7升26枚仮称鳥獣戯画将棋は飽き無いか(長さん)
これまで述べたように、日本将棋から
飛車角を取り、玉の上に角行動きと
みられる酔象を置き、香車列を無くして、
桂馬の頭の歩兵を取った、7×7升目
26枚制取捨ての将棋こそ、鳥獣戯画の
7升目将棋では無いかとみられた。
この将棋には、先手が酔象を6六位置で
上げ止め、後手の7三酔象の出過ぎを咎め
て勝つ戦術が取られたのではないかという
事だった。
絵画の画題になるほどだから、12世紀
頃には、盛んに指されたはずだが。騙すよ
うな、このやり方の手口が単純過ぎて、
そのうち知れ渡ってしまい、この程度の内
容のゲームでは、飽きるのも速いのではな
いかと疑われる。
そこで今回は、人気が持続するのに何が
起こっていたのかを、20~30局程度
一人指しし、様子を調べてみた。その結果、
後手有利な将棋であるが、真似将棋を指す
と返って不利という、メカニズムで人気を
保ったのではないかと、推定
された。以下に要旨を述べる。
この将棋は元来、酔象を最下段の、先手
で表せば3七か5七の位置に下げた陣に、
大きな攻撃力が有る。
酔象先に銀を繋げるなどして、相手を叩
くのであるが、
角行動きの酔象自体が、上ずると相手の
攻撃目標になる
のである。そこで、後手が先手の線対称
真似将棋を指そうという意識が有る場合、
先手が、角動きの酔象の前出し陣形をを
作ると、後手はうっかりそれに乗り、そ
れを見て、先手が角を引いても、調子に
乗って仕掛けの段階に、移行してしまう
のである。▲6六酔象として▽7三酔象
としてくれたら大喜びだが、▽6二酔
象と真似られたら、更に▲5七酔象と戻
す手が有るのである。
つまり、角行動きの駒が、最下段に居る
陣が、この将棋では最も攻め強いとは、
人間に視覚的に認識され難い性質がある。
それに引っかかって、本来なら後手勝
ちの傾向が強いにも係わらず、
何回も先手が後手側を、引っ掛ける事が
出来るので、ゲームの人気が比較的持続
したのではないかとみられる。
即ち以下は前述の▲5六金、▽5二金、
▲5七酔象▽5一酔象▲6六酔象
▽6二酔象▲5七酔象と指したところで
ある。
後手は結局、6二の位置に酔象が居る
のだが、
尤もらしく見え▽5一酔象として、先手
の真似をして5一の位置には戻し難い
ところである。そこで、それはせずに、
▽2二銀等として、駒を進めて先攻めを
目指すのだが、5七の位置に酔象の居る
先手の方が有利である。
相当な回数、この将棋を指さないと、
先手が2段目に酔象を動かした手を、真
似ないで、単純に1段目の5一の位置に
酔象を置いた状態で攻めると、勝ち易い
のに気が付か無いので。後手のうっかり
手拍子真似の▽6二酔象のおかげで、先
手にもしばしば勝機が有ったのであろう。
この将棋が、少なくとも2~30年位
以上は流行っていたとしか考えられない
のは、以上のカラクリが知れ渡るまで幾
らか時間を要したからではないかと、私
はチェックしてみて疑うのである。
(2023/08/28)
飛車角を取り、玉の上に角行動きと
みられる酔象を置き、香車列を無くして、
桂馬の頭の歩兵を取った、7×7升目
26枚制取捨ての将棋こそ、鳥獣戯画の
7升目将棋では無いかとみられた。
この将棋には、先手が酔象を6六位置で
上げ止め、後手の7三酔象の出過ぎを咎め
て勝つ戦術が取られたのではないかという
事だった。
絵画の画題になるほどだから、12世紀
頃には、盛んに指されたはずだが。騙すよ
うな、このやり方の手口が単純過ぎて、
そのうち知れ渡ってしまい、この程度の内
容のゲームでは、飽きるのも速いのではな
いかと疑われる。
そこで今回は、人気が持続するのに何が
起こっていたのかを、20~30局程度
一人指しし、様子を調べてみた。その結果、
後手有利な将棋であるが、真似将棋を指す
と返って不利という、メカニズムで人気を
保ったのではないかと、推定
された。以下に要旨を述べる。
この将棋は元来、酔象を最下段の、先手
で表せば3七か5七の位置に下げた陣に、
大きな攻撃力が有る。
酔象先に銀を繋げるなどして、相手を叩
くのであるが、
角行動きの酔象自体が、上ずると相手の
攻撃目標になる
のである。そこで、後手が先手の線対称
真似将棋を指そうという意識が有る場合、
先手が、角動きの酔象の前出し陣形をを
作ると、後手はうっかりそれに乗り、そ
れを見て、先手が角を引いても、調子に
乗って仕掛けの段階に、移行してしまう
のである。▲6六酔象として▽7三酔象
としてくれたら大喜びだが、▽6二酔
象と真似られたら、更に▲5七酔象と戻
す手が有るのである。
つまり、角行動きの駒が、最下段に居る
陣が、この将棋では最も攻め強いとは、
人間に視覚的に認識され難い性質がある。
それに引っかかって、本来なら後手勝
ちの傾向が強いにも係わらず、
何回も先手が後手側を、引っ掛ける事が
出来るので、ゲームの人気が比較的持続
したのではないかとみられる。
即ち以下は前述の▲5六金、▽5二金、
▲5七酔象▽5一酔象▲6六酔象
▽6二酔象▲5七酔象と指したところで
ある。
後手は結局、6二の位置に酔象が居る
のだが、
尤もらしく見え▽5一酔象として、先手
の真似をして5一の位置には戻し難い
ところである。そこで、それはせずに、
▽2二銀等として、駒を進めて先攻めを
目指すのだが、5七の位置に酔象の居る
先手の方が有利である。
相当な回数、この将棋を指さないと、
先手が2段目に酔象を動かした手を、真
似ないで、単純に1段目の5一の位置に
酔象を置いた状態で攻めると、勝ち易い
のに気が付か無いので。後手のうっかり
手拍子真似の▽6二酔象のおかげで、先
手にもしばしば勝機が有ったのであろう。
この将棋が、少なくとも2~30年位
以上は流行っていたとしか考えられない
のは、以上のカラクリが知れ渡るまで幾
らか時間を要したからではないかと、私
はチェックしてみて疑うのである。
(2023/08/28)
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