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武蔵国府跡の名札状砥石は頭薄が新発見(長さん)

一ヶ月ほど前、本ブログで4年前の表題遺跡
発掘時、荷札用等の札のように私には見える、
9世紀の砥石が出土している旨を紹介した。
将棋駒型の為、後の将棋駒へ名札が転用され
た証拠だとの旨述べたが、その際出土石製品
の厚みが、頭薄底厚になっている事を指摘
せず、「穴」が、均一厚みのときよりも、開
け易かったとみられる点について、私は言及
を落してしまったようだ。実は、

穴を頭薄にして、頭部に作成し易くする例の
初見の疑いが有る重大遺物

のようである。増川宏一著「ものと人間の文
化史」23-1「将棋Ⅰ」の第142ページ
付近に紹介された、正倉院遺物の経帙牌は、
厚みが均一なようだからである。
 この砥石は、繰り返すとweb上に公開さ
れているが、奈良文化財研究所、発掘報告書
データベース/全国遺跡報告総覧上のpdf
ファイル名と、書誌事項は以下の通りである。
 pdfファィル名は、以下の通りである。
138940_13_府中市の遺跡.pdf
発掘報告書の書誌は以下の通りである。
府中市埋蔵文化財調査報告第238集
府中市の遺跡1、2024年3月、府中市
教育委員会。
 遺物の写真は、写真図版第1868-18
図(発掘報告書のページで第63ページ)の、
上から3段目左と中央にある。
 遺物の寸法説明は発掘報告書第13pdf
の第60ページ付近の記載により、以下のよ
うになっている。長さ5.8センチ、上部
巾3センチ、下部巾4.3センチ。上部厚み
0.8センチ、下部厚み2.5センチ。
 以前最初に紹介したときに、将棋駒型と
相似形のこの遺物の写真を示したが、大きさ
は2倍弱有り、物自体は将棋駒よりもかなり
大きくて、将棋駒と同じ大きさの名札よりは
使いやすいだろうが、将棋駒の直接の先祖と
は考えられない。
 ただし、0.8センチと、将棋駒の下部の
厚みに近い頭部に、横にズレているが、鉄製
のキリ状の物品で無理やり穴を開けるには、
都合の良い肉薄厚みに、頭部だけなっている。
更に同pdf第60ページ表により、穴が、

将棋駒型に割れてから、作られた

と取れる旨が付記されていて、最初は砥石
だったが、使用しているうちに、名札のよう
な形態に、たまたまなったので、

あけやすい頭部に穴をあけた上で、名札に
転用されたようにも見える

ようである。
 石の札の出土例が、そう多くは無い為に、
今まで見つからなかっただけかもしれないが。
木と違って特に石は硬くて穴を開けにくいの
ので、頭部が肉薄になるように、使い方を

工夫してから、頭部に穴を開けて名札を作成
した証拠となる初の物品出土例の疑いがある

ようである。
 将棋駒の頭部が底部に比べて、手間をかけ
て薄くしているのは、駒を生き物のように見
たときに、前方に力をこめているように見え
るからだろうと私は思うが、元々はそのよう
な観点からわざわざ、より手間が必要な形に
木片を切り出したのでは無くて、将棋駒が、
名札を転用する前の、名札そのものであった
ときに、

材料が木製であっても、安定して穴を開ける
には開ける部分が、薄い方が単に楽

だったからだけである疑いを持たせる遺物の
ように、以上の状況からは疑えるようだ。
 武蔵国府跡で4年前出土した名札状砥石は、

将棋駒の厚みが、頭部と底部で変えてある場
合があるが、理由や起源が、何なのかを示唆
している

という点が、この遺物が内在する情報として
は、特に新しい、ユニークな知見という事に
なるように、よって私には思えてきたという
事になる。(2024/05/07)

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