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摩訶大大将棋が中世流行らなかった原因とその対策(長さん)

今回は、摩訶大大将棋は指されたのかという論題については

①流行らなかった、

と結論し、原因は、

②五角形の将棋駒を多数作るのが、面倒だったから

という話をしよう。その上で、

③現代的には、エクセル表で摩訶大大将棋を指せば解決する

と対策の提案を更にする。
 さて遊戯史学会では、後期大将棋以上の駒数の多い将棋が、
長年には流行らなかったというのが定説であり、理由は”ゲー
ムが複雑すぎたので、より単純なルールで、奥が深いものに、
取って代わられた”と、今の所、みなされている。
 先行研究としては、増川宏一氏の将棋Ⅰが定説の源である
とみられ、遊戯史学会では、定説が正しいとする、空気が強
いと、個人的には認識する。
 それに対して、反対する立場に、大阪電気通信大学の
高見友幸氏の研究があり”摩訶大将棋は短時間で勝負が付く”
との旨、ブログ上で、定説を否定するための根拠も述べられ
ている。
 本ブログでは増川氏の原因説には、反対する。理由は、

中将棋が日本で流行った経緯があり、92枚を192枚に、
より多くすると流行らなくなるという説は、根拠が非の打ち
所がないという程度には、少なくとも磐石とは言えない

と考えるからである。つまり

毒を喰らわば皿までも

という諺も、成り立つのではないかという事である。
 実際に、摩訶大大将棋をしようとして障害になるのは、む
しろこのゲームの道具である

将棋駒を192枚作るのが、めんどくさい事

であったのではないか。よりマズイことには、途中で駒作り
に頓挫してしまうと、日本将棋なり、中将棋なり、より少数
の五角形駒の木地を使って、ゲーム具を作るのが簡単なゲー
ムが、漢字で書く、駒の種類を行き先変更するだけで、別に
出来てしまう事だ。結局、それで途中で転向して、
摩訶大大将棋を指さなかっただけの疑いも、増川説の反対論
の根拠には、残っていると私は思う。
 道具を作るのがめんどうな為に、作らなかったという説は、
デジタルゲームを作るのが、学科の本職の高見友幸氏にとっ
ては、彼の現在置かれた環境が特殊であるために、彼が強調
はして居無いように認識する。
 そこで、以下にほとんど指摘された事が無いが、道具が
作りやすい事は大切だと言う根拠として、エクセル表にコピー
すればゲームが出来る、という方法を実際にしてみて、その
傍証を得ようと、以下試みた。
 まずは初期配列の駒字をエクセルコピー用に、本ブログで
も、それで通常文面が表示されるが、テキストファイルとし
て作ってみた。

上の方は中央列までであり、右袖はその下に書いてみた。

香車,土将,石将,瓦将,鉄将,銅将,銀将,金将,無明,玉将
反車,口口,猫叉,口口,古猿,口口,臥龍,猛豹,盲虎,酔象
口口,老鼠,口口,嗔猪,口口,盲熊,口口,悪狼,鳳凰,獅子
驢馬,口口,桂馬,口口,猛牛,口口,飛龍,夜叉,金剛,狛犬
飛車,右車,横行,横飛,堅行,角行,龍馬,龍王,鉤行,奔王
歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵
口口,口口,口口,口口,口口,仲人,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,仲人,口口,口口,口口,口口
歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵
飛車,左車,横行,横飛,堅行,角行,龍馬,龍王,摩羯,奔王
驢馬,口口,桂馬,口口,猛牛,口口,飛龍,羅刹,力士,狛犬
口口,老鼠,口口,嗔猪,口口,盲熊,口口,悪狼,麒麟,獅子
反車,口口,猫叉,口口,淮鶏,口口,蟠蛇,猛豹,盲虎,酔象
香車,土将,石将,瓦将,鉄将,銅将,銀将,金将,提婆,玉将

提婆,金将,銀将,銅将,鉄将,瓦将,石将,土将,香車
盲虎,猛豹,蟠蛇,口口,淮鶏,口口,猫叉,口口,反車
麒麟,悪狼,口口,盲熊,口口,嗔猪,口口,老鼠,口口
力士,羅刹,飛龍,口口,猛牛,口口,桂馬,口口,驢馬
摩羯,龍王,龍馬,角行,堅行,横飛,横行,左車,飛車
歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵
口口,口口,口口,仲人,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口,口口
口口,口口,口口,仲人,口口,口口,口口,口口,口口
歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵,歩兵
鉤行,龍王,龍馬,角行,堅行,横飛,横行,右車,飛車
金剛,夜叉,飛龍,口口,猛牛,口口,桂馬,口口,驢馬
鳳凰,悪狼,口口,盲熊,口口,嗔猪,口口,老鼠,口口
盲虎,猛豹,臥龍,口口,古猿,口口,猫叉,口口,反車
無明,金将,銀将,銅将,鉄将,瓦将,石将,土将,香車

読者の皆さんには、適宜、マイクロソフトのエクセル
表に、上記テキストをファイルとしてコピーしてもら
おう。予め駒が並んだだけの部分で、

ファイルを別に作ってもらって、それをエクセルで
読み込む

ようにしてほしい。ただし、口口は空升目だから、
プレー中に上書きして、

消して良い。

コピーしてエクセル表形式にして、左右をつなげて列
幅を4.0程度にすると、以下のようになるはずだ。

エクセル摩訶大初期.gif

このケースは、表計算ソフトとして、マイクロソフト
のエクセルが一応必須だ。理由は、マウスをカラムの

右上隅に当てて、駒を動かしたい升目へスライドさせ
ると、ソフト・エクセルでは、字が上書きされるから

だ。類似の、互換性のあるとされる表計算ソフト、
Apache OpenOfficeに、エクセル表
計算ソフトの互換ソフトが、付帯されては居るが、
この”カラムの、すくい上げ移動機能”が見当たらな
いのである。だから、上記簡易の表計算ソフトは、
取捨て将棋用には使えない。他のソフトは、試したこ
とが私には無いので、使えるかどうか今の所なんとも
言えない。
 ともあれ上の図では、マイクロソフトのエクセルを
使って、先手が中央の歩兵を、初手で動かそうとして
いる所を例示している。なお、

取捨て将棋なので、敵味方の駒は、色分け

すれば良い。また、持ち駒台が無いので、持ち駒台を
作ったり、テスト中に、整理したり、色を自分の側に
変えたりしなくても良い。成りは、フォントの調整で、
そのつど好きな色を変えればよい。

後は、将棋のルールを、人間が覚えるだけ

だ。
 対ソフトAIの対局用ソフトも、高見研究室で摩訶
大将棋用に作ったのを、以前頂いた事があるが、

ルールが変わると、バージョンの新しい物を手に入れ
ないといけないのが、かえって不便

だ。フリーハンドにして、エクセルで、そのときのバー
ジョンで手指しした方が、

将棋具の用意が、とても簡単だ。

今回は、本ブログで駒名を書いた表を上に作ったが、
新たに自分で作成するとして、体裁を気にしなければ、

どうぶつ将棋の将棋具を、売り場まで買いに行くより
時間が掛からない事だけは、確か

だろう。実際、用意したエクセル表さえ有れば、この
ケース、摩訶大大将棋は出来てしまう。道具を用意す
る手間が、日本将棋に比べて格段にかかるとは、とて
も言えない。
 実際に使った例を、以下示す。
 以下は、後手の提婆や無明の早繰り作戦を、獅子か
奮迅で受ける戦法の研究例である。

エクセル摩訶大対策.gif

 後手は、無明を無理目に繰り出して、法性作りを目
指している。先手として、

獅子の成った奮迅で、止められるかどうかをチェック
した所

である。後手は、先手の奮迅の繰り出しに対し、狛犬
で△9九狛犬(8八)として対抗してきた。先手は、
2九位置の飛車で▲9九飛車として狛犬を払い、
△同羅刹とされてから、
”▲12十金将なり代わり法性”と、後手の無明を取
れば、奮迅が一枚守りに利いている分、この局面は、
先手が受かっているとみられる。

無明早繰りには、おしげなく獅子で対応すべし

という格言を作ると、それが正しいと言う事だろう。
 なお、上の図では、二人で指すにしても、並んで
指す必要がある。向かい合って指すには、後手の駒が
ひっくり返しの字に、なっていないといけない。
 マイクロソフトの表計算ソフトのエクセルの場合、
セルの書式設定のフォントで”表示フォントの種類”
の頭に、アット(@)マークを付けておいてから、
次にフォントの表示方向を90°に先手と後手とで
反対に変えると、字が後手の分だけひっくり返り、
下の写真のように、向かいあって、対局できるように
なる。ただしパソコンでは、後手のマウスの向きが、
いつもと逆になってしまう。馴れるしかないのかもし
れないが、ゲーム用のインターフェースが、有れば便
利だろう。

エクセル手摩訶将棋.gif

 このように、現代なら、マイクロソフトの表計算ソ
フトのエクセルを使って、摩訶大大将棋は、容易に始
められるので、五角形の将棋駒を、192枚用意しな
くて一応済む。
 実際には、中将棋を指すほどの人間が、中世にはた
くさんいて、それでも摩訶大大将棋が、余り指された
形跡が無いというのは、むしろおかしな話である。
 今でもそうなのだから、昔もいっしょだったのでは
ないか。

五角形駒を作るのが、結構、ゲームをしようとすると
めんどう

だった。それだけが、摩訶大大将棋を、中世の将棋指
しが指さなかった本当の訳のように、私には疑われる
という事に、一応なったのである。(2019/02/24)

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コメント 1

なるほど

確かに納得です!
by なるほど (2019-02-26 22:15) 

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