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茨城県石岡市東成井遺跡で飛鳥時代行鬼墨書甕(長さん)

以前本ブログでは、表題の茨城県の遺跡で、
”奉納の行事用”という意味での”行”の
字の使い方と見られ更に、同一発掘報告書
に類似機能の大型土器遺物が、計3個有っ
て、それぞれ「奉行」「三行」「行」と墨
書されていると見られる、出土遺物を紹介
した。
 今回は、4つ目として「行鬼」と書かれ
ている、同様の形の大型容器の墨書土器が
有り、酒に酔って”赤鬼”になったと考え
れば、酒の入れ物と推定出来るという紹介
を追加でする。
 遺物の写真はweb上に公開されており、
発掘報告書に載っている。発掘報告書が、
奈良文化財研究所発掘報告書データベース、
全国遺跡報告総覧に登録・公開されている。
pdfファイル名と発掘報告書名は、前に
紹介した以下のものである。
51806_1_茨城県石岡市東成井東原遺跡第2次.pdf
発掘報告書の名称は、以下の通りである。
石岡市埋蔵文化財調査報告書茨城県石岡市
東成井東原遺跡第2次、2015年、
茨城県・石岡市教育委員会・株式会社
地域文化財研究所。
 なお、東成井は大字名、東原は字名のよ
うであるが、地番は大字名の後に千番以降
の番号で表示される場所で出土。遺物が出
土したのは、2014年前後であるとの旨
が、末尾の抄録に書かれていたという事で
あった。
 遺物の成立年代については、住居群が、
飛鳥時代から、奈良時代末の間続く場所を
発掘したとの事であり、第4番目の遺物で
あり今回紹介する甕とされる土器は、第9
号住居跡で出土し、飛鳥時代の7世紀初頭~
前半成立と読取れる。
 遺物の写真は、発掘報告書の写真図版
15の最上段左上に在って、遺物番号住居
跡(SI)09の第21番とナンバリング
されている。

石岡市行鬼.gif

 上図のように、右の端に縦に続く模様に
よく見ると文字が隠れており、「行鬼」や
「行兎」のように見える。走兎は江戸時代
成立とみられる和将棋の駒に在るが、将棋
駒風であるものの、上記の「行鬼」や、
「行兎」という駒名は無いので、将棋とは
無関係であろう。他のこの回のこの遺跡で
発掘された、祭祀の行の共通の意図で書か
れた、第4の例なのであろう。
 行鬼の可能性が濃いように見え、酒に酔っ
て、鬼の錯乱を起こすので、飛鳥期にその
ように墨書されたのかもしれないと、私は
考える。甕に入れる液体が以前に本ブログ
で示したように、酒であるという淡い証拠
なのでは無いのだろうか。(2023/02/01)

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