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松江歴史館展示の松江市28番駒は銀将では無い(長さん)

以前紹介したように、松江城下町遺跡の近
傍に建てられ、遺跡の遺物も展示している
松江歴史館に、4枚の出土将棋駒、
飛車、銀将、香車2枚が展示されていると
の紹介をした。その際web上の情報に従
い、”松江市28番駒”との表示の有る駒
一枚を銀将と紹介したが、web上の写真
により

銀将であるとの形跡が無く、胝将と読める

という話題を以下でする。胝は音が同じな
ので、”蛸”つまり卑下も含むと見られる。
 さて前にも紹介したが発掘報告書も有り、
奈良文化財研究所発掘報告書データベース
”全国遺跡報告総覧”の中に、次のpdf
ファイル名中で、出土駒が紹介されている。
14541_1_松江城下町遺跡殿町287番地・殿町279番地外発掘調査報告書.pdf
 この文献でも、裏が特殊書体の金かまた
は、何も書いて、い無いようにも見える、
第1字のはっきりしない、web上、展示
状態でそのような状況とみられる、不明字+
”将”が、問題の遺物である事が、ただち
に判る。
 また”全国遺跡報告総覧”の中に、別の
次のpdfファイル名の文献があり、そこ
にも、今述べた駒の写真がある。
14240_1_財団法人松江市教育文化振興事業団埋蔵文化財課年報
後者の年報文献の6ページの中段右に写真
が有るが、恐らく展示品”松江市28番駒”
と同じ遺物なのであろう。

今述べた文献の写真から、銀将の銀のカス
レの形跡が無い

事が判る。

歴史館松江28駒.gif

 そこで第1字目は、曖昧性そのものが、
実は余り無く恐らく、

胙に近い、何か別の漢字であると見るべき

なのではないかと、私見される。展示され
ている現場の状況に関する情報がはっきり
しないが、これを展示して”銀将だ”と主
張するには、無理があると私は思う。

観覧者から質問が過去無かったのだろうか。

 そこで字を探してみると”指にタコが出
来るほど習字の練習をした”と言うときの、
タコの”胼胝”の胝と見て、大きな矛盾が
無いようだ。

成りが、少なくともはっきり書かれていな
い事も、銀将では無いという事を示唆

していると私は思う。江戸時代の駒師の意
図”胝将”は、一例として出世はしないが、
江戸時代の初期の頃に武芸に異常に熱心で、
木刀を持つ手にタコの出来たような武将を、
御ふざけで卑下して、周囲でこう読んでい
た。ので、

ふざけて、”胝将”という将棋駒を、しば
しば作成した事が有った事実が残ったもの

と私は推定する。将棋纂図部類抄が既にあ
り、泰将棋という、新作駒名を多数含むゲー
ム種の存在は、知られていた。だから、そ
の方式をまねて、新しい駒種を、単にふざ
けて、かなりの頻度で作成するという事も、
全く行われてい無かったまでは、断定出来
無いのであろう。
 本ブログでも、従前この松江28番駒は、
銀将との立場だったが。展示品の通常写真
らしきものが間近で紹介された、後者の報
告書を見て、以前の考えを以上のように、
改める事にした。
 もちろん遺物としての”価値”は、

銀将より胝将の方が、はるかに上だ。

(2021/01/31)

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