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兵庫県神戸市住吉宮町遺跡で中世奔王墨書土器(長さん)

 今回は、阪神淡路大震災の為の復興宅地
建設の際の発掘調査のおりに出土した中世
の土師器土器に漢字で奉王のように読める
模様があるが、モノクロ写真であるものの、
奉と王とで濃さが異なり、現物の色相が、
1字目奉と2字目王とで、恐らく全く異な
る有彩色とみられる。よってこのケースは
偶然出来た模様である疑いが濃いという、
中世遺物例の紹介である。
 遺物の写真がweb上に公開されていて、
発掘報告書に載っている。発掘報告書が、
奈良文化財研究所発掘報告書データベース、
全国遺跡報告総覧に登録・公開されている。
 pdfファイル名は以下の通りである。
11288_1_住吉宮町遺跡第17次・第18次調査.pdf
 なお、全国遺跡報告総覧に登録する際、
本文冒頭部を第2pdfに、写真図版後半
から末尾を、第1pdfとして誤って
登録したようである。第2pdf冒頭に
よれば、発掘報告書の名称は以下の通りで
ある。
 住吉宮町遺跡(第17次・第18次調査)、
1998年、神戸市教育委員会。
 発掘報告書本文と写真図版の間に挿入
された抄録によると、遺跡の場所は、
兵庫県神戸市灘区7丁目4-13、
遺物が出土したのは西暦1995年前後
の事のようである。
 遺物の成立年代は、遺物はこの回の遺跡
の第2遺構面で出土したが、発掘報告書第
19ページ付近の記載によれば、14世紀
~15世紀の間の鎌倉末~室町前期の遺構
と見られているように、読み取れる。当時
から通常の住居地帯だったと、見られてい
るようである。
 遺物の写真は第1写真pdfの写真図版
第38:”一号溝出土遺物”の最上段右に
在り、第10スケッチ図の第18番との旨、
ナンバリングされているようである。私に
は、カワラケのようにも見えはっきりしな
い。発掘報告書によると、土師器の皿との
事である。

住吉宮町奔王.gif

 上図のように、写真の右に漢字で「奉」、
その左横に「王」と読めるような模様が
見える。
 しかしながらモノクロ写真で濃さが違い、
現物は、前記漢字状の模様で「奉」とその
左側の「王」とで、

色相が違う疑いが濃い。

 恐らくだが、この事は模様が偶然出来た
ものである事を示しているのではないか。
よって、この遺物は墨書土器では恐らく無
いだろうと、モノクロ写真を見た限りは私
は疑っている。2字有って尤もらしくても、
明度が大きく違う場合は、この写真例のよ
うに≪偶然模様≫と見た方が、少なくとも
安全ではあるのだろう。(2023/04/19)

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