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中国”砲”駒の砲の欧州式名称(長さん)

中国のシャンチーに存在する”砲”という駒の意味を、最近正確に調べなおして
みた。元寇のときに、中国軍がその類を使用して、日本の御家人武家を慌てさせ
たことで有名である。欧州の東ローマ帝国にも、この兵器は後に、東方から伝来
したという。中身は、”弾丸を火薬ではなくて、機械的な力で投げ飛ばして、遠
くまで飛ばす武器の系列”と、定義できる兵器群を指すと考えると、現実の状況
に合うように私には思える。欧州では、”平衡錘式トレビュシェット”と言う
武器があるらしい。原理の細かい点は、複数違うものが、ユーラシア大陸の各地
にあり、原始的なものは、相当に古い起源を持つらしい。
 ㈱原書房発行、ジョエル=レヴィ著、伊藤綺訳の「図説・世界史を変えた
50の武器」(2015年)によると、少なくとも1097年よりも前に、
中国で発明された武器が起源と、その著者は認識しているようである。ここで、
西暦1097年というのは、前に、凸型図形で、戦陣が現される経緯につい
て出てきた、北宋時代の武術の書「武経総要」に、この平衡錘式トレビュシェ
ットが、図で載っているのが、はっきり確認できる、最古のものだからのよう
である。なお、中国での言い伝えによると、中国型平衡錘式トレビュシェットは、
紀元前4世紀には存在したとされるという。これが正しいとすると、漢の時代
の、3人将棋の盤かと言われるものの時代にも、砲は有ることになってしまう
ので、真偽は重大である。ただし、三国鼎立の時代から隋の時代にかけて、
はっきりとした、象棋系ゲームの記録が中国には、見あたらないのではないかと、
考える。そのため今の所、個人的には、”三人象棋盤が象棋の類のゲーム盤”と
言う説は、かなり怪しいのではないかと、私は一応考えている。
 なお、上記著書には、平衡錘式トレビュシェットの発明年代について、それ
以上の情報は無い。増川宏一氏が、唐末とされている根拠となる文献は、
たぶん存在するのだろうが、私は確認していない。
 ちなみに、冒頭”平衡錘式トレビュシェット”の定義について、ゴムの弾性
力を使う、バチンコも含まれるように私は書いた。が、「世界史を変えた50
の武器」によれば、これには概ね3系統の武器が含まれ、純粋にメカニカル
な、腕状物体の急速なトルクを、砲弾の投げ飛ばし力に使うような機構のもの
だけが、類に含まれるらしい。よって、ゴム弾性という化学的な物質の性質を
使うパチンコのような、武器はこれには入らないらしい。
 これには2人で使用する小型のものも有ったというが、典型的には数十キロ
グラムの、大人一人の重さもある相当重い弾丸を、100~200メーターの
距離だけ飛ばして、敵を蹴散らすように設計されていたらしい。個人的には、
メカニカルな技術としては類似の、指南車が存在した三国鼎立の頃には、中国
人は、このような武器も、少なくとも原始的な物は、発明したのではないかと
思える。
 何れにしても、中国人がチェス・象棋型ゲームを本気でやり出したら、砲駒
は初期に入れる可能性が、大なのではないか。よって、唐代の将棋ゲームを
示唆する玄怪録の、”象棋駒を連想させるもの”に、”砲”駒に近い、跳び超
え落下型の駒が無いとすれば、中国に象棋型ゲームが有っても、中国人自体は、
あまり指してい無いか、その象棋は、中国の周辺国で指すゲームを、風物と
して述べているか、その両方が存在する可能性が有る、という事なのではない
かと、私は独自に推理するのである。(2017/07/16)