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平安大将棋の一段目鉄将と桂馬の間に、酔象は何故配置されなかったのか(長さん)

実際の平安大将棋では、1段目は中央より、玉将、金将、銀将、銅将、鉄将、
桂馬、香車と配置され、5種類(5色)9将に、桂馬×2、香車×2の構成
で、13升目となっている。平安小将棋で酔象が、先手で3八の位置にあっ
たとしても、恐らく大江匤房によって、取り除かれたのは、玉を中心に古代
日本の左右対称の、官職制度からはずれる為であった。だが、もともと、升
目数に初期制限が無い平安大将棋では、9将、酔象×2、桂馬×2、香車×
2の15升目制にしたとしても、実際の13升目制平安大将棋とは、さほど
の遜色は無かったはずである。すなわち、酔象は平安大将棋では、鉄将と
桂馬の間に、残っていても良さそうなのに、実際には、鎌倉時代草創期まで
には、消えてしまったのは、いったいなぜなのだろうか。最初に、いつもの
ように、私見を書くと、

酔象という、象使いに制御されて居無いことを、暗示させる修飾詞を付けた
のが、平安大将棋から消失してしまった原因

だと私は思う。すなわち、名前の付け方が、悪かったと言う事である。
 9×9升目制平安小将棋標準型と同様、平安大将棋も、玉将を中心とした、
大和王権の軍隊を模したものにすべきという点では、平安小将棋標準化を
推進した、院政派と一致していたのだと思う。ただ、藤原守旧派にとっては、
自分達を、その枠組みが中に存在する、宮中自体から排除しようとしている、
院政派が気に入らなかったのである。そこでよりかっこの良い、日本の将棋
を作って、主導権を取り戻そうというのが、平安大将棋を推進した、藤原守
旧派の心であった。そのため、9升目平安小将棋(標準型・取捨て)よりは、
よりカッコがよく、日本の官職制度をより正確に模したような、平安大将棋に
したかったはずである。だからたとえば、13升目と奇数升目の将棋にした
のである。そして、1段目の玉将の居る段には、官製の軍団が、そのカテゴ
リーでずらりと並んだ方が、途中に神獣や魔物が、はさまったよりも、見栄
えが良かったのである。実際、香車は車隊を構成する。軍人が制御するのが
自明だし、桂馬も、騎馬隊を意味するから、軍団名である。ところが、

酔象は、制御されない、象使い団の存在しない、軍団とは言えない、キャラ
クター名に、たまたま最初にしてしまった。そのため、平安大将棋の1段目
には、酔っていて制御不能な象というネーミングの仕方が原因で、入れにく
くなってしまった

のであろう。仮に、

最初に、象を酔象にせずに、たとえば緋象とか、仏教の経典に、出てくる事
にこだわるなら、白象にでもしておけば、平安大将棋は15升目制になった、
可能性が実はある

と私は思う。ここで緋象は、輸入品の象駒が、桂の木の木彫りの象として
現物が存在しないと、イメージできない名称である。だから、酔象が気に
入らなくても、緋象に変えるのは、文献でしか、”戦象”を知らない日本人
には、困難だったと思う。そこで結局の所、酔象は、酔象とする以外に、
平安大将棋の作者の頭の中でも、とりあえずは、どうしようも無かったので
あろう。そして他方、

中国人からの情報として、当時は象駒は、(武)士駒と馬駒の間の1段目に
挟む以外に、置き場所が無い駒

と考えるのが、常識だったのであろう。玉将の前升目というのは、酔象が、
釈迦を殺そうとした刺客なので、成りが釈迦を実は意味している”太子”で
あって、おかしくないとのアイディアに、鎌倉時代になって気が付いてから、
考え出された場所と、私は独自に見るのである。そこで実は、最下位の将駒
と馬の間という、”本来の”置くべき所に、ネーミングが悪くて、置きよう
が無かった。そのため、結局削除して、平安大将棋から、象は消えざるを、
得なかったのではないか。と、結局以上のように私は考えるのである。
(2017/08/22)

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