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なぜ石名田木舟遺跡金将駒には金が2文字有る(長さん)

以下、富山県(現)高岡市木舟の
石名田木舟(B2)遺跡出土駒のうちの
1枚、改造金将駒の金将面に書かれた、
特殊な表記を解析する話題である。良く
見ると、この出土将棋駒には、

割ったために部分的にしか見えない金と将
の字の他に、下の図のように金の右に、
小さな金の字が、もう1字書かれている。

今回は、

右半分の金ではわかりにくいので、もう一
つ別に”金”の字をわざわざ書いたようだ

との旨を述べる。

石名田木舟金将.gif

 問題の遺物を本ブログではかつて、
山形県天童市将棋資料館発行の、
天童の将棋駒と全国遺跡出土駒(2003)
で議論した。同書43ページの最後の段に、
富山県文化振興財団埋蔵文化財調査事務所
の説明によれば聞香札とされている、
”王”木札と共に、その右に、オモテ面の
問題の遺物の写真のみがある。
 基本的に解像度に差はほとんど無いと私
は見るが、以下の発掘報告書には、同じと
みられるオモテ面の写真が有る。そして、
そればかりでなく、裏面の写真もある。
富山県文化振興財団埋蔵文化財発掘調査報告
第14集”石名田木舟遺跡発掘調査報告”
能越自動車道建設に伴う埋蔵文化財発掘報告Ⅲ
第二分冊中世以降編、2002年、財団法人
富山県文化振興財団埋蔵文化財調査事務所。
 今回は、このweb上の写真を使って
説明する。
 なお、報告書は、奈良文化財研究所の
発掘報告書データベース、
全国遺跡報告総覧に登録されている。
写真の載っているpdfファイル名は、
以下の通りである。
5597_15_石名田木舟遺跡発掘調査報告.pdf
このpdfファイルの図版145の左上に、
上に示した図の遺物が載っている。
 遺物の説明は、全国遺跡報告総覧に登録
するときに分割された、別の以下のpdf
に有る。
5597_4_石名田木舟遺跡発掘調査報告.pdf
このpdfファイルの173ページの、
上から4行目に、”長さ3.3cm、幅は
上端で7mm(2mmは誤り)、下端で、
約1.1cm”の、金将駒を割ったような
形になっているとの旨が、記載されており、

香車または歩兵を、プレー中に一枚紛失

したので、金将を割って細長くして香車等
に改造予定であったのだろうと、以前に本
ブログでは論じた。
 以前に議論したときには、裏面の写真が
無い状況だったので、無地なのか、消えか
かりの香車かは、私には判らなかった。
 発掘報告書が前記のように入手出来たの
で、今回は良く見て、裏面には文字は無く

まだ、改造の為の墨書は無い

事が判った。
 スケッチが発掘報告書、天童将棋資料館
カタログの何れにもあるが、参考にしなが
ら、私の方でオモテ面の墨書きについて、
先の図のようになぞってみた。細部は報告
書とは合わないが、概念的には、報告書の
解釈で正しいと、私も思う。ただし、報告
書に無いのは、私が上図で紫色の輪郭線で
示した

小さな金の字

だ。これは報告書では、あるはずが無いと
見たので、書かなかったと解釈しても特段
おかしくは無いように、私には見える。
 この小さな金の字については、不注意か
ら私は、天童将棋資料館本を所持している
にも係わらず、ずっと見落とし続けていて
いた。そしてやっと最近、その存在に気が
ついた。何れにしても駒師が、このような
事をしたのは、単に

将は判るが金が判りにくかったので書き直
しただけ

だろう。以前に結論したように、室町時代
前期には、成り金の

裏が香車かどうかは、やはり単に、駒の
長細さで表現して示すのが普通

だった。その事は、

こんなにいい加減なやり方で、成り金を表
現した事その事、からみても充分に明らか

だと私は考えるのである。(2021/01/23)

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