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一乗谷朝倉氏遺跡出土将棋駒絵付き墨書木札釈文作成(長さん)

以前に、かるたの一種、あるいは北周の武帝の
臣僚のユ信による、武帝完成の象経に対する賦:
「陰翻れば即ち顧兎先ず出て、陽変ずれば則ち
霊鳥独り明らかなり」を図示したものと、本
ブログで解釈した、表題の福井県福井市一乗谷
朝倉氏遺跡出土の「将棋駒絵付き墨書木札」の
写真が、最近奈良文化財研究所発掘報告書デー
タベース、全国遺跡報告総覧に登録された発掘
報告書の中でweb上に公開された。ので今回、
本ブログなりに、発掘報告書の内容を踏まえて、
カラスとネズミは絵で書いたとして、それらを、
「カラ」、「チュウ」と読んだ上で、釈文例を
作成してみたので、以下に結果を紹介する。

「カラガラカンと宙返ろう!」

と、気勢を揚げている手締言葉が書かれたと私
は考える。戦国時代に現地で、不利な、厳しい
イクサが行われたのであろう。
 写真の載った発掘報告書は、繰り返すと奈良
文化財研究所の発掘報告書データベース、全国
遺跡報告総覧に登録され、現在公開されている。
 pdfファィル名は、以下の通りである
140807_1_特別史跡一乗谷朝倉氏遺跡発掘調査報告.pdf
 発掘報告書の名称は、以下の通りである。
特別史跡一乗谷朝倉氏遺跡発掘調杏報告Ⅰ、
1979年、福井県教育委員会。
 発掘報告書第1ページ付近の「序言」により
遺跡の場所は、福井県福井市城戸ノ内町22番
18。遺物が出土したのは、第9次調査時で、
西暦1973年前後の事のようである。なお、
このときの発掘で、将棋駒が多数出土している。
 遺物の成立年代は、戦国期の一乗谷朝倉氏の
活動末期だとされている。
 遺物の写真は、発掘報告書写真図版(PL.)
第35:”墨書木製品(2)・札”の右側端中
段に在り、遺物番号、第51番との旨ナンバリ
ングされ、発掘報告書内で「呪術札」と見なさ
れた「玉将」駒の白黒反転画の有る絵札である。

がらがらかん宙返ろう.gif

 スケッチ図から、本ブログでは従来内容を
解釈しようとしていたが、写真がwebにも公
開され、格段に解釈が容易になった。
 スケッチ図の印象と違うのは、右側の面の上
段の動物は、

長い耳では無くて、首下に長い毛並みのある
ネズミという事

である。「陰翻れ」て出てきたのは、「顧兎」
では無くて「太った王将」とは対照的な「小さ
な鼠」である。陽から陰に代わり、大爬虫類か
ら、小哺乳類へ、主役か移ったようなイメージ
とも取れる。だから、兎でなく鼠でも、良いと
は言えるので、将棋と北周の武帝との関係は、
踏まえていると言えば、そうも言えるのではな
いかと私は依然として考える。シリトリで「兎」→
「玉将」は出来るが、「鼠」→「玉将」や、
「王将」は駄目だから、以前の本ブログの

シリトリ札説は、取り下げる事にしたい。

また、ウラとオモテ解釈は逆で、釈文はカラス
の書いてある面から始める。
 発掘報告書によると、その面の最上段の絵は、
カラス、その下は漢字であるとされ、「魚」、
「則」と読んでいる。画像を見れば一目だが、

第2字目とされるものは「゛」、「烏(の異字)」
の2つに分かれている

と本ブログでは解釈。又下段字は「則」で無く、

「肝」の略字で、音読みして「カン」

と読み、最初にカラスの書いてある面は擬音で、

「カラガラカン」と本来カタカナ書きする内容

だと、私は考える。「心躍らせて」の意味と見
られる。
 次に、最上段が兎とされた面は、第1絵を
「チュー」と読み「宙」の引っ掛けと釈す。
 次に、第2字目だが発掘報告書はヒキガエル
の絵と解釈しているとの旨の記載が、第69
ページ付近にあるが、「替える」を表す記号だ
と、本ブログでは見る。以前は「石」かとも私
は思ったと述べたと記憶するが、第2字目に見
えるものは実は記号であり、

陰陽の変化、「替える」を運転免許の若葉マー
ク型で表現

している事は、写真からは明らかで、今回私に
は、初めて理解出来た。
 一番下の玉将駒は「おう」と読み、「替える」
と「おう」で、「返るおう」→「返ろう」と読
むとみる。
 結局鼠の絵の「チュウ」「宙」から続けると、

「宙返えろう!」と釈文される

と思う。オモテ面と繋げると、結局

「カラガラカンと宙返えろう!」となり、戦の
前の勝ちを祈念した気勢を表した、ポジティブ
な呪術札

という事になる。肝をカラガラと奮闘させて、
不利なイクサを乗り切ろうという、怒号という
意味である。
 将棋も、そのような「運気」に乗れば勝てる
と、牛僧孺の玄怪録「岑順」にも出ている為、
将棋駒も、入っているのである。だから冒頭で
述べたように、この札を作成した人物が、
「象経」に関連して臣僚のユ信が著作した、
武帝に対する賦を理解している可能性は私には、
充分に有るのではないかと依然として疑われる。
今のところ、発掘報告書に載った該遺物の写真
に基づいて、本ブログでは、以上のような釈文
案を、今の時点で提示しておくことに致したい。
(2024/12/29)

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