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13世紀スペイン4人制四季チェスは古代ペルシャに無い(長さん)

今回は西暦1977年出版の増川宏一氏著書
ものと人間の文化史23-1”将棋”記載の
”古代~中世に掛けて、ペルシャの中部高原
で指されていた”とされる4人制四季チェス
はペルシャで指されていたという点に関して、

確かな情報が無い

ようだとの旨述べる。今回は、結論は以上な
ので、さっそく議論を開始する。
 同じ増川宏一氏の著書で、西暦2003年
に出版された、ものと人間の文化史”チェス”
に13世紀の”コーデックス・アルフォンソ”
の紹介があり、グランドアセドレフと見られ
る12×12升目、駒数48枚、兵段4段の
チェス型ゲームと、四季または世界または、
リツと見られる、今回議論している、兵が、
2方向へ動き、四人制チャトランガと異なり、
王、象、馬、城駒が、第1手が馬右置きで、
馬馬、城城対面式でかつ、2×2型で四隅に
大駒が置かれるゲームが載っている。
 結論を述べれば、
”将棋Ⅰ””チェス”西暦2000年出版の、
梅林勲氏、岡野伸氏共書の”世界の将棋”で、
4人制アセドレフとして載っているゲームは、
記載や図版を比べてみれば明らかなように、

全部同じもの

である。
 しかるに”チェス”と”世界の将棋”では、
これを中世ヨーロッパ、具体的にはスペイン
13世紀のゲームと紹介しているので、
元ネタが”コーデックス・アルフォンソ”で
あって同じである事が明らかだ。
 しかし”将棋Ⅰ”で四人制チャトランガが
インドで成立した11世紀の直ぐ後で、リツ、
四季または、チャトラングと表現されたゲー
ムが、

”ペルシャの中央高原で、古代から中世に成
立”していたという史料が確認できない。

たぶん、近年の成書を、西暦1977年時点
で増川氏は内容をコピーして将棋Ⅰに紹介し
たがその後、裏づけとなる史料が乏しいため、
”コーデックス・アルフォンソ”と抱き合わ
せでしか、この4人制チェスを紹介しなくなっ
たのだろう。ちなみに、このゲームは象駒が
シャンチー型なので、イスラムシャトランジ
の類である事は明らかだ。
 なお、将棋Ⅰで記載された、”ペルシャの
チャトラング”は、以前本ブログで述べた通
り、梅林勲氏、岡野伸氏の著作の世界の将棋
によれば、西洋チェス駒を用いて、ポーンが
最奥で相手初期配列駒に成り、初手の2手動
かしが無い等、少し変則的なルールで指す、
インドの現代チェスのチャトラングとしてし
か、紹介されていない。
 また、サイコロを使う点について、世界の
将棋で”リツ””四季””4人制アセドレフ”
には紹介が無いが、12升目48枚制の駒数
多数型象棋である、グランドアセドレフの方
で、”八面体のサイコロを使ってグランドア
セドレフを指す場合がある”との旨紹介があ
る。恐らくだが、情報の元々の出所は、同じ
コーデックス・アルフォンソであろう。
 だから想像するに、13世紀スペイン成立
の”コーデックス・アルフォンソ”には、
”リツ””四季”または”4人制アセドレフ”
は、ヨーロッパの中世に於いて、こちらは立
方体のサイコロを使って、インドの四人制チャ
トランガのようにプレーする場合も有って、
その紹介も載っているのだろう、そしてその
孫引きを、西暦1977年著作の将棋Ⅰで、
著者の増川宏一氏は多分書いたのであろう。
 よって、目下の所本ブログでは、中世ヨー
ロッパ、13世紀のスペインで指されていた、

4人制アセドレフ、四季、リツと称するゲー
ムは、13世紀頃までには、当時はイスラム
圏から脱したばかりのスペインには、少なく
とも存在したゲームである。

以上のように、控えめに表現して置くように
したいと私は考えている。(2020/05/15)

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