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二中歴小将棋と小将棋、公式小将棋(長さん)

 以上のべた事から、察せられると思うのだが、いわゆる
「定説の36枚制9×9升目1段目直線配列平安小将棋」
というのは、かなり特異的に、できの悪い小将棋である。

つまり、9×9升目のままでも、ちょっと手直しすれば、
容易に難点が回避できるほどなのだ。

従って「寺の隅等、社会の片隅で、単に道楽でゲームを
行って、楽しめば良い」と言うのなら、平安時代院政期に
も、できあいの、今は100円ショップで買える将棋の道
具から、飛車と角行を取り除いたものを使って、自分達で、
適当に配列を変えて、将棋ゲームを楽しめば良いだけであ
り、「定説の36枚制9×9升目1段目直線配列平安小将
棋」以外に、庶民は、いろいろな将棋をして楽しんだ、と
いう事でも、余りおかしくも無いように、私は見ている。

つまり、
「定説の36枚制9×9升目1段目直線配列平安小将棋
に難があるので、8×8升目の将棋盤を、地面にしろ、何
にしろ、わざわざ別に作成して、1升目小さな平安小将棋
だけを、わざわざ平安時代の末に指した」
という説は、もはや西暦1000年から150年も過ぎた、
その時代の将棋の姿としては、かなり不自然なのではないか

と言うことである。
実際、「玉列が直線でなければならない」と言うのなら、
以下のように、取り捨てルールのまま、駒を配列して、
1段目と9段目が、上下だけがつながった、「円環将棋」
を指せば、「互いの桂馬8段差問題」も、「互いの歩兵列
4段差問題」も、解決してしまうのである。
無題.gif
この事から、
単に「定説の36枚制9×9升目1段目直線配列平安小将
棋」に難が有っても、「持ち駒ルール」を小将棋指しが、
思いつく前に、多量の仏典の貸し出し札に接している下級
坊主等が、
隙を見て、鎌倉時代草創期以降に、大将棋を伸張させると
いうのは、よほどの事情があり、容易ならざる事

だと、私には予感させられる。
遊戯史学会では「二中歴小将棋は、現代日本将棋の類似物」
と決め込んでいる(定説になっている)状態だからと言っ
て、大将棋研究者は、その雰囲気の”ぬるま湯”に浸かっ
て、”大将棋の伸張には、もう、謎が無い”とタカを、く
くって、安閑としていてはいけないのだと、私は考えるの
で、ブログはそういう意味合いの題名にしてある。そして
この難問題を解決するヒントは、大将棋は宮廷貴族しか、
恐らく平安時代末には、指さなかっただろうと見て、問題
が少ないだろうと思われる事である。

つまり、

「定説の36枚制9×9升目1段目直線配列平安小将棋」
という、最低の出来損ない将棋が、宮廷貴族にとっては、
公の場で、儀式として指すよう、強いられ許されていた
唯一の小将棋類であったのだろう、と仮定できる。

そのため、

8升目から9升目の将棋以外の将棋を、
上流階級が主催者となり、公の儀式のイベント等で、途中
で頓挫しない晴れ舞台に相応しい、観覧用ゲームとして指
すための需要が、大将棋にはできたと、考える事が出来る。

ここで、恐らく公の披露される場所で、「定説の36枚制
9×9升目1段目直線配列平安小将棋」が無理強いされた
のは、左右対称で官製に則っている事、正方形盤で歪がな
い賛美的感覚、一段目が直線である事の配列の美しさや、
中国から伝来した各種美意識との整合性や、将棋が将、副、
象、馬、車と隣国のゲームで並んでいることとの対抗上の
合理性等、初期配列のみてくれの、東洋的美感覚だったと、
私には想像される。むろん、その時代の人間には、860
年後の現在、その36枚制将棋に飛車角を加えて、
40枚制で、”普通の将棋”が、指されている事は、知る
由が無いはずである。

 以上のように「定説の36枚制9×9升目1段目直線配
列平安小将棋」には、「もっともらしく帝の前で
将棋を指してみせるためには、初期配列も見た目に美しい
という条件も満たした代替が必要だった」というの
が、大将棋の出発点であると考えないと、出来の悪さの回
避方法が、小将棋のままでも幾らでも有る為、大将棋の、
世界に類を見ない、鎌倉時代の伸張は、全く説明が出来な
いように私は思う。

むろん、平安時代後期には、大将棋は宮廷の中だけの需要
だったのだろうが。鎌倉時代になると、それをスライドし
た形で、メモリアルな施設、寺院や神社でも、大将棋が
指されるようになったのだろう。特に駒の数が多いと、
道具を所持できるのは、セレブに限られた。そこで
栃木県小山市神鳥谷曲輪遺跡のように、南北朝時代の
下野の国の守護の館跡等から、大将棋系の駒が出土
したり、という現象の、原因になったのだろうと私は考え
ている。(2017/01/06)

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