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新安沖沈没船出土将棋盤(?)の聖目は連珠に無縁(長さん)

以前述べたが、新安沖沈没船より出土している、
6線目聖目付きの16路様の遊戯用盤は、韓国で
日本最古の15升目の将棋盤とされ、後期大将棋
用を想定している事は自明である。
 この史料は本ブログでは、大将棋は鎌倉後期に、
モンゴル帝国や高麗国の攻撃を、降伏させる
呪術的遊戯の将棋と見ているため、呉越同舟の、
東福寺チャーター船の中で行われる遊戯として、

考えられないもの

である。他方、

升目が、同船より出土した将棋駒のうち、歩兵を
除く各駒を並べるには細かすぎ、小将棋かとみら
れる共出土の駒を使用する将棋盤としての適正は、
概ね無い

と考えられる。
そのため本ブログでは、この遺物を新安沖沈没船
出土将棋盤(?)と(?)を付けて呼んでいる。
 また同沈没船からは、碁石も共出土している事
から、

五目並べまたは、連珠用ではないかとの疑いを捨
てていなかった。

なお、本件の新安沖沈没船出土将棋(?)が、日
本の民俗学の研究所の見解を元に、韓国で将棋盤
とされるようになる以前には、故溝口和彦氏等を
除けば、碁の道具と見られていた。ものと人間の
文化史59の”碁”で、遊戯史研究家の増川宏一
氏が、”15路であるので、連珠盤”と発表して
いたものを、15は正確には16とみられるが、
少なくとも、その他の点では本ブログの管理人は、
信用していた為である。
 溝口和彦氏は、この史料が将棋盤であるという
事に、早くから疑いを持たれており、自身のブロ
グでも、その旨を発表していた。本ブログの管理
人は、それに対し、

後期大将棋用将棋盤に特徴的な、5段目聖目状の
”星”は、五目並べや連珠の石の”連”の様子を
見るのに便利だから、敢えて付けたのではないか

との旨、彼のブログ上でコメントとして当時発言
した。
 そこで今回は、自分の発言には責任を取るとい
う観点から、目の粗さが違うのではあるが、実際
後期大将棋用の将棋盤で、五目並べをして、

聖目が役に立っているのかどうかをチェック

した。結論から述べると、

有っても無くても同じであり、私の主張は誤り

である事が判った。

五目並べ.gif

最初に、以上の結果についてお詫びを言っておく。
よって、

新安沖沈没船出土の将棋盤(?)は、同船から共
出土した将棋駒の類を置いたにしてはおかしいし、
碁石を置いて、連珠するための道具とも断定無理

だと結論できると思う。
 なお、以上の写真で4つの赤丸の中の、白い星
が問題の聖目であり、局面は先手黒が、いいかげ
んに打ったので、赤い五角形の石を白が打って、
五目並べならば、”跳び三三で、白の勝ち”になっ
ている。
 恐らく、通常の連珠、五目並べ類のゲームだと
すると、この”聖目”は、実際の史料のように

多少大きめにつけたとしても、ほとんど役に立っ
て居無い

とみられる。従って、
わざと余白を残して、沈没船の将棋駒がはみ出す
ように目を細かくしている理由は、確かに謎だが、
15路のはずだが、実際には16路の連珠盤と考
えても、

それにとって、ずば抜けて便利な工夫の有る道具
のようにも、とりたてて見えない

と考えざるを得ないように思う。
 将棋駒が一般には木製で、水に浮いて流れ去る
事ができるので、将棋盤説も、完全否定は出来な
いのだろう。
 駒については少なくとも、共出土した碁石が、
この将棋盤(?)用の可能性が、思ったほどには
高くは無く、本当のこの盤用の駒は、概ね流れ去っ
たと考えた方が、確率が高いとまでは、言えるよ
うな気がして来た。(2019/07/05)

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