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王将~桂馬が同じで成ルール・香車が違うゲームの日本の将棋との差(長さん)

前回、駒が相手陣の3段目で金将に成るという、中盤以降金塊を盤に飾っ
て楽しむ、原始平安小将棋の性質だけが無く、その他がほぼ、平安小将棋
の、仮説11世紀のアンコール王国の象棋を紹介した。その場合、確かに
中盤、盤面に成りの金が出来ないと言う点では、平安小将棋とは違うの
だろうが、王将、金将、銀将、桂馬が、元の駒としては、全くルールが
同じで成らないだけであり、歩兵は、相手の駒を取るときには、斜め前
に進むにしても、その他の動きは、日本将棋と同じなわけであるから、
全体の雰囲気に、日本将棋らしさが、少しは有るのではないかと疑い、
その点に私は興味が有ったので、実際に3局程度、指してみた。ちなみ
に、再度掲載すると、この将棋は、以下のようなルールである。
 初期配列は、8×8升目象棋であって、1・2段目だけに駒を並べ、

二段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
一段目:飛車桂馬銀将王将金将銀将桂馬飛車

とする。
 次に成りは、つぎのようになる。

二段目:飛車桂馬銀将金将不成銀将桂馬飛車
一段目:不成不成不成不成不成不成不成不成

ただし、成りの条件が、日本の将棋と全く異なる。すなわち歩兵だけが、
相手陣の最奥で、其処に居る、相手の駒に成る。駒を取った時斜めに進む
ので、上の成りの図は、厳密には正しくないが、平均的なケースが、書い
てある。なおこれは、インドの10世紀頃の、四人制時代の二人制チャト
ランガの成り方と、同じルールである。
 なお前回と異なり、ルールを間違えそうなため、香車は飛車で表記した。
 実際に差してみると、

イスラムシャトランジの地方変種そのものであって、日本の8升目型平安
小将棋の香りは、全くしないゲームである。

 金将や銀将が、確かに存在するのに、日本の将棋の懐かしさは、まるで
感じられない。駒が成らず、本来の香車の位置に、

飛車が居るというだけで、こんなに違う物かと、驚かされるほど

である。すなわち、金将や銀将等が有ると、最大限好意的に11世紀のカ
ンボジアのゲームを仮定しても、それは、

飛車が2枚あるし、成り金は余り出来ないので、イスラムシャトランジの
類と結論できる。

 指していて、この玉・金・銀・桂馬のそっくりさんゲームは、カンボジ
アから、日本にたまたま10世紀中頃に漂着した、船乗りに実際に指され
ていて、彼の道具箱が将棋盤、桂馬以外が仏塔のような立体駒が駒のゲー
ムが、本当に有ったのではないかとの、空想を描きたてた。日本の港に、
彼が漂着するとそこで、誘われて指した、港の日本人が、本当にいたので
はないかと、私には思えてきたのである。その日本人は以前、中国五代~
北宋の交易商人等から、イスラムシャトランジを、教わった事が有ったの
かもしれない。が、車で、終盤に王を追い掛け回すだけのゲームであった
ため、「興味が無いのだが」と言ってみた。しかし今度は、イスラム帝国
のゲームではなくて、アンコール王国のゲームだと、カンボジアから来た
船乗りが言うので、付き合って指したみた。だが、やはり車で、終盤に王
を追い掛け回すだけの、ゲームである事には、変わりが無かった。
 そのため象棋というものは、皆こういうものかと、その日本人は考える
ようになり、その後二度と、将棋というものを指す事はなかった。つまり
本当に、そう言う事があったのではないかと思えるほど、この主に香車だ
け違う、日本将棋の駒を大部分使うゲームは、実際に、イスラムシャトラ
ンジが、最も近いゲームになっているのである。(2018/04/06)

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