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サマルカンドのソグド人の駒は何故断面が、長方形なのか(長さん)

単なるレプリカなため、確定情報になりにくいのだが、増川宏一氏の
11月22日夕方の講演会に先立って、東京都千代田区の日比谷図書館
の1階ロビーに展示された、西暦750年頃のものとされる、
シルクロードの町サマルカンドの、ソグド人の居住区から発掘されたと
いう、古チェス駒(サーサン朝ペルシャ型のシャトランジ駒)について、
気が付いた事がある。兵駒と城か戦車か、副官(大臣)駒かとみられる、
角柱型の駒2個を除いて、他の5つの、

王駒か戦車駒類(?)、馬駒、駱駝駒(?)の断面が、長辺が2.5~
3倍程度の長さの長方形だという事

である。これは、兵や大臣駒(?)と異なり、

駱駝駒、馬駒等が正方形升目のチェス盤には、余り適さない形態である

という事を示している。
サマルカンド駒.gif
 長方形の断面の駒を、チェス盤で使うには、升目を長辺に合わせて、
大きくする必要がある。だからその分、盤が大きい割には、兵駒等、
正方形断面の駒を置いた升目が、スカスカになると見られるのである。
つまり王駒と馬系の駒と、兵駒が同時出土しているため、これらの遺物
が、チェスやシャトランジ系のゲーム用で、有る事は明らかではある。
しかし、断面形が駒全体で、少なくとも2系統あるという、不思議さが、
存在するのである。理由は、ほとんど解明不能だが、
たとえば、

戦車・王・馬・駱駝駒は、升目を横に3つ使う、アラブシャトランジと
は、全く違うルールのシャトランジ系ゲームが、イスラム帝国~アッパー
ス朝時代、シルクロード上の中央アジアでは、しばしば興じられていた

事を、これは示しているのかもしれないと思う。あるいは、そもそも、
このゲームには、ゲーム盤に升目が無く、

歩兵は、1手で中央すこし手前まで進め、互いにそうした後で、相手が
中央に、別の手で兵を進め、兵が互いに接触するようになると、玉将に
近いルールで、兵で兵が取れる。馬は相対した状態で、歩兵を飛び越し
て前に出ると、筋が一つ違う相手の馬が、真っ直ぐ跳んで来て、幅が広
いので捕獲されてしまう。というような、今の将棋系統に比べて、
”ルールの公平性が曖昧な、おおらかなルールのゲーム”が、中央アジ
アでは、シャトランジ系統とは別に、指されていた

のかもしれないと、想像もされる。更には、そもそも、この遺物で、

王や馬や駱駝は、戦争時指揮官が、作戦を練るために、実際に使った
道具の転用や、模写

なのかもしれない。何れにしても、この西暦750年時点で”製作より
150年経っているという、このレトロな駒”には、

盤に升目を書いたゲームは、比較的その時代に科学技術(数学)が発達
した、インドやアラブの文明国のもので、周辺では牧歌的な別ルールの、
シャトランジ型のゲームが、あるいは興じられていたかもしれない

と想像される、研究の進展によっては、新たな展開を見せそうな、面白
い遺物であると、私には”駒の断面の形の不思議さ”から、感じられる
ものであった。(2017/11/10)

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monozuki

いつも興味深く拝見しております。
サマルカンド近郊出土のチェス駒は、 以下のチェス史のサイトに実際の図像があります。ご覧になったレプリカは実際のものとかなりよく似ていると思います。確かに仰るようにポーンと思われる二つの駒を除けば縦に長いですね。なお、URLは、以下のとおりです。
http://history.chess.free.fr/afrasiab.htm
このサイトには大変参考になる図像や史料が豊富ですね。

by monozuki (2017-11-10 16:57) 

df233285

Monozukiさん、ありがとう(長さん)

urlの紹介も、たいへん参考になりました。
どうもありがとうございます。

p.s.sonetって、url書いても、書き込みが”はじかれ”ないんですね。
はじかれると思い、エイチテイテイピー://とか、一生懸命書いてた、
私の今までの努力は、何だったんだろ(恥&笑)。この点も、
初めて知りました。そしてこの知見も、参考になりました。仮に
管理人が、リンク張れないように、設定できるとしても、苦労した
過去の経緯から、私が自分から、そのような設定をする気は
今のところ特に有りませんが。
by df233285 (2017-11-11 07:17) 

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