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日本将棋と同等の性能を持つ、9×9升目50枚制鹿将棋の作成(長さん)

前回までに、日本将棋以外で、それと同等の性能を持つ将棋として、本
ブログで、38枚制、40枚制、42枚制を紹介した。なお38枚制と、
42枚制には、特に名前をつけなかった。40枚制だけ、日本将棋と同
じ駒数の、持駒ルールの将棋なため、特別に馬将棋と名前を付けた。
 一方最近、日本将棋に酔象の他、猛豹をそれぞれに2枚づつ入れた、
古小将棋のチェック結果について、紹介もした。酔象成りの太子同士の
入玉した状態での寄せ合いで、猛豹の成った、盤面上の4枚の角行の
攻撃力により、46枚制で太子成り酔象有りのケースで、ゲームが成立
し、江戸時代の将棋本に、記録が残っているものと、推定された。
 このように42枚より、かなり越える枚数の、9升目型小将棋が有り
得る事になったので、40枚台後半から50枚程度の、日本将棋型ゲー
ムも作成可能かどうか、確かめる必要が出てきたと思われた。よって今
回は、表題の内容のような新ゲームの作成を、私は試みた。結果を以下
に紹介する。
 まずは、結論から先に書く。
 表題のような将棋も、作成可能であり、すなわち、問題の将棋の
初期配列は、以下のようになる。

三段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
二段目:口口猛虎踊鹿猛鹿金鹿猛鹿踊鹿猛虎口口
一段目:香車桂馬銀将金将玉将金将銀将桂馬香車

また、成ると各駒は、次のようになるものとする。
三段目:金将金将金将金将金将金将金将金将金将
二段目:口口飛鹿方行行猪白駒行猪方行飛鹿口口
一段目:金将金将金将不成不成不成金将金将金将

 前回までの議論によると、日本将棋系と言っても、詳しくは、現行の
日本将棋型のものと、太子成り酔象を入れて、防御を強くしておいてか
ら、太子を寄せるために、攻撃駒の枚数を増やす、猛豹古小将棋型が、
有り得る事が判っている。今回作成したのは、前者の太子成り

酔象の無いタイプのもの

である。
 このような将棋は、加える片方7枚の攻め駒を、適度に弱くして、全
体として、玉将を寄せるのに、ちょうど良い強さにしないと、良い持駒
ルール有りの、日本将棋型ゲームにはならない。その挑戦が主なハード
ルであった。なお、成りの条件、持駒ルールが有る事、持駒を打つとき、
2歩、行きどころが無い、その手で玉が詰む歩兵打ちが、禁止である事
は、日本将棋と全く同じにした。
 以下、駒の動かし方のルールを、まず結論的に述べる。
一段目と三段目は、これまでと同じく、日本将棋と同じ、標準型平安小
将棋の配列、駒のルールである。問題は二段目であるが、次のようにし
た。今回は42升目型同様、大局将棋から、駒を取り入れている。
 では中央から順に説明する。
 金鹿は、斜め前の2方向が走り、斜め後ろに2升目まで走る。斜め後
ろへは、3升目以遠は行けない。また、斜め後ろへ行くルールは、制限
升目が有る点以外は、通常の走りと同じパターンである。すなわち、
隣接升目とその向こうで止まれる。相手駒が有れば取るが、通常の走り
と同様、それ以上は行かない。
 金鹿は大局将棋では、白駒に成る。白駒は前後と斜め前の計4方向に
走る。その他の方向へは進めない。次に、
 猛鹿は、日本将棋の銀将と全く同じ動きである。すなわち、斜めと、
前の隣接升目の、計5方向に歩む。
 猛鹿は大局将棋と和将棋では、行猪に成る。行猪は、酔象と全く同じ
動きである。すなわち、後ろ以外の計7升目に歩む。次に、
 踊鹿は、大局将棋では、金将の動きに加えて、左右横へだけ、2升目
まで走れる。名前から、踊りの動きをしそうだが、ここでは世界の将棋
や、wikipediaの動きと、一応同じにしてみた。なお、横の動
きは、3升目以遠に行けない点以外、走りの動きと、パターンが一緒で
ある。蛇足だが、大大将棋の踊鹿は酔象の動きプラス、横2升目走りで
あり、大局将棋の金将プラス、横2升目走りとは、少し違う。今回は、
大局将棋ルール”の斜め後ろへ行かず、横2升目まで走り”を採用した。
 踊鹿は、大局将棋では方行へ成る。ただし、大局将棋の方行は、大大
将棋の方行と異なり、飛車の動きと全く同じである。すなわち、前後左
右走り、のみである。大局将棋の方行は、水無瀬兼成の将棋纂図部類抄
の、大大将棋の方行と同じ動きである。なお蛇足だが、江戸時代の、象
戯図式の大大将棋の方行は、飛車の動きに加えて、斜め前に歩む。前に、
本ブログで、108枚制仮説普通唱導集大将棋を改良するとき、この
象戯図式の方行の、斜め前動きを、初期配列で急所に利かせる事を狙っ
て採用したが、今回は、斜め前歩み動きは出来ないを、単純化のために
採用した。最後に、
 猛虎の動きだけ、調整して大局将棋ではなくて、平安大将棋の猛虎に
変えた。すなわち、ここでの猛虎は、斜め計4方向に歩む小駒であって、
大局将棋のルールである、香車の動きは、調整後不採用とした。なお、
大大将棋の、2升目まで走りの銅将の動きも、同様にチェックした結果、
不採用と決めた。
 猛虎は、ここでは普通に盲虎と同様、飛鹿に成るとした。これも調整
の結果、大局将棋の大虎、大大将棋の不成りルールは、採用しなかった。
つまり飛鹿は、前後走りに加えて、斜めと横の計6方向に歩む、縦走り
駒とした。そして、猛虎の成りを飛鹿に変えた結果、

各2段目の駒とも、元の名前か成りに、鹿の字が必ず入る事になり、
50枚制は”鹿将棋”とでも呼ぶのが、適当であるようなルール

に落ち着いた。
 言うまでも無いが、本ブログでは40枚制を”馬将棋”と呼んだので、
この

ネーミングは、対にすると、一度聞いたら忘れにくいという点でも、
良かった

のではないかと思われる。
 ともあれ、実際に差してみると、
攻撃駒が、双方に実質、成ると発生する飛車×2、前後走り飛鹿×2、
前後と斜め前走りの白駒一枚の計5枚と、龍馬、龍王の計2枚の、
日本将棋よりは、攻めが強いかに見える。しかし実際には、大量の
防御用小駒が、新たに発生して障害物が増え、走り駒の働きは幾分低下
する。ので、このパターンで、

攻守のバランスは、日本将棋とほぼ同じ、ゲームの進行スピードも、
ほぼ似たり寄ったりの程度になった

ように、私には思われた。
 以上の事から、何も制限が無ければ、平安小将棋の36枚から、
38、40、42、44、46、48、50の概ね7通りのパターン
の、多数の日本将棋型の9升目ゲームが、優劣を競う状態に本来なら
なり、戦国時代には文字通り、小将棋乱立の時代だったはずだと、
私にはやはり、推定されたのである。(2018/03/26)

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