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中将棋96枚制成駒4種だけタイプの制限持駒将棋のチェック(長さん)

前に、中将棋で獅子の位置が狛犬、鉄将が有って96枚、
成りは現代と同じで、5段目~8段目の相手の、走り・跳び駒
取りを掛けるときのみ、持駒を二歩を除いて自由に打てる、
持ち駒中将棋ゲームの一種を紹介した。オフェンスが、少し強
く、成りを水無瀬兼成の将棋纂図部類抄記載の後期大将将棋型
の、酔象、麒麟、鳳凰、歩兵の4種だけにする、改良が必要と
の結論だった。また、そもそも、

狛犬型中将棋は、獅子型中将棋に比べて、攻めが大味で、
獅子の中将棋に比べて、狛犬中将棋が優れるという可能性は
余り無い

との旨、述べた。
 そこで今回は、

成りを、後期大将棋、あるいは神奈川県鎌倉市の鎌倉の、
鶴岡八幡宮境内出土駒のパターンといっしょで、

酔象が太子、麒麟が獅子、鳳凰が奔王、歩兵が金将に成るだけ

に変え、

更に、狛犬駒を、獅子に戻して、さらには、獅子に関する特別
な規則も、通常の中将棋と同じにして、その上で、中段の相手
走り駒および跳び駒には、取りを掛ける目的で、持ち駒を二歩
にならなければ、自由に打てるという、制限持ち駒将棋を、やっ
てみたので紹介しよう。
 ちなみに駒の数は、前の狛犬中将棋と同じく、鉄将を猛豹の
位置に置いて、猛豹を一つ升目を上げた、96枚制で、
言うならば、鎌倉市御成町の、今小路西御成小学校遺跡ゲーム
センターに於いて、

鎌倉末期または南北朝期に、刃傷沙汰になった将棋の、制限持
ち駒ルールのゲーム

である。なお、獅子に関する特別な規則は、前に紹介した4条
タイプのものを用いたので、この将棋でも刃傷沙汰になる点は、
変わりが無いはずである。なお、防御力を増強させる必要が
有るので、この将棋でも、

”まうこ(盲虎))は、近くへ行くが、上はゆけぬ”とする。

 以下に、初期配列の写真を示す。

持駒中将棋96.gif

手前が、オモテ面の配列で、中将棋で猛豹が移動し、鉄将が有
るのがお判りだろう。向こう側が、ひっくり返した成り面を示
したもので、成る駒が4種類に限定されているのが、同じく判
るはずだ。
 この将棋を一局指してみると、以下のような終了局面になっ
た。この局面で、後手が勝ち。寄せ合いは激しかったが、中段
に走り駒を残してしまう、失策を先手がしてしまったため、勝
負が付いた。

持駒中96終.gif

 結果からみると、

この将棋は、攻撃力(オフェンス)が少し、強すぎ

であった。理由は、成りを弱くした分を、

獅子に関する特別な規則のある、獅子の存在が、帳消しにして
余り在った。

 調整するとすれば、盲虎と角行の間に、摩訶大大将棋の横飛
か、大局将棋で成らない横猪を入れて、仲人を抜いた、外見か
らして、普通の中将棋ではない、将棋に変えるしかなさそうだ。

獅子に関する特別な規則の有る獅子の存在する中将棋は、持ち
駒将棋化するのが獅子の攻撃力が強いために、調整が中将棋の
カテゴリーをはみ出してしまい多岐になり、その点で難がある

ようだった。
 我々が中将棋と、普通に認識する日本の将棋は、持ち駒ルー
ルにしにくい将棋で有る事が、私にも今回確認できた。
(2019/01/21)

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12升目96枚型狛犬中将棋に制限持駒ルールを導入してみた(長さん)

前に、現行の中将棋で獅子が狛犬に置き換わっており、獅子に
関する特別な規則の無い、神奈川県鎌倉市御成町で、鎌倉末期
または、南北朝期に、今小路西御成小学校遺跡ゲームセンター
にて指された、狛犬中将棋で、成駒が現代中将棋版、成り規則
が、現代に残る中将棋流のゲームを紹介した。取り捨て型のゲー
ムとしては、攻守のバランスが、取れたとしたものだった。そ
して、その少し前に、鎌倉市御成の今小路西御成小学校遺跡ゲー
ムセンターでは、猛豹の位置が1歩前で、猛豹の居る所に鉄将
がある、92枚型が96枚型である、更に初期の中将棋が、知
られていて、このルール変更を、”もっしひょうの駒の導入”
とゲーマーが評して、座が盛り上がっていたに違いないと、
指摘した。
 なお、テスト的に指すと、96枚から92枚制への移行は、
玉将を守る囲いが、強すぎる事を改善するためだと、判明した。
 逆に言うと、

取り捨ての状態で、守りが堅すぎる将棋は、持ち駒ルールの類
を導入すると、バランスが取れる可能性がある。

そこで今回は、余り出来の良く無かった、鉄将が存在して96
枚制の、取り捨ての狛犬型中将棋(鎌倉市御成町、今小路西
御成小学校遺跡ゲームセンターでの、鎌倉時代末期等における、
初期の中将棋の、成りの現代版)に、自陣下から数えて5段目
から8段目に存在する、相手走り駒ないし跳び駒に、それらの
駒の取りを掛ける場合に限り、二歩にならなければ、自由に持
ち駒が打てるという、制限型持ち駒ルールを入れてテストして
みた。
なお、鉄将の成りは、今回は金将にしてみた。以下結果を紹介
する。

狛犬中持駒1_20.gif

上の写真は、今述べた将棋の一局の終端状態(後手の負け)の
一例である。この一局は、中盤から先手が優勢で、終盤後手に、
守りのミスが出て詰んだ。結論を先に書くと、

上に述べた、制限された持ち駒ルールの導入で、私には攻守の
バランスが、だいたい取れているように感じられた。

よって、

持ち駒の有る、普通の日本将棋の強い方用には、更に僅かに
攻守のバランスが、守りに傾くように、再度調整が必要

だろうと、漠然と予想は出来た。
 具体的に調整方法としては、成りを同じく神奈川県鎌倉市の
鶴岡八幡宮遺跡の、”中将棋”駒の如くに、
水無瀬兼成将棋纂図部類抄の後期大将棋流に、成りは、
酔象の太子、麒麟の獅子、鳳凰の奔王の3種と、歩兵だけ金将
成りの計4種類に減少させて、あと不成りに変える方法が、最
も簡単だろうとみられる。
 なおゲームとしては、

普通の取り捨ての中将棋、13升目108枚制の普通唱導集
大将棋の取り捨て型ないしは、制限持ち駒導入型に比べて、少
し見劣りがする程度で、ソコソコのゲーム

となる。難点は、

狛犬の攻撃パターンが、やや大味な点

だ。これが、

ほぼ致命的

だと感じる。
 なお、先行研究の紹介が後になってしまったが、中将棋の類
で持ち駒ルールで指す先例としては、外国人が”日本の将棋は
すべて、持ち駒ルールであると、勘違いして指した、普通の
中将棋の棋譜”が、岡野伸氏の自費出版書、”中将棋の記録
(ニ)”に載っている。
 私はこの文献の将棋を、良くチェックした事が無いので、今
の所コメントできる立場ではない。
 中将棋の持ち駒将棋を、普通の日本将棋の制限のない持ち駒
ルールで指すとすれば、獅子を取って、玉将の1升目置いて向
こうの、玉将が最下段に居るなら3段目に指すだけで詰むので、
普通の打ち歩詰めや、行き所のない位置への打ち駒の禁止程度
の、制限の緩い持ち駒ルールで、かつ中将棋で、普通の持ち駒
ルールの将棋の出来の良いのを作るのは、たぶん無理だろうと、
個人的には思っている。大昔に、遊びで1局指した記憶がある
が、陣がキャシャすぎると感じた覚えが有る。
 今回のは、元駒の獅子は居無いし、王手走り駒取りになるよ
うに、相手が、お手伝いの手を指してくれないと、予め取って
おいたとして麒麟を、玉将が、即死になるようには打てない。
本ブログで今回公開した情報は、

外国人が知らないで指した、持ち駒ルール有りの中将棋とは
違って、ゲーム性能を考えてルール調整して、中将棋系のゲー
ムを、一種の持ち駒ルールで指してみた、以前には余り無い例

だろうとは思っている。結果は、平安大将棋属の将棋で、先行
して、まずまず、それよりも出来の良いのが完成しているが、
中将棋系では、今一歩というのが、”今日までの所”と言う事
になったという訳である。(2019/01/20)

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大山康晴永世・岡崎史明プロ棋士は獅子の隣接升目止容認したか(長さん)

当方が、著作権が切れたら、直ちに広報したいと思うコンテンツ
は余り無い。だが、将棋プロの故岡崎史明氏が生前、古棋書編集
部の依頼で作成した、”中将棋の指し方(1970)”は別だ。
 特に”古来、中将棋には定跡がないといわれるが、定跡に似た
序盤の駒組みがあるし、心得も残っている。”の一節は、古来と
は、鎌倉時代末期から南北朝時代の事を指す、とみられるだけに、
この口伝は、極めて貴重だ。
 なお、このコンテンツは、基本的にルールブックなため、近代
の中将棋のルールと、本ブログで言うときには、web上の最近
の日本や欧州の情報は別として、この冊子位しか情報がない。
今回問題にするのは、冊子”中将棋の指し方(1970)”に書
かれた、中将棋のルールに関してで、特別な規則では無い、普通
の獅子の駒の動かし方ルールについてである。問題点は、簡単に
書くと、

狛犬の如くに、隣接升目でも止まれるのか

という事である。冊子の普通の獅子の駒の動かし方ルールについ
ての表現からは、

止まれないように取れるので、問題

なのだ。なお、水無瀬兼成の将棋纂図部類抄を初めとして、
中将棋絹篩に至るまで、獅子は”1目・2目止まり随時”なので、

”中将棋の指し方(1970)”と記載が合っているものは無い。

通常は、岡崎氏の”この場合は出発して2駒目で止める。”は、
2枚取りを表現するために、書いたのだとして、無視されるし、
”①は居喰いできるところ。②は行けるところ。わが駒、敵駒を
とび越して行く。”は、①は居喰いできるところ、行けるところ。
の”行けるところ”が抜けていたと、解釈されているとみられる。
そこで今回は、そう解釈して”中将棋の指し方(1970)”は、
正しいのかどうかを、論題にしたい。
 最初に、結論から書く。

”中将棋の指し方”の、獅子の駒の動かし方規則部分の書き方は、
間違いである。この冊子の範囲でも、獅子は隣の升目で止まれる
と、解釈できる。

根拠も最初に書いてしまおう。

”中将棋の指し方”の第1ページ目に、先手岡崎史明将棋ブロ棋
士、後手大山康晴永世の、中将棋の指し掛け棋譜が載っている。
そしてその対局で岡崎プロ棋士は、5手目に、獅子を6八の位置
から6七の位置に、大山康晴永世は、24手目に、同じく獅子を、
7五の位置から7六の位置に、移動させている。だから昭和の中
期に、獅子の1升目止めが、少なくとも大山康晴永世と中将棋を
指していた仲間の間では、禁手と認識されていたとは考えにくい。

根拠だけ書いてしまえば、こんかいは余り書くことがないが、私
の雑感を、蛇足で以下書こう。
 岡崎氏は、角鷹と飛鷲のルールは、”1升目には踊れず”と、
江戸時代の中将棋ルール本と、同じに書いたように読めるのだが、
獅子も全く同じという認識が、どういうわけか、有ったのだろう。
獅子の説明のときに、表現の上で、勘違いしたと今の所私は推定
する。

獅子のルールの方を、大坂電気通信大学の、動かし升目数が定数
の踊り

と、説明文を書くときだけに、誤って書いているように読めると
言う意味である。
が実際に指す時には、1升目止め手を指しており、大山康晴永世
も、岡崎プロの着手を気にして居無いし、大山永世は自分も、獅
子の1升目止めの手を、その後すぐに序盤で指している。
 だから、少なくとも、”①は居喰いできるところ”の他に、
”行けるところ”が無いと、おかしい事だけは確かである。
 ただし、隣接升目に行く場合でも、

”獅子だけ特別に、動かす前の升目とも、動かした後の升目とも、
両方隣接している升目に仮に一歩進んでから、動かした後の升目
に2歩進んだ事にしよう”という話が、岡崎史明氏と大山康晴氏
との間で有ったので、中将棋の指し方の獅子のルールが、このよ
うな形になったという事が、無いとは言えない。

ただし、その場合でも、冒頭の棋譜に岡崎氏、先手五手目、
▲6七獅子とは書かないで、

”▲・・→6七獅子”(”・・”は、この通りに書く)等と、
こうしたケースは、記載する形式に統一すべき

だっただろう。単純に獅子は一歩で隣接升目に行くように棋譜が
記載されている以上、獅子、角鷹、飛鷲の動かし方のルール形式
を統一するという仮想の話は、今の所、実際には岡崎氏の周辺で
は無かったと、仮定せざるを得ないように、私は考える。よって、

獅子の踊りは狛犬型。角鷹と飛鷲は、基本は金剛・力士型。ただ
し後2者は居喰い(後戻り)が出来るという点で、ユニークとの、
江戸時代の、中将棋本等の通りの認識が、恐らく近代も正しい

のであろう。
 著作権が切れたら、同一性保存も必要無かろう。この部分だけ、
直して、なるべく広くに、内容を知らせる事ができたらと思う。
 私は、天文も好きだが、小惑星星人の、王子様の某国の戦時加
算されるので有名な著作権には、さほどの興味は無い。今回紹介
した、日本の中将棋コンテンツの方が、個人的には”AIと人間”
という観点から、人類の未来にとり、よほど大切だと考えている。
(2019/01/19)

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制限持駒ルールの本ブログ普通唱導集大将棋の攻撃力過多改善(長さん)

前に述べたように、以下の初期配列

5段目:口口口口口口仲人口口口口口口
4段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
3段目:奔王龍王龍馬角行堅行飛龍飛車
2段目:酔象鳳凰猛虎横行方行猛牛反車(鳳凰位置、左辺は麒麟)
1段目:玉将金将銀将銅将鉄将桂馬香車

日本将棋方式成りで、成り駒は以下、

5段目:口口口口口口金将口口口口口口
4段目:金将金将金将金将金将金将金将
3段目:不成不成不成不成不成不成不成
2段目:太子奔王不成不成不成不成金将(麒麟は獅子成)
1段目:不成不成金将金将金将金将金将

の、本ブログ版13升目108枚型普通唱導集大将棋(西暦130
0年成立の普通唱導集大将棋の記載に基づき、2017年に改善)
は通常取り捨てであるが、5段目から9段目に居る、相手走り、
跳び、踊り駒に取りを掛ける手なら、二歩で無い限り、持ち駒を、
打つ事ができるというルールで、制限持ち駒ルールの大将棋類を指
した。
 その結果、上のバージョンでは、トン死筋の多い、

攻撃力過剰にややなる

との結論だった。
 以上の議論程度でも良かったのかもしれないが、念のため、

防御力をわずかに強くしたゲームで、今回やってみて、攻撃力過剰
の弱点が、改良される事を確認

してみた。
 旨く行ったケースの結論から書く。
 方法は、

方行を、大局将棋ルールだが、奔猪には成らない横猪に変える

というものである。
 なお、

方行は十字走りの斜め前歩み。斜め後ろへは行けない。

横猪は、横走りの、前後斜め6方向歩み。

以上のルールとした。
方行も横猪も不成りとしたので、成りは変わらないが、初期配列は
以下のように変化する。

5段目:口口口口口口仲人口口口口口口
4段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
3段目:奔王龍王龍馬角行堅行飛龍飛車
2段目:酔象鳳凰猛虎横行横猪猛牛反車(鳳凰位置、左辺は麒麟)
1段目:玉将金将銀将銅将鉄将桂馬香車

もともと、方行は嗔猪と交換しているから、嗔猪と横猪の交換でも、
問題は無いと言う意味である。なお

横猪は、最高の守り駒

である。
 残りは全部、方行型本ブログ版小幅改善普通唱導集大将棋(20
17)の制限持ち駒型と同じにする。つまり今回も、
持ち駒は、相手の5段目から9段目に居る、走り、跳び、踊り駒に
取りを掛ける手なら、二歩で無い限り、持ち駒を打つ事ができると
いうルールで、制限持ち駒ルールの大将棋類を指した。その結果、
横猪型本ブログ版小幅改善13升目108枚制普通唱導集大将棋制
限持ち駒型を一局試し指しすると、終局状態で以下のようになった。

横猪持駒.gif

 この局面、後手玉が詰み、先手の勝ちである。
 後手の方が優勢だったが、持ち駒台に赤枠で示した所に有る麒麟
の打ち所を失してしまい、先手に逆転されたというパターンだった。
 なおたまたま、この後手投了局面で、後手の横猪の一枚が、緑の
枠の位置で、まだかんばっている。
 攻守バランスについてだが、この将棋は、私が指すと、
”攻守バランスは、私の感覚ではちょうど良い”と感じた方行型と
は違い、今度は、

防御力が、やや強すぎのように感じられる。横猪の参入は強力、
かつ方行の除去は、攻撃側から見て、やや痛い。

 しかしそれは、恐らく私が、持ち駒ルールの将棋が、下手なため
であろう。打ち駒の好手を連発できるような、日本将棋的な思考に
慣れた方だと、

今回の調整程度で、ちょうど良い位なのではないか

と予想される。
 方行型で指して見て、詰みがあまりに簡単だと感じたら、方行の
位置に、大局将棋の横猪で不成りの駒を導入して入れ替えた、今回
のべた普通唱導集大将棋の、別の小幅改善将棋の、制限持ち駒将棋
を指されると良いかと、今の所私は考える。(2019/01/18)

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本ブログ版普通唱導集大将棋に制限持駒ルールを導入してみる(長さん)

前に述べたように、日本将棋の強豪が、日本の駒数多数将棋に
参入しても、短期間なのは、取り捨て将棋だからである。
 つまり、持ち駒の使い方からチェックする思考を鍛えている
のに、取り捨て将棋で盤面上の駒の範囲で、着手を読む癖が
付くと、たいがい日本将棋は”強くならない”のである。大山
康晴永世名人が、中将棋やシャンチーに、生前熱心だったのは、
例外的だ。
 ところで、本ブログの、日本将棋の強豪への、お勧めの二番
手日本中世将棋は、普通唱導集大将棋の、小幅改善ゲームだ。
 このゲームも、原則的には取り捨てルールなので、入り口で
引返されてはもったいないことである。そこで、

中段にある、相手走り駒等大駒に駒取りを掛ける場合に限り、
二歩にならなければ、持駒を打ってよい

とのルールを、2017年版13升目108枚制普通唱導集
大将棋(本ブログ版・方行入り)で、やってみることにした。
 なお、そもそも普通唱導集大将棋(本ブログ版)は、本ブロ
グでしか、紹介されていない。猪、虎、牛、龍が、時計の文字
盤の順序で、2段目平安大将棋のそれを含む位置に、綺麗に配
列される、印象的な初期配列のゲームだが、知る人は居無い。
 そう愚痴っても始まらないので、概念的に説明すると、まず、
良く知られた平安大将棋の右辺は、次の形をしている。

4段目:注人口口口口口口口口口口口口
3段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
2段目:横行口口猛虎口口口口飛龍奔車
1段目:玉将金将銀将銅将鉄将桂馬香車

中央列は記載しているので、13升目だが、7列有るわけだ。
次に、徳島県川西遺跡大将棋になると、4段目に歩兵が移る。

5段目:注人口口口口口口口口口口口口
4段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
3段目:奔横口口口口口口口口口口飛車
2段目:横行口口猛虎口口口口飛龍反車
1段目:玉将金将銀将銅将鉄将桂馬香車

横行が、飛龍の上升目に移動して、これが発展したのが、
平安大将棋の発展形としての、本ブログの言う、
普通唱導集大将棋(仮説・普通唱導集記載型)である。

5段目:口口口口口口仲人口口口口口口
4段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
3段目:奔王龍王龍馬角行堅行横行飛車
2段目:酔象鳳凰猛虎猛牛嗔猪飛龍反車(鳳凰位置左辺麒麟)
1段目:玉将金将銀将銅将鉄将桂馬香車

飛龍列が存在しないので、三段目の配列は、15升目130
枚制の後期大将棋よりも、更に規則的になっていたはずだ。
 この将棋は、右辺の横行位置を、斜め走り駒で狙い撃ちし
てから、端筋(耳)を”破って、飛車を退け”、左辺の鳳凰
の位置にある麒麟を進めて、横行前の歩兵位置で、獅子に、
成り込ませると”勝ちを取る”という、普通唱導集第1節の
攻め定跡が発生する。それを防ぐために予め、竪行前の歩兵
を進めて、図の竪行を中段に進めてから、嗔猪を前に歩ませ、
”仲人・嗔猪が腹を合わせ”ておいてついで、桂馬を、左前
に”飛ばして支える”、普通唱導集第2節の、防御の自明の
定跡が発生し、

面白く無い

のである。そこで、方行を入れて嗔猪を外し、配列を最小限
変えたのが、今回説明する以下の、本ブログの西暦2017
年型普通唱導集大将棋(右辺だけ半分記載)という事になる。
陰陽道の思想支配がもたらした、”猛虎猛牛嗔猪飛龍”配列
は、明治維新後には、生きて居無いと判断したわけである。

5段目:口口口口口口仲人口口口口口口
4段目:歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵歩兵
3段目:奔王龍王龍馬角行堅行飛龍飛車
2段目:酔象鳳凰猛虎横行方行猛牛反車(鳳凰位置左辺麒麟)
1段目:玉将金将銀将銅将鉄将桂馬香車

 そこで今回は、この配列から取り捨て将棋を指し始めるの
では

無くて、中段に相手の走り駒か、跳び越え駒が有るとき、そ
の駒に当たりを付ける(相手走り駒ないし、跳び越え駒取り
を掛ける)場合に限り、二歩になら無ければ、持ち駒を自由
に打って良い

との、部分的な持ち駒ルールを導入して、一局指してみた。
 なお、後期大将棋で、似たようなルールのゲームを前に
本ブログでは紹介した。そのときには、走り駒だけで、跳び
越え駒である、相手獅子等には、当たりを付けるための、持
駒の使用は出来ないとしてやってみた。今回その点を変えた
のは、

成り麒麟が出来にくいようにして、むしろディフェンスを
強くするのが、狙い

だった。すなわち、この将棋では、相手の走り駒だけでなく
て、獅子、鳳凰、麒麟、飛龍、猛牛そして桂馬にも、持ち駒
を自由に使って、中段にいる相手駒にのみ、取りを掛ける事
ができるとしている。なお、飛龍、猛牛は、2017年版の
普通唱導集大将棋(本ブログのパターン)と同じく、初期配
列で、飛龍に猛牛からも繋ぎが付くようにするために、隣接
升目で止まれる、”1目ヲモヲトル”、踊り駒とした。
 後で紹介する棋譜では盲虎になっているが、猛に変えるの
を忘れた。ルールは猛虎であっても、現代盲虎のルールであ
り、”近くへ行くが、前(上)はゆけ(ぬ)無”い。なお、
酔象は本ブログの推定だが本当はこの時代、シャンチーの相・
象の動きだった疑いがある。ここでは、中将棋や朝倉小将棋
と同じく、”近くへ行くが、後(下)はゆけ無”いルールに、
している。
 成りは、”成りは(このケースは特に、並んだ)3枚”と
表現される、水無瀬兼成の将棋纂図部類抄の後期大将棋型だ
が、一段目の玉将と金将を除く駒と、反車は金将成りとして
いる。つまり成りは、本ブログの言う平安大将棋に近い型で、

5段目:口口口口口口金将口口口口口口
4段目:金将金将金将金将金将金将金将
3段目:不成不成不成不成不成不成不成
2段目:太子奔王不成不成不成不成金将(麒麟は獅子成)
1段目:不成不成金将金将金将金将金将

であり、第2標準に相応しく、日本将棋と同じ成り条件で、
相手陣4段目を基準に成る。実際に指した終局場面の棋譜の
写真を、以下に示す。

普通唱導2017持駒.gif

 この局では、先手が良い線まで行ったが、最後になって、

9九位置に居る龍馬を、この位置に上げ、相手に大量の持駒
打ちの機会を与える失策をしてしまい、先手の力負け

となる一局だった。
 この事から、この将棋は

やや、オフェンス(攻撃力)過剰

の傾向があるとみられる。ただし本ブログの管理人は、持駒
ルールの将棋が比較的苦手なため、出来が悪いとの感触が、
余り感じられなかった。
 が恐らく、持ち駒ルールのあるゲームの思考に巧みな方が、
この将棋に慣れると、

トン死筋が、やや出安すぎるゲームと感じられる

のではあるまいかと、予感はされた。
 まあ、日本将棋の愛好家に、大将棋に興味を持って貰うた
めの、

ソコソコの出来のゲームが出来たといった所か

と一局指してみた限り、そのように感じた。(2019/01/17)

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増川宏一氏から、”大局将棋の質問”をした所、返事が来た(長さん)

前に、将棋大橋家古文書の研究でも名高い、遊戯史研究家の、
増川宏一氏に、文書名:大局将棋駒の、構成についての問い合
わせをした旨の紹介をした。
 それに対して、増川氏の返事は、以下のような回答だった。

1.大橋家文書は、現在増川氏にも、見る事ができない。
2.大局将棋は、日本の中世の将棋ではない。近世後期の将棋
である。中世の文献とは、何を調べているのか不明。
3.役に立たない返事ですまない。

折り返しで、また手紙を出しておいた。
 以下に、返信の返信の概要を記す。

大橋文書”大局将棋駒”は、webのキャピタンリバイバル
のページに写真があります。が(右)鳩槃駒の下部に書かれた
文字が小さく、内容が読めません。(ちなみに、(左)鳩盤に、
行き所の印は有るようだが、こっちの下部には、何も書かれて
居無い。)恐らく、これを根拠にした”世界の将棋”ルール
なのだとは思われます。確証を探しています。
 大局将棋で、東夷・西戎・北狄・南蛮駒の成りを、大大将棋
駒で統一しているのは、中将棋の竪行と横行の成りを、飛牛と
奔猪として、それより前の普通唱導集時代の将棋駒類似にして
いる為で、後者に猛牛と嗔猪が有っても、悪狼と猫叉が無い事
を示す、中世の記憶が、近代には無いが、近世にはまだ有ると
いう例だと思います。(尚、猛豹は猛将の洒落で、悪党の洒落
である悪狼命名型であり、結局、悪狼、猫叉、猛豹は、
西暦1300年頃成立の普通唱導集より、10年~50年後の、
建武の新政が、近い頃等の作とみられる。)
 当方は現在、諸説の中間を取った論を、推薦するブログを
立ち上げています。ので将棋史も”中世(性)将棋史家”であ
ると、名乗る事にしました。 長 (以上返信の返信の内容)

残念ながら、増川宏一氏にとって、史家としても、その愛好家
としても、私は遊戯史学会が盛んな頃の波に、乗れなかった。
よってそういう意味で無名の私に対しては、私の質問につき、
答える以前の問題だったようだ。そのため、今回は、門前払い
との結果に終わった。
 なお私は、学校を卒業してから、だいぶん、経つ身だ。だから
この先、増川氏へのコンタクトに関して、再チャレンジの機会
が、あるかどうか謎である。
 この感じからすると、残念ながら、

”お互いに余り、関連性が無いまま両方終わった”

という事に、なる確率が高そうだ。(2019/01/16)

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二中歴の”三十六禽”を確認した(長さん)

英語版wikipediaの、”黄道10日ごと宮”の記載に
よれば、仏典の摩訶止観等に記載されている、三十六禽
(36禽)は、日本の古文書としては、二中歴に載っていると
の旨を、前に本ブログで紹介した。そのときには、受け売りで
自分で確認していなかったが、さいきん、改定史籍集覧、
第23分冊の、初っ端から有る二中歴の、史籍集覧のページで
151ページと、かなり将棋(240ページ)からは離れた所
に、下のようなイメージで、36禽が確かに書いてあるのを、
私も確認した。なお二中歴の書き終わりは、改定史籍集覧、第
23分冊の250ページ前後であり、将棋のページは、かなり
後ろの方だ。

史籍集覧.gif

 戻すと36禽の記載は”畜産歴”に属し、12支を使った、
陰陽道占いを記載した、二中歴のページとも、かなり離れてい
る。平安貴族と日本の陰陽師は、36禽には余り興味が無く、
24方位等を使い、オリエント西洋星占いと、密教の知識のあ
る、虎関師錬には、暦と結びつく言葉だったという事だとも、
想定される。

 つまり、摩訶止観を少なくとも虎関師錬は、二中歴とは別に、
知っていた確率は、ゼロに近いという事が、少なくとも余り無
いのであろう。

 なお書いてある動物名は、36種になっておれば、余り本質
的な差は無いと見るので、省略する。漢字が違うのがあるが、
内容は、摩訶止観等、他の文献の動物の内容と、細かく見なけ
れば良く一致しているように、今の所見る。確かに36禽は、
平安末期、日本で少しは知られていたようだ。なお正確な内容
は、興味が有れば、お手数ですが、皆さんで改定史籍集覧で、
御確認を御願いしたい。
 それより私の興味を引いたのは、偶然だが、少し前の方の
記載だが、36禽の記載の近くに、

二中歴の言う、”五宝”が載っていた

事だった。内容を見ると、別説と2通り載っているが、どちら
にしても、

金、銀、玉、桂、香

には、全然なって居無い。共通なのは金銀だけだ。いわゆる、
日本の小将棋の、第1段駒の名前の、5宝(といわれる説)は、
二中歴の5宝とは違うものである。奈良時代草創期頃成立の、
好字令の五宝から来るとされている、玉・桂・香が、平安時代
末から鎌倉時代初の二中歴の内容とは、少なくとも合って居無
い事が、私には今回初めて判った。

 なぜ奈良時代草創期、西暦712年成立の”好字令”という、
とても古い文献の5宝が、将棋伝来の時期により近い、西暦
1210年頃成立の二中歴の5宝を、押しのけたのかが謎だ。

ちなみに、西暦712年は、将棋の伝来が西暦1015年の年
初だとすると、二中歴を基準にすると1210年と1015年
の差とは、1.5倍離れているし、二中歴の五宝が、挙中歴か
懐中歴に載っているとすれば、これらは1120~1150年
頃の成立だとされるから、2~3倍の開きがある。
 本ブログでは、桂、香が宝というより、たまたまの桂馬と、
香車駒の材質と、香りの性質から、修飾詞の桂・香は来ている
し、玉将は元々伝来元の、大理国に有ったのだとした。だから、

昔、日本への将棋の伝来が、相当に早いとされた頃に妥当だっ
た文献に基づく、本ブログの論への攻撃への、どちらかという
と、反撃材料になり得る証拠史料

だと、私は二中歴の”五宝”を読み直して感じたのであった。
(2019/01/15)

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玉回りだけ駒が集中しない、持駒ルール大将棋のテスト(2)(長さん)

前に近世・現代の、水無瀬の将棋纂図部類抄型とは違って、成り
駒が中将棋型の、後期大将棋(wikipedia等で普及型)
で、中段に居る、相手の走り駒取りを掛けるという条件ならば、
二歩にならない限り、自由に持ち駒を打てるという、制限された
持駒ルールの後期大将棋を紹介した。結果は、猛豹・銅将の支柱
状の囲い構造が、終局に於いて壁になり、袖の駒が余ったような、
将棋棋譜になるという、芳しくない結果だった。
 今回は、その点だけだが、改善してみたので報告しよう。
 答えから書く。位置に関して、

猛豹と猫叉を交換

してみた。なおこの変更は、異制庭訓往来の言う”獣の列位を象っ”
ていないので、あまり見栄えの良い、やり方とは言えない。また
陰陽五行の観点から、良いのか悪いのかは判らない。関連性が疑
われる、中国に現代でも有る闘獣棋では、猫や犬駒の配置位置に、
特段宗教的工夫は無かったので、それとは整合するかとも思える。
 ともあれ以上の結果、猛豹・銅将の支柱状囲いは、猫叉・銅将
になった結果、猫叉の前升目に、獅子や成り麒麟を進めれば、
崩れてしまう形に変わった。
 それで、指した一局の終盤の棋譜例を、以下に示す。

猫豹交換.gif

写真の状態から、▲12四獅子(成り麒麟)寄る△13ニ嗔猪
▲14四獅子△6九猛牛▲15ニ獅子等と、進むと見られる。
つまり、11三の位置で、いつもの後期大将棋とは違い、先手は
後手に対し、王手を掛けやすく変えてあるのである。そのため、
多少手数は掛かるが、先手の右辺隅に、獅子を回したほうが、
寄せが確実になる。その結果、

終局のときに、後手の陣の袖の小駒は、活躍したわけではないの
だが、相手に取られてしまうので無くなってしまい、対局が終わっ
た時点での棋譜には不自然感が残らない。

それだけの事なのだが、実際の終端局面の写真を以下に、掲げる
ので、普通の後期大将棋について示した前の結果と比較すると、
それが、はっきり判るだろう。

猫豹換詰.gif

なお、この局面へは、▲9三獅子(11三)△8一玉(9一)と
進んで、到達している。また今回、飛龍や猛牛は、
wikipediaの説明の、”2升目までの走り”ではなくて、
大坂電気通信大学ルールの踊りとした。ので、たまたまだが、隣
接升目へは、飛龍や猛牛が動かせず、局面から後手の10四位置
の飛龍で、先手の成り麒麟は、取れないものとした。この、恐れ
多くも、wikipedia(”世界の将棋”が原典と見られる)
の”隣接升目行き”に逆らう調整は、飛龍や猛牛が、麒麟の成る
ための先導役をしにくくするため、”2枚獅子”が、元駒の麒麟
の前進からは、やや出来にくくする効果を持つ。
 ともあれ。
 猛豹と猫叉を交換すると、ディフェンスは弱まるのだが、たい
がい獅子同士での、陣の跡の残らない食い荒しになるので、終局
時の、終局のときの局面図の見た目は、普通の後期大将棋よりは、
ややマシになる。
 袖の小駒は、取られるだけで、その直前まで遊んでいるので、
余り、出来の良いゲームで無い事には変わらないが。見た目に
だけ、尤もらしく見えるゲームというのも、一応可能なものらし
い。(2019/01/14)

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玉回りだけ駒が集中しない、持駒ルール大将棋のテスト(1)(長さん)

前に述べたように、盤升目が二桁以上の日本の将棋は、持駒
ルールで指す事も、駒の全体的な攻撃力を防御力に対して落
すと原理的にできるが、駒が玉駒に王手を掛ける地点にだけ
集中して、棋譜としての見栄えが良くないという理由で、取
り捨て将棋、ばかりになったというのが、本ブログの論だ。
 しかし、それについても、中段にある相手の駒の取りを掛
けるための打ち駒は、通常は、互いの玉陣からは遠い事が普
通なので、以上の限られた手に持駒の打ちを制限して、取り
捨て将棋から、持ち駒ルールに移行するという手が有る。
 今回は、特に後期大将棋で、実際にそういう将棋を指して
見たので、紹介しよう。
 基本的なルールは、今回は、成り等が中将棋パターンで、
かつ、飛龍、猛牛、鉄将、石将、悪狼、嗔猪、猫叉の成りを
金将とする、wikipediaの説明等で、汎用性の高い
近世・近代の後期大将棋とした。なお、中将棋の獅子に関す
る特別な規則は、この後期大将棋については、適用しないと
した。そして、問題は持駒ルールだが、

中段に居る、相手の走り駒取りを掛けるという条件ならば、
二歩にならない限り、自由に持ち駒を打てるというもの

である。なお、後期大将棋の獅子や麒麟、鳳凰等は、走り駒
ではなくて、跳び駒ないし、踊り駒だとして、中段標的駒に
今回は含めない。
 実際指すと、一局終了局面の例として、以下のようになっ
た。なお、この局面で、後手玉が詰まれて先手の勝ちである。

後期大持駒.gif

 なお、今回このようなルールで指す駒数多数の将棋として、

後期大将棋を選択したのは、元々、デスフェンス(守備力)
過剰の、代表的将棋種と、本ブログの管理人が認識している

からである。後期大将棋は、中盤の後半で、息切れするのが
普通と、少なくとも本ブログでは、当然のように見ているの
である。

だから、普通唱導集の大将棋は15升目130枚制の後期
大将棋では無い

と、本ブログでは常々、がんばっているという事情だ。
 それはともかくとして、状態を見て判るように、この将棋
は、今述べた条件程度に、持ち駒ルールを少し添加して、

オフェンス(攻撃力)を上げると、攻守のバランスが、だい
たい取れる

ようになる。なお、局面で2枚獅子が、先後手共に出来てい
るが、獅子に駒取りを掛けられないので、残りやすいためで
ある。つまり”相手の中段の獅子にも取りを掛ける事ができ
る”といった調整や、”中段の走り駒”を、”互いの玉から
4升目以内、最大81升目の中に居無い走り駒”にする等、
バリエーションが、元々幾らでも考えられる。それについて
は、将棋種毎に調整する必要がある。つまり、

後期大将棋の場合が、”中段の走り駒”程度でちょうど良い

と言う事だ。
 ただし、終局局面を見てみると、この将棋のゲームデザイ
ンは、失敗だ。なぜなら、

石将、桂馬、猫叉、嗔猪といった、袖の小駒が、明らかに
”余り駒”傾向

になっているからだ。これは、
玉将が、猛豹と銅将とで作る棒状構造を持つ、囲いの配列の
中だけでしか、一局中動き辛いためである。つまり、

猛豹と銅将とで作る棒状の、囲いの機能を持つ配列構造

が、袖を対局の間中、遊び駒にさせてしまい、ゲーム性をや
や落している事が判る。袖に玉は逃げないので、事実上、

酔象、(2×)盲虎、金将、銀将を討ち取れば、玉は詰む

という決まった終盤の将棋になってしまったのだ。
 従って、今回の後期大将棋は、ディフェンス(防御力)
過剰な駒数多数将棋に、持ち駒ルールを部分導入して、
攻守バランスを調整する例示に留まり、それで性能の良い
ゲームになる事は、示せなかった。
 なお、写真の右の方に、使われる場所が無くなったため、
乱雑に置かれた、持ち駒を示した。この手の将棋に、

日本将棋ほどの、持ち駒の打ち駒の着手に対する、ゲーム
としての奥深さは、余り無い。

持ち駒打ちの手を、全体の着手を選択思考するときに、重点
的に考慮する、日本将棋の棋士の脳内思考回路に、不快感を
与えないためだけの、持ち駒ルールに近い。すなわち、大量
に、取った駒は有るが、使う事の多い駒は、後期大将棋の、
このテストバリエーションでは、例外は幾らでもあるものの、

香車、反車、飛車、角行、竪行程度に、限られる場合が多い

のである。(2019/01/13)

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奔王突入勝ち将棋。”後期大将棋が中将棋に先行”は駄目な訳(長さん)

前に花営三代記の、”奔王出して勝ち”将棋は、本ブログの言う、
13升目108枚制普通唱導集大将棋が、成り麒麟が出来た時点
で勝負が付いたという、故事に因んだ物との解釈を述べた。
従って、これも、このルールの解釈が正しいとしてだが、
後期大将棋が、中将棋に先行していては居なかった理由とした。
 しかしながら、後期大将棋にも普通唱導集大将棋本ブログ版の
性質が、仮に有ったら証拠にならないと言う意見も出よう。
 今回は、後期大将棋には、大駒である相手の奔王が、自陣に侵
入してきても、投了する理由が無い事を、一応説明しておく事に
する。これについては、前に、普通唱導集大将棋が後期大将棋に
進化(退化)するときに、予め13升目のままで、自陣を5段目
にしてから、15升目化しては駄目だと述べたが、そのときの理
屈が、実は適用できる。つまり”縦ないし、縦横走り駒が、端筋
で中盤初めに大きく消耗して、攻守バランスが、守り側に大きく
傾くため、ゲーム性能で難の有る将棋になる”との旨を、そのと
き述べたのだが、その局面で相手陣で残るのが、実は奔王一枚だ
からである。
 では、判りやすく変化局面を示めそう。
 下記は、後期大将棋の序盤の図で、ゲーム開始の時点から、
先後手共に、左龍王先の歩兵を上げて龍馬を中段に出し、石将を
初期位置から、2つ上げた所である。

01_08_1.GIF

実は、

後期大将棋の陣は、普通唱導集大将棋(本ブログ型)や、中将棋
とは違い、袖が市松模様に、駒が配列されている為

に、写真で線を入れて示したが、たとえば竪行先の歩兵を、後の
大駒の交換を避けるために、予め上げてから、反車と香車を、
一升目前進させ、奔王をジグザグに動かすと、

簡単に、雀刺しの陣が完成

するのである。
 そしてこの、雀刺しの局面からは、互いに端筋の歩を突き合っ
て、攻め側が歩兵を突き捨てると、走り駒の交換になって、交換
する数数が一枚多いために、互いに左辺の奔王が一枚残り、

奔王が相手陣に”出”されると、超急戦の中盤初めで、終局状態
に達する

のである。この場合は、1手早いので、花営三代記の、”奔王出
して勝ち”将棋に関する我々の解釈が正しければ、下の局面で

先手の勝ち

だ。

01_08_2.GIF

 しかしながら言うまでも無く、それを示した上の棋譜の通り、
これは、本当に勝負が付いた状態からは、相当に遠い。
 というのも、奔王が出された、上の局面で説明すると、
後期大将棋の囲いは、普通唱導集大将棋(本ブログ型)や中将棋
と異なり、

2枚の盲虎と金将、前升目の酔象が、がっちり互いに連関した、
堅陣だからだ。実は、更に黄色の枠で囲った”銅将・猛豹”の
柱状の配列も、玉守りに大きく寄与

している。
 よって、

奔王が出て、やっと攻め合いが始まる所

であって、足利義持・義量時代の大将棋系将棋故事が後期大将棋
についてだったとしたら、少なくとも本ブログのような思考では、
”奔王を出して勝ちルール”は生まれない、はずなのだ。つまり、

上記の序盤手順の記憶が強烈に有ったとしたら、中将棋に奔王出
して勝ちルールを作る上で、大きな阻害要因になる

と言う意味だ。
 なお、普通唱導集大将棋(本ブログ型)では、麒麟が成り込む
事についてであり、別の最強格の、元からの奔王駒についてでは、
厳密には無いのではないかと、いう意見も出るかもしれない。
 しかしながら、後期大将棋で麒麟を、相手陣の横行付近に突入
させるという戦法の場合も、

後期大将棋では陣が健在であれば、赤い四角で囲った、大きな
獅子突入不能領域があり、やはり”成り麒麟の獅子を出して勝ち”
にも、普通唱導集大将棋(本ブログ型)と違い、ならない

のである。なお盲虎を猛虎のままにしたケースは、悪狼を守りに
加えるだけでよい。
 以上のように、奔王出して勝ちに関するルール解釈と発生経緯
が、本ブログの推定通りだったとしたらという、あくまで条件の
範囲内だが、

奔王出して勝つルールが有るという事と、後期大将棋が中将棋の
親であるという、現在のところ有力な説とは、互いに明らかに、
整合して居無い

という事になる訳なのである。(2019/01/12)

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