文の抜けた平らな部分に、見られる
という遺物が、別のweb上に公開された、
発掘報告書に載っているとの旨の紹介である。

擦文文化期に、縄文晩期初土器が掘り出され、
祭祀用に墨書されたのではないかと私は疑う。

 遺物の写真が繰返すとweb上に公開され、
発掘報告書に載っている。発掘報告書が、
奈良文化財研究所の発掘報告書データベース、
全国遺跡報告総覧に、登録・公開されている。
 pdfファイル名は、以下の通りである。
71695_2_西島松3遺跡・西島松5遺跡5.pdf
 発掘報告書の名称は、以下の通りである。
北埋調報248/恵庭市/西島松3遣跡・
西島松5遺跡(5)、西暦2007年、
財団法人北海道埋蔵文化財センター。
 なお、西島松3遣跡と西島松5遺跡は、
隣接しており、西島松3遺跡が同5遺跡の
南側に続いている。性格は同様であるようだ。
 発掘報告書第2pdf末尾抄録により遺跡
の場所は、北海道恵庭市西島松306・
501番地先河川敷地。遺物が出土したの
は、西暦2002年から西暦2007年の間
ないしその前後の事のようである。
 遺物の成立年代は、奉王墨書遺物について
は、発掘報告書第1本文pdf、第72ペー
ジ付近によると、西島松5遺跡の包含層で
出土した、手稲式またはホッケマ式土器の
破片とされ、縄文時代後期中の紀元前15
世紀前後の成立と考えられているようである。
 また、山奉土器に関しては、同じく第1
本文pdfの第185ページにより、西島松
5遺跡の包含層で同じく出土した、三ツ谷式
ないし御殿山式の土器であり、本文pdf第
4ページにより、これらは北海道の縄文時代
晩期初頭の、紀元前数世紀ないしそれ以前と、
何れの遺物も

漢字そのものの未成立時期の疑いの有る

遺物と取れるように、私には認識される。
 遺物の写真は、奉王墨書土器に関しては、
第2写真図版pdfの、写真図版第76:
”土器(24)”の下から2段目右に有り、
遺物番号は土器の通し番号の第249番と
の旨、ナンバリングされている。下部に、
横筋縄文模様の入った土器の破片で、上部
は、たまたまだろうが平らである。

西島松奔王.gif

 上図のように、右上に擦れて「奉」、離れ
て右下に、漢字でかなりはっきり「王」の
ように見える煤模様が在り、2文字の間に
「工」の字の、下線が右に延びた模様の下に、
更に薄く、漢字で「奉」とあり、「奉奉王」
のようである。更に、王の右隣に「人一」
と書かれ、そのずっと左の、図内で中央やや
左下に「金」「全」「墓」等に読める模様が
有る。たぶん「墓」であろう。それらをまと
めると「奉奉人一王墓」の意図かもしれない。
擦文期に出土した縄文土器に墨書して、西洋
紀元7~8世紀頃に故人の墓に埋葬した遺物
が包含層に混じって、現代になり再出土した、
疑いも有ると私見する。
 次に、「山奉」土器については、第2写真
図版pdfの、写真図版第105:
”土器(53)”の、最上段左に在り、
遺物番号は土器の通し番号の第475番との
旨ナンバリングされている。椀のように、私
には見える土器である。発掘報告書第185
ページによると、鉢とされる。模様は無いよ
うである。

西島松山泰.gif

 上図のように、4文字中央上部に在るよう
に見え、右寄りの2文字の黒い模様が、縦に
2文字で「山奉」のように、私には見る。
またその左隣の残りの2文字は「山王」かも
しれない。右の2文字以外は、はっきりとは
してい無い。
 更に左下にも、何かイラストのような黒い
模様が在る。

帆柱が付いた、海を渡って来る、≪船の絵≫
かもしれない。

だとすれば、大発見だ。
 「山奉山王」とすれば北海道では縄文晩期
で本州以南の弥生中期の、渡来人の墨書かも
しれないが。前の「奉王」型墨書縄文土器の
例と同様、擦紋期に、現地の簡単な漢字記号
の書ける住人の掘り出して書いた、縄文晩期
土器を転用した祭祀用鉢型土器かもしれない。
 以上まとめると。少なくとも「奉王」土器
については、

たまたま掘り出して見つけた縄文土器を、
擦文期に、故人の墓に埋葬する遺物に、転用
した

のではないかと私は疑う。山奉土器について
は、墨書の成立年代の特定は困難だが。
 どちらも北海道石狩平野のこの遺跡と本州
以南とで、簡単な識字が出来る住人の質には、
さして差が無いとの心象を、本ブログ管理人
に与える史料だと考えている。(2024/08/24)
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