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橿原考古学研究所清水康ニ論文に穴開き象棋駒(長さん)

さいきんweb上で、”明治大学大学院文学
研究科 2016年 博士学位請求論文”
(たぶん、次が題で)”東アジア盤上遊戯史
研究”というpdfファイルを発見した。
「東アジア」と「盤上遊戯史」、「遊戯史」
と「研究」の間に、それぞれ、”の”は無い。
”の”が無いと、副題のように見えるから、
日本語は不思議だ。それはともかくとして。
 3年前のものだが『庶民の遊戯である将棋』
考・・で始まる論文とは、一部に内容の転記
があるかもしれないが、別物だった。著者は、
言うまでも無く、将棋史では著名な、
橿原考古学研究所の清水康ニ氏である。
 内容を読み、最初の方で気がついたのが、
表題の中国大陸での、シャンチー出土駒の、
”穴”である。結論を言うと、清水氏の

”貨幣と対応する”と言う指摘は、見事

という他は無いと私も思う。
 どうやら宋代前後の中国人は、青銅製の
シャンチー駒を、貴金属製の高価な駒と、
見立てていたようだ。
 これは清水氏の表現のように不思議で無く
て、北宋期には、晩唐の時代の

玄怪録の時代の記憶がまだ鮮明で、中国の
新興シャンチーを、黄金駒の雲南宝応将棋に
見立てていた

からだというのが、本ブログの見方である。
 以上が結論だが、ではもう少し説明する。
 シャンチー駒は、本来円筒形であり、穴が
空いていないが、遊戯場の跡よりも中国では、

宝を隠した秘密の穴のような所で、出土する

との旨を、清水康ニ氏は、表題の論文で指摘
している。
 囲碁のように、墓に埋葬した例はレアーケー
スで、

牛僧儒の玄怪録が、空想の話としても例外的

だとも、清水氏は言っている。正確な表現に
ついては、検索して、元のPDFで清水氏の
実際の言い回しを確認してもらうと、本ブロ
グとしては、ありがたい。
 以前に囲碁と天文道の関係を、本ブログで
は強調したが、将棋を墓に埋めないのが異常
なのではなくて、

囲碁が変なのであり、

天文道つまり、あの世の中国王朝と係わる
遊戯なので、死後と関係が有り、

他の物品とは違って、墓に選択的に埋める傾
向が有る

と見るのが、”本ブログの思考方式”である。
なお、牛僧儒の怪奇小説は、怪奇小説なので、
盤上遊戯という点で、同じカテゴリーなので、
物語上、将棋駒と盤を墓に埋めてみたのであ
ろう。
 それと違い、将棋には、雲南貴族の財宝の
イメージが、北宋の時代の中国には特に、
鮮明に残っていたのであろう。なお当時、
大理国は当然健在だ。
 特に加工が容易な、青銅製のシャンチー駒
は、使用中や使用後に、真ん中に穴を開けて、

貨幣に見立る

という事を、中国では盛んにしたようだ。更
に、戦乱が原因だろうと、清水氏は書いてい
るが、財宝を埋める秘密の穴に、本来なら、
金銭的価値が極端に、高いわけでもない、
将棋の駒を、財宝といっしょに、避難させた
という事らしい。
 日本では、玄怪録自体が、ずっと後世に、
後一条天皇の財宝駒とは、縁の無い庶民には
伝わったため、五角形駒が、代替だと言って
も、財宝よりも願掛け札に見えた。そのため
中国での象棋駒の、貨幣状物品への加工の習
慣は、日本ではマネられなかったようである。
 何れにしても、考古史料に普段から接して
いる研究者の目は、我々とは違うものだと、
清水氏の論題の論文を読んで、先ずは感心し
た。
 続いて、マークルック駒について、”兵が、
頭が平らで無いので、ひっくり返せない”と
いう話の後日に、何か判ったのかどうか。
この論文を、更に読み進める事にした。
(2019/11/04)

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