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なぜイスラム4×16段象棋は隣国インドに伝来無(長さん)

世界の将棋・改訂版、将棋天国社、2000
梅林勲、岡野伸によると、恐らく中国の王朝
で宋代頃に、イスラム諸国に於いて、ゲーム
盤が4×16段のイスラムシャトランジの類
が指されていたという事である。ゲームの
名称として、シャトランジ・アツ・タウィール
と、同書では表現されている。今回は、この
形の将棋盤が、インドに逆輸入されなかった
理由についてを論題とする。見通しをつける
ため、回答から書く。

角行動きの象駒が、この時点の二人制チャト
ランガに有った為とみられるためである。

では、論を開始する。前記の16段型の
イスラムシャトランジでは、歩兵同士の間が、
2段のものもあれば、8段のものもある。
初期配列が一定しておらず、世界の将棋では
7種類記載されている。しかし、

広めであり、4~6段空きが普通

である。そこで短手数で勝負を付けるのには
不向きと考えられる。だから、

ミャンマーでは、このようなゲーム盤を使っ
て象棋類は指さない

とみられる。では、より近間のインドではど
うかと言う事になるのである。
 実は、インドの北宋時代の将棋は、イスラ
ムの学者、アル・ビールーニによって記載さ
れた四人制チャトランガのみが知られ、2人
制のルールは、判っていない。しかし本ブロ
グによれば、第5の王がルールブックに記載
されているという、少し後の文献記載から、
二人制のルールを借用したに違いないと、本
ブログ独自に推定して来た。
 アル・ビールーニの紹介に関する記録が、
H・J・R・マレーも指摘していたように曖
昧で、インド11世紀古チャトランガの象の
ルールは、2人制についても4人制について
も同様に、飛車動きなのか、角行なのか、そ
の他例えば、銀将動きなのか、実ははっきり
しない。
 しかしながら、仮に本ブログがそう見てい
るように、この時代のインドの2人制古
チャトランガの象駒が角行動きならば、
イスラムシャトランジのような、4×16段
2人制インド古チャトランガは、少なくとも
発生しないはずだ。
 なぜなら、象が角行動きだと、相手陣を
直接睨める位置が無くなってしまい、
ゲームが、散漫になるからである。
つまり象がイスラムシャトランジのように、

斜めに2升先跳びの場合だけ、16段盤の
ゲームでも、なんとか我慢できる

という意味である。
 イスラムシャトランジは、少なくとも
表向きは、賭博用のゲームでは無かったので
あろう。中国や日本では、以下のような性質
のために嫌われたというのが、本ブログの、
これまた独自の見方なのだが。すなわち、

序中盤緩々と、馬と象が中断で小競り合いを
繰り返すゲームが、結構面白いのではないか
と見て、4×16段盤32枚制のタウィール
型イスラムシャトランジは、考え出されたの
ではあるまいか。

 逆に言うと、象が飛車、戦車または船が、
イスラムシャトランジの飛龍動きの象という、
ビールーニ反転したゲームが、11世紀
2人制インド古チャトランガなら、イスラム
シャトランジの変形を、インドでも真似て、
4×16段盤のインドチャトランガバージョン
が、出来たのかもしれないのではないか。し
かし、実際にはあいにく、ちょどその頃、

インドの将棋の象は角行動きで、長細盤は、
都合が悪かった

のであろう。その為、インド版の、
長方形版・チャトランガ(Oblong 
chess)は、出来なかったのではないか。
 だから根拠が淡いが、イスラムだけに長方
形チェスがあるのは、

11世紀にインドの2人制古チャトランガの
象駒が、角行動きが主流だった証拠になるの
かもしれない。

以上のように、私は考えるのである。
 なお、大駒が2段置きになる場合、インド
将棋・象棋ゲームのポーンの成りは、同じ列
の、どちらか一方というやり方になるようだ。
(2020/09/08)

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