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ソ連時代のロシアはゲーム史成果の啓蒙普及力小(長さん)

旧ソ連のボードゲーム史で思い出す事は何かと言えば、
イスラムシャトランジの具象形の駒の発見というのが、
西暦2020年代の現代では直ちに浮かぶ。
 西洋チェスが未成立だった千年以上前に、イスラム圏
から伝来したシャトランジが、ルールはそのままとして、
偶像崇拝を禁止する教義の地域から脱出したために、王・
臣・象・馬・車・兵が、具体的な人間や動物の形で出土
しているとの旨の、ソ連崩壊後の、世界遊戯史界の驚き
の成果が著名だからである。
 いっけんすると後知恵からすると、ベールに包まれて
いただけで、ソ連時代にも、イスラムシャトランジの、
具象的ゲーム具は、ソ連域内では、存在が良く知られて
いて、一般の知識人の間でも、話が普及していたように
も予想される。が、どうもそうでは無いらしい。
 下記の西暦1998年発行の日本語版の成書に、
「ロシアのチェスは、約千年前に中国から伝来した」と
の旨の、今にしては奇異な記載が在る。

ビジュアル博物館/第73集「ロシア」/キャスリーン
バートン ミューレル著、西暦1998年、㈱同朋舎。
 その、第54ページ付近「国民の娯楽」の上段、
「チェスのチャンピオン」に、その旨、書かれている。

 イスラムシャトランジが、千年以前よりも前に、西
アジアから伝わり、具象駒で指されていた事は、ロシア
国内の遊戯史研究者には、史料の存在として知られて
いたはずであるが。この西暦1998年前後に日本語版
が出た成書の記載から見て欧州の、遊戯史が専門では無
いとみられる歴史学者が、識者から又聞きして、具象駒
型イスラムシャトランジの情報が、聞き出せる程度に、
ロシア国内で、ロシアのチェス史の情報が、ソ連崩壊時
点で普及していたとは考えにくいとは、一応言えるよう
に私はこの記載を目にして感じる。
 ソ連時代のボードゲーム史はロシア国内で、研究者が
情報収集の壁で孤島化していたと言うよりは、遊戯史研
究自体が今よりかなり低調だったというイメージの方が、
ロシアのチェス中国より伝来説の存在を、かなり説明し
易いように、私は疑う。チェス史が現行の形に近くなっ
たのは、ソ連が成立するより、かなり前だからである。
(2024/12/19)

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