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鶴岡八幡宮境内出土不成歩兵駒(天童本4)再考(長さん)

今回は、2年前の西暦2019年4月(正確には
4月29日)に、本ブログで書いた内容の

全体改訂

である。同10月6日に書いた内容と、

整合していない

からである。
 今回問題にする遺物は、鶴岡八幡宮境内出土駒
として知られる5枚の出土将棋駒についてである。
このうち、成り奔王鳳凰が著名だが、不成り香車
と歩兵3枚の、計5枚ある。なお一部に、成り飛
車金将とされる駒が一枚有るが、本ブログでは、
成り楷書一文字金の”汚れた歩兵駒”としている。
今回は最後の駒ではなくて、不成り歩兵駒という
別の歩兵駒を問題にする。
 天童の将棋駒と全国遺跡出土駒(天童市将棋資
料館本または、天童本)では、鳳凰駒が第1番、
成り極崩し”と”歩兵駒が第2番、
不成り香(車)が第3番、

今回問題にする、不成り歩兵駒が第4番、

成り楷書一文字金の汚れた歩兵駒が第5番と、そ
れぞれの遺物は、ナンバリングされている。
 web上に第4番の不成り歩兵駒は、写真が公
開されている。
”誠堂たより”
エイチティティピー://makotodo.sblo.jp/
 このサイトの写真は、片面だけの紹介なので私
は以前不満を述べている。ただし、不幸中の幸い
な事に、天童本第4番の不成り歩兵駒については、
web掲載をしたとみられる誠堂の担当者が

裏表を間違えたらしく、何も書いていない裏面と
みられる側が、たまたま写真で紹介され、成書等
でお目にかかれない貴重な画像

となっている。

鶴岡八幡宮不成歩兵.gif

ちなみに、実物とスケッチは対応するが、しばし
ば写真の掲載の時点で、別の画像と間違えられる
事がしばしば起こっているというトラブルで、こ
の将棋駒5枚組、全10画像写真は、本ブログ内
ではよく知られている。

御研究の際、写真の模様によく注意されたい。

 ともあれ、今回は鶴岡八幡宮境内出土の不成り
歩兵駒を問題とする。発掘年は1983年、
成立年代は13世紀中ごろから14世紀初頭との
旨が、集成鎌倉の墨書(鎌倉考古学研急所、西暦
2017)にある。そこで5番歩兵の様子から、

本ブログでは、(著者が偽書)麒麟抄の成立時代
で、14世紀の新安沖沈没船出土駒の頃成立

と考えている。普通唱導集大将棋の成立の30年
ほど後だろうか。何れにしても鎌倉考古学研究所
の層序(層位)の推定精度は、他所の発掘報告書
のそれに比べて、驚くほど高い。
 本ブログの西暦2019年4月末時点での見解
では、不成り歩兵を使う大将棋ゲームは、ほんの
一時期のはずだとしている。

新安沖沈没船出土駒使用の平安小将棋持駒有タイ
プを、現日本将棋型成り規則(敵陣自由成り)と
本ブログが決め付けていた時点の考察のため

である。
 しかるに、西暦2019年10月の頭に、
旦代難点が、中将棋型の敵陣一発成りにすると、
軽減される事を見出し、前記を否定している。
 だから、本ブログの西暦2019年4月末時点
での

見解は間違い

と見るべきである。
 その後、
普通唱導集大将棋(1290年)型のあたりで、
平安小将棋の成り金駒が、大将棋の高級駒の管理
にとって、紛らわしく嫌われ、

ルールを曲げて、酔象、鳳凰、麒麟の3種類以外
は、不成りにして、駒が大将棋と小将棋とで混ざ
らないように、京都の貴族はしたのではないか

という旨の議論をした。その見解が今の所、

安土桃山時代の水無瀬兼成の、後期大将棋のルー
ル選択に関する態度から見ても正しい疑いが濃い

と、本ブログでは見る。
水無瀬の時代には、日本将棋で銀将、桂馬、香車、
歩兵の成り金の字体を完全分離する方式が確立し、
銀将の成り金の崩しが軽く、楷書に近づくように
変化した。そのため、

鎌倉時代中期への先祖返りが必要になった

のであろう。”仲人不行傍。立聖目内成酔象”の
心意は、ぼんやりとした頭の中で、言い訳が必要
になったと認識されたので、水無瀬兼成にして、
散漫に書かしめたのではないのか。
 以上の経緯から、

大将棋の歩兵は、西暦1300年頃にいったん、
道具の管理上の都合で、不成りになった疑いが濃
く、比較的継続的であり一次的でない

と、本ブログでは現時点で

見解を替える。

 そうした上で、西暦1323年頃の神奈川県の
鎌倉鶴岡八幡宮に於いて、
大将棋に関して、成り金歩兵バージョンと、
不成り歩兵バージョンが、移行期であるため両方
指されていて、棋士の好みによって、どちらにも
対応しなければならなかった。そのため、

旧バージョン用として、番号4不成り歩兵駒が、
予備に用意されていた

とみなす。今回論じた歩兵駒の字体が雑なのは、
余り使わなかった為かもしれない。ただし金成り
駒の増加は、いっきには行かなかったと見られる。
というのは、第3番の香車が不成りである事から
判る。詳細謎だが。通常は、大将棋用には前記で
言うと、遺物番号5番の
”成り楷書一字金汚れた歩兵駒(本ブログ独自解
釈)”が、恐らくだが、使用されたのではないか。
歩の頭しか残っていないが、字のしっかりした、
良い駒だった疑いが第5番駒については濃いと、
本ブログでは独自に見ている。
 なお、言うまでも無く、平安小将棋9升目、
持駒不使用(中央官庁バージョン・当時)用には、
遺物番号2番の今風の”と金成り歩兵(著者が偽
書の麒麟抄が発祥起源)”を使用したのであろう。
 以上のように本ブログでは、以降再解釈する事
と致ししたい。(2021/02/28)

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