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月の黄経不等”出差”の精査。天文台説明で良い(長さん)

以下の記載は、月の視線直角の動きに関する
ものであり、視線方向の動きについて論じて
いない。

つまり、たとえばスーパームーンの理屈の
議論には使えない。

ここでは月の視位置に関する黄経の不等のう
ち、3体問題に起因するものの最大の項、
出差について精査した。

国立天文台暦計算室の2020年1月9日
時点のweb情報に”伸びると丸くなる”に
関して逆書きの図が描かれている疑い

が有ったからである。
 結論から述べると、天文台の説明で一応
良く、

以前の本ブログの愁いは杞憂

であったようだ。
本ブログで確認した所、
荒木俊馬氏の現代天文学事典(四訂新版)
恒星社、西暦1971年には259ページ
右側中段に以下の式があり、

国立天文台暦計算室図と挙動が合っている

ようである。セクション443(月運動の
不等性)のこの式には、
番号が付いてないが、以下のように書いて
ある。

(E.C)+(Evec).
=2esin(ψ*-経度ω*)+
5/4e^2sin2(ψ*-経度ω*)
+15/4mesin(2[ψ*-ψ’*]-[ψ*-
経度ω*])

ただし、ψ’*=n’t+ε’

(以上引用)
つまり、ψ*=nt+εでもある。(εは平
均運動)

では説明を続ける。
上の式で(E.C)は中心差、(Evec).
は出差。
 ”’”が付いているとき太陽に関する項、
印が無いとき月についてとみられる。
 (ψ*-経度ω*)は、ようするに、月の
近地点からの黄経と考えられる。なおωの上
に、荒木俊馬氏の成書では、近地点引数では
なくて、近地点経度である事を示す~が、実
際には付いている。
 また1~2段目が”中心差”の不等項であ
り3~4段目が出差の黄経の不等項であろう。
2[ψ*-ψ’*]は、[]内が月の満ち欠
け位相に、あたるもののようだ。
 mは前に述べたが、月と太陽の見かけ動き
の速さの比の逆数である。この成書には、
m=0.075との記載が、同じくセクショ
ン443の258ページの、右下の定数表に
有る。
2[ψ*-ψ’*]-[ψ*-経度ω*]が
大切で、ψ’*=経度ω*だと長軸が太陽方
向つまり新月近地点、ψ’*=経度ω*+90°
だと下弦近地点、ψ’*=経度ω*+180°
だと満月近地点、ψ’*=経度ω*+270°
だと上弦近地点の事だとみられる。
 つまり1段目と3~4段目は、まとめて考
える事が出来るのだがψ’*の値が

ψ’*=経度ω*+0°や同+180°のとき
に、強めあっていて、+90°や+270°の
ときに、逆向きになる。

つまり、長軸が太陽方向に向いたときに、

国立天文台暦計算室の図の説明通りで不等増加

している。だから、

国立天文台暦計算室の月の出差説明で良い

事になる。つまり、この表現は”正しい思想”
だという意味だ。
 次に、国立天文台暦計算室の説明通りに
書いてある成書として、次の著作がある。

株式会社地人書館発行、西暦1972年。
目で見る天文ブックス”月をひらく”
当時花山天文台の宮本正太郎(台長)、
松井宗一、赤羽徳英、(京都大学)服部昭。
月の運動36ページ”出差とよばれる”中段
やや下。

 上記成書に、国立天文台暦計算室の説明を、
文書で書くとすると、ほぼ同じような意味の
事が書いてある。

なお、実執筆が、上記4氏のうちの誰なのか
については、上の成書からは判断できない。
そこでこの件は、

国立天文台の説明でも問題無さそうだ

という結論に、落ち着いた。そこで本件は、
これでストップする事にした。
 ちなみにこの他に今回、国立天文台改称後
初代台長の古在由秀氏の著作を少数あたった。
啓蒙書の範囲内で、古在由秀氏が国立天文台
暦計算室が、現時点でしているやり方の説明
をしていると、明確に見られる資料は私には、
未だ発見できていない。軌道長半径が半月方
向で延びていて、離心率には変化が無いよう
な説明が、恒星社の現代天文学講座_2、
”月と小惑星”月の運動と環境、12ペー
ジの中央付近(1979年)にある。なお、
月に加わる重力の説明は、当然有る。だから、
話を総合すると、

そもそも、月の軌道はトータルとしては、
胃の蠕動運動のような変形をしていて、
全体とした離心率変化という単純なイメージ
ではない

という事なのかもしれない。
 だから、本ブログの考えが外れたのは、
起こっていることの実態が、楕円の離心率が、
挙動を計算する上で一定でなく、
(1+1/7)になったり(1-1/7)
になったり、黄経偏差を計算するときにする
という意味であり、黄経の不等が、近地点や
遠地点では、楕円軌道類似ではゼロに近く、
中間の平均黄経の所で、最大になるため、

そこの挙動が問題で、近地点・遠地点は、
本ブログの目論見とは違って、余り関係ない

というだけの事だったのかもしれない。つま
り月軌道の近地と遠地点の中間の、平均的場
所での離心率が、むしろ問題であるという事
の、本ブログによる見落しのせいとも思える。
 国立天文台暦計算室の記載や、成書”月を
ひらく”の説明方法は、私には依然

直感的に、反対向きに見えるので理解できず、
よって賛成も反対も、今の所しない

事にしたい。何れにしても、この議論は視線
直角方向の動きが、ならしたときと、どうズ
レるかという黄経不等に関するものであって、
地球から月までの距離、つまり動径の議論は
していない。だからスーパームーンの議論等
には、最初から使えない事だけは、どうみて
も確かだと、私には思える。
 なお今回たまたまだったが、引用文献に、
宇宙時代、西暦1970年代のものが並んだ。
著作者の一部に、他界された方もおいでだ。
法人著作的な文献も散見されると見るのだが。
本ブログで煩雑な手続きを踏んで、場合によっ
ては複数の権利者から、わざわざ著作権の許
諾を受け、

コンテンツ自体を複写する予定は今の所無い。

わが国に於いて”TPP著作権”が、大きく
web界に覆いかぶさる昨今。これらのコン
テンツの著作権権利が、いったい何時まで残
るのかについては、今の所謎だが。今後も本
ブログでは、こうしたいわゆる宇宙時代のコ
ンテンツについては、当然の如く、引用だけ
に徹するつもりだ。そもそも私のような個人
の力で、

名誉を他人が受けるという類の文物を、わざ
わざ普及し、法にひっかかって泣いていなく
てはならない、筋合いのものでも無い

だろうからだ。今の著作権法の概念には少な
くともその一部、今述べた点に関して、
事実は思想とは違うが、どちらも表現だとい
う事が有るために、文系世界の話と理系世界
の話が、渾然一体となってしまい、

現実として大きな勘違いが発生するケースが
起こり得る。

以上のような疑いが有るように、私には思え
るのである。(2020/01/10)

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