SSブログ

独の古将棋クーリエ下準備指は梅林と岡野で前者正解(長さん)

世界の主な将棋で岡野伸は西暦2005年に、
チェスへの変化として、グランドアセドレフ
に加えて、ドイツ古将棋(15世紀頃か)の
クーリエを追加した。ドイツルネサンス期と
聞くルーカス・クラナッハの絵画に描かれて
いるので著名である。このゲームは、実質的
な初期配列ルールが、表題のように、梅林勲
の「世界の将棋/2000」と、岡野伸の
「世界の主な将棋/2005」で、袖の農夫
を2升目、予め前進させるのか、元の2段目
位置で出発するのか、という点に関し少し違っ
ている。
 ここでは、どちらが正しいのかを考察し、

梅林説の方が尤もらしい

と述べた上で、くせ者のクーリエではなくて、
岡野伸は、普通のチェスを増補しても良かっ
たのでは無いかとの旨、以下のように述べる。
 このゲームは、横の列数=筋数だけが、西
洋チェスやイスラムシャトランジよりも4列
増え12列8段配列48枚制のチェスである。
 前調整変形前は2段配列の農夫が、最奥で、
インド/チャトランガ型か、クイーン一本成
りかをするのだが、ゲーム前にその都度どち
らのルールにするのかを、相談して決めるら
しい。
 配列の特徴は、袖に僧侶(飛脚/クーリエ)
と騎士の間に、中国シャンチーの象(射手)
を挟めているゲームと見るのが、現代人には
判り易い。その為、

騎士(ナイト)前の農夫が、初期配列で、
繋ぎが切れて浮いている。

 更に、中央四列に、簡単に言うと、先手/
白側について熊目(人間)、玉将、猫叉(女
王)、嗔猪(道化)と金気の歩み駒を並べる。
なお普通のチェス同様、先手・後手は中央ラ
インに対し線対称配列である。日本の駒数多
数取り捨て将棋を思わせるような配列である。
その為、一見して

ディフェンス(防御)がオフェンス(攻撃)
に対して過多であり、駒余り終局は見えてお
り、ゲームの出来は余り良く無い。

 絵画に描かれるまでに、中世末ドイツ文化
で著名というだけの事であると少なくとも私
には疑われる。
 その為の調整で、初期配列を、梅林勲の
世界の将棋では、両飛車(城)、猫叉の前の
計3つの駒を2歩前進させて4段目に置き、
猫叉(女王)自体を第1手目に自分の駒の位
置に載っても良いという条件で、2手動かし
た初期配列(3通り)から出発してゲームを
する。
 ここで、中央右辺の猫叉前の農夫の前進は、
相手の右象(射手)が1手で只取りを掛けら
れる位置にわざと置く事によって、

日本将棋流の、玉囲い将棋を避けて、防御
過多を緩和する為

のものとみられる。また、袖農夫の上げは、
2列目の3段目に互いに飛車(城)を置いて
から、互い取りしてしまうのを防止して、

攻撃力が更に消耗し無いようにしていると私

見的には思考される。
 ところで、岡野伸著書「世界の主な将棋/
2005」では、「袖の農夫の2歩予め上げ」
が梅林勲の文面から、削除されているのに私
は、チェックをしていて気がついた。
 察するに、岡野は、余り他の東南アジア等
のチェス系ゲームでは見慣れない、飛車(城)
前農夫の2歩上げを不審に思い、梅林勲の世
界の将棋/2000から削除したのだろうが、

元の梅林説の方が、今述べた理由で正しい

のではないかと私は疑っている。飛車(城)
が騎士の2つ前の升目同士で睨み合っている
取り捨てゲームは、防御が過多の懸念がある
場合には、クーリエのゲームデザイナーには、

気持ちの悪い配列の有る棋譜

のはずである。
 以上の事から、古くはドイツで確かに指さ
れたので、絵画でも見かけるのだろうが。
 このクーリエを、西洋チェスへの進化の歴
史の節目として、「主な将棋」に入れるまで
には、余りにツギハギだらけであり、そこま
で、行かなかったのかもしれないと私見する。
 増補で「世界の主な将棋」に日本の歴史的
将棋の項目が、増量されたが。西洋チェスは、
希少ゲームを衰微させる元になっているとの
岡野の認識だと思うが、彼の著書では記載が、
避けられ続けているように私には見える。
 が、著書の表題を「主な」としているから
には、最終章では西洋チェスのルールを記載
せざるを得なかったのではないかと、この自
費出版図書の構成を見て、個人的にだが、私
は思っている。(2024/11/18)

nice!(10)  コメント(2) 
共通テーマ:趣味・カルチャー