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敵味方色不区別の日本の将棋駒は毒性が原因(長さん)

以前に同じ論題を掲げたが、今回は、具体的
に色料を特定した考察をする。すなわち、
ランプブラックつまり、墨汁以外の有彩色等
を、日本の将棋駒でゲーム中、先手・後手プ
レーヤーを表示する機能として、使用しなかっ
た理由を以下に議論する。ただし本ブログで
は前既に、毒か、高価かの何れかで、使用さ
れなかったという結論を導いている。ここで
は、色材の内容について、より

正確に踏み込む。

 以下の成書で、具体的に11世紀時点で、
日本の将棋駒を染める色材として、文面から
後述の物が存在したとして、名を挙げられる。
成書名:
「クロマトピア」、デヴット・コールズ著、
井原恵子訳、グラフィック社、2020年。
 日本に伝来して、その時点で存在した色材
の内容は以下の通りであると、今述べた成書
から読み取れる。
色名/顔料:
墨/ランプブラック(油煙)成分→炭素←こ
れのみ墨汁に加工して使用。
以下、将棋駒に使用実績ほぼ無し。
白/鉛白(日本名:銀白)。成分→炭酸鉛
(強い毒性有り。)
黄色/鶏冠石(日本名:雄黄・雌黄)成分→
二硫化砒素(猛毒)
橙/サフラン。成分→サフランの雄蕊
(製造に相当な手間が掛かる。日本に無し。)
赤/バーミリオン(朱)成分→硫化水銀←
(使用されたが、毒性強い。)
緑色/マラカイトグリーン(孔雀石)
(稀性鉱物。通常使用無理。)
緑色/緑青。成分→塩基性炭酸銅等。(色が
不安定。毒性もあり。)
青/ラピスラズリ(瑠璃)アフガニスタン産
(極めて高価。日本に鉱石無。通常使用無理。)

その他、着色力が無いが黄土(水和酸化鉄)、
茶色の弁柄(酸化鉄)は日本に、有ったと見
られる。
 以上の結果から極めて高価な青・緑と、製
造に手間が掛かって実用的でない橙は、富豪
が所々におり、需要がある程度見込めた中国・
インド・中央アジアは別だが、遊戯駒を染め
る色料として、日本の将棋駒に、適用はし辛
いと思われる。その他は、無理やり僅かに使
用例のある朱は使ったと見られるが、前に述
べたように毒が有る。つまり赤系統について、
茶色の弁柄(酸化鉄)等で代替して、ようや
く使用できたという程度であろう。
 なお、鳥獣戯画の通説将棋の図で、坊さん
が、自分の指かまたは、将棋の駒と見られる
遊戯駒を舐めているように描かれるが、この
事からも駒の色材に、当時から特に、毒性の
有る物は、使用されなかったようだと判る。
 すなわち少なくとも、出したい色の色材は、

強い毒性のあるものばかりで、遊びの為に
人命を削って色料を製造する事は、わが国の
庶民レベルでは、中世まで出来なかった。

だから、墨汁だけ使われた。
以上のように、考えられると私には思われた。
(2020/10/05)

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