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アンコールトムの遊戯図のゲーム種は不明(長さん)

日本将棋の東南アジア起源説で、よく引き合い
に出される史料として、アンコール=トムの
遊戯図のレリーフがある。今回は、カンボジア
の遺跡のレリーフの遊戯図について、表現され
たゲーム系統を特定できるかどうかを議論する。
結論としては、

囲碁とも将棋(象棋)とも競争ゲームとも、
見ようと思えば見れるものが、3枚揃っており
断定して判定は困難とみられる

との見解を示す。
 史料は複数の成書、web上に載っているが、
清水康二氏の、明治大学学位請求論文”東アジ
ア盤上遊戯史研究”(2017)web上の、
PDF版には、3つ揃って載っていて、これが
最もよく判る。
 アンコール=トムの”ぼた餅状”の駒が3個
程度盤上に載っている”カンボジア古代将棋図”
が最も有名だが。私は清水氏の前記論文を見る
まで知らなかったが、他に、

アンコール=トムのレリーフにもう一枚と、
アンコール=ワットのレリーフに、盤上遊戯図
だと疑われるものが、もう一枚有る

ようだ。さっそく、大事な視点から述べる。
 すなわち”ぼた餅状駒”のアンコール=トム
レリーフのゲーマーは4人のようでもあり、
サイコロは記載が無いものの、競争ゲーム。
 他のアンコール=トムのレリーフのゲーマー
は2人で、盤に対して囲碁盤より接近して座っ
ているので、むしろこの、余り有名でないレリー
フである、別のアンコール=トム
”盤上遊戯レリーフ”の方が、将棋(中国シャ
ンチーが、伝わって、シットゥインが、交点置
きに、変化していたのかもしれない)を、指し
ているかもしれないように見える。ただし、遊
戯駒はかなり、小さく描かれているようであり、
盤升目は無理やり数えて見ると、一辺10升目
(11路)前後のような”感じ”もしている。
 それに対して。
アンコール=ワットのレリーフは、隠れている
のか、もともと遊戯図では無いのか、よくわか
らないが。人物は一人であり、この図から
ゲーム系統種を推定するのは、困難に見える。
 描かれている人物の顔が四角く、囲碁打ちの
貴族というイメージも、日本人の私にはする。
よって、以上の事から事実認識としては、

一般にカンボジアの古代将棋かとみられている
有名なレリーフは、4人制サイコロ競争ゲーム
かもしれず、

少なくとも直接指しているとみられる、2人の
人物の、背中にいる

残りの2人の人物の正体が謎

である。
 これらのレリーフが仮に12世紀末頃のもの
とすれば、カンボジアでは、囲碁もシャンチー
も、四人制サイコロゲームも、ようするに、全
部知られていたという、それだけの事なのかも
しれない。以上のように、アンコール遺跡の
レリーフについては、その

史料としての重さに関して、遊戯史界の多数派
意見の正しさに関して、個人的な疑いを多少抱
かざるを得ない状況。

以上のように、私には感じられる。(2020/04/03)

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