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国が単に國の草書という説への疑問(長さん)

以前に本ブログで、角川書店の新字源”
小川環樹他編者1968年に、『字体
”国”の源は、口の中に王と書く字で、
結果としてそれに打点したもの』との
旨で説明されていると、杉本つとむ氏
の漢字百珍を通して紹介した。
 だが西暦2018年前後に、別の説
を述べた成書が出版されたようだ。
青木逸平氏によると、『国は単に國の
字の草書』との事である。今回は、
後者が正しいかどうか証拠を探したが、
見つからなかったとの旨を述べる。
 比較的近年に書かれた青木逸平氏著
の成書とは、以下の通りである。
「旧字源」青木逸平、瀬谷出版、
2018年。
 89ページの”国”という『新字体
についての説明』の節に、その旨ある。
 そこで、國の草書の説明の有る成書
をあたった。が”国と國の草書”とい
う項目名でしか草書体を紹介している
本が私には見当ら無い。確かに旧字源
の論の国を崩したような草書の書かれ
た成書と、下の線が無く、国がまえが
同の構えに変えられたような字を書い
た成書は確認できた。だが、国のよう
なすこし、崩れた字が本当に

國直結なのかどうか、ごちゃ混ぜに、
字が並んでいるだけのように私には見
え、いまひとつ根拠が判らなかった。

そこで、中国式の國の字体の変形だけ
集めたと見られる、以下の成書をあたっ
てみた。
楷行草・名跡大字典、木耳社、西暦
2002年
 今述べた本の504ページに、國を
楷書や草書で書いたような名跡が12
出ているが、

国に見える字は見当たらない。

”或”の部分の、頭から右下への円弧
型の画の存在が、國の字では草書に崩
しても保存されると私には認識された。
以上の結果から、結局冒頭に述べたよ
うに。角川書店の”新字源”小川環樹
他編書、1968年に書かれたように、
”それが書かれる環境下で、俗字であ
るところの口で囲った王の字に混じっ
て字体『国』が、成立は後ではあるに
しても、従前から有るので教育漢字と
なった”とほぼ取れる内容が簡単には

否定出来るように私には見え無かった。

以上のように、現時点で私にはやはり
思えるようになった。よって漢字百珍
で杉本つとむ氏が指摘するように、

教育漢字のくにの字を国と決めるとき、
完全に公平な姿勢で決めたとは、言い
がたかった。

その結果、将棋史家だけが、法外に得
をした。以上の疑いが有るように、依
然として私には感じられたのである。
(2021/03/29)

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