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北周武王象棋を推定する(長さん)

チェス類の中国起源論者は、中国南北朝後期
の北周の武王が、象棋または象戯の考案者と
している。
 本ブログの管理人の認識では、増川宏一
が天文書の記載であり、将棋と無関係。
木村義徳が、何らかのゲームとの解釈である
と理解している。配下の賛美情報だけが残っ
ているようであり、将棋纂図部類抄の序文の
出だしのようなゲームとの印象である。私見
だが、

玉将、王の類は存在し無いゲーム

とみる。根拠は、その存在を匂わせる情報が
私には見当たらないからである。
 では、仮に将棋に近いものであるとしたら、
断片的情報から見て、どのような「ゲーム」
が、考えられるのかを以下に考察する。
 位置天文の知識が賛美される内容であり、

現代のチェスやシャンチーとは、ほぼ繋がら
ない

と私見する。
 もともと、駒の交点置きゲームでは無く、
升目に色を塗った15個の碁石を置いてした、
以下のようなゲームが考えられるのではない
だろうか。

北周武王将棋.gif

 この象戯ゲームは、横12升縦3升計36
升の盤を用いる。ただし、横方向に円筒形に
繋がっていて、左端に置かれた駒の利きは、
同一段の右端に及ぶ。交点置きだと、どちら
か端のラインが書けない。あるいはドーナツ
盤を使って、交点置きにするかだが。話を、
元の升目置きに戻すと、

3段なのは、各惑星の軌道が、黄道に対して、
多少は傾斜している事を表している。

 駒は15個あり、木星、火星、土星、金星、
水星ないし、木将、火将、土将、金将、水将
といった内容である。3枚づつあり、一例、
木将が茶色、火将が赤、土将が黒、金将が金、
水将が青等に色分けされていただろう。
 先手が木将と火将を2枚、土将を1枚元々
持ち、後手が金将と水将を2枚と土将を1枚
元々持ち、残りの木、火、土、金、水各1枚
ずつは、一例では上記のように初期配置する。
 このゲームの目的は、玉将を取る等では無
く、手持ちに

駒が全く無くなるか、木・火・土・金・水と
全部の種類の駒を集めるかの、どちらか

である。
 駒は、将棋型ゲームのように、動かし方が
決まっていて、

かなりチェス・シャンチーの類に近い

と、好意的に考えてみる事にする。
 水星と金星は、横に3升まで動かせ、移動
先に、別の駒が居れば取れる。
 木星は、横に2升まで移動出来、その他同。
 土星は、横に1升のみ移動出来、隣の駒が
取れる。
 火星は、横に3升と上下に1升動かせる。
火星の軌道傾斜が、回りの恒星が良く見える
夜中に衝となる為、地球から見て良く目立つ
事を反映している。
 将棋のように相手の升目に到達すると捕獲
出来るのは、惑星同士の会合で、異変が起こ
るという意味に、このゲーム場合は解釈する
と取れるだろう。つまり、

兵隊同士の死闘を、駒の捕獲でイメージして
い無いので、将棋の類とは違うと私は思う

という訳である。水無瀬兼成の情報はある意
味的を得ていて、将棋纂図部類抄の出だしか
らしても、異制庭訓往来の将棋の説明とは、
カテが違うと一目判るのも、そもそも事情が
ここに有るのではないのだろうかとも、私は
疑う。
 なお、話を元に戻して繰り返すが、端同士
が円筒形に繋がっており、端駒の利きが反対
側の升に及ぶ事に注意する必要がある。12
升目は言うまでも無く、1年の月の数:12
カ月に因んでいる。

将棋・チェスと違い、盤上の駒は先手・後手
どちらも全部動かせ、捕獲も出来る。

 このゲームは、日本将棋のように手持ちの
駒が打てる。取り込んだ駒も再度打てる。
ただし、金星と水星駒は、太陽から離れない
事を反映し別の金星、水星駒の居る位置から
見て、60°を超えた3升以上の横離隔の
位置に、打つ事が出来ないものとしよう。
 ゲームは、木星、火星、土星持ちの先手か
ら開始して、将棋類のように、駒を動かした
り、打ったりする事を繰り返す。
 どちらが必勝なのかは、ちょっと見には私
には良くわからない。

悪手を指さない限り、永久にゲームが終わら
無い

かもしれない。
 このゲームを臣下が見れば、武天王が天文
の基礎知識を持っている事は認め、今に残る
ような賛美を評すると、期待は出来るではと
私は考える。よって、北周武王は独立した
ゲームの考案者だったが、そのゲームが
チェス・シャンチーの種族には、残念ながら
繋がっているようには見えないと、私は、
やはり結論する。(2023/08/31)

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