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福島県玉川村江平遺跡で奈良時代王囲み口土器(長さん)

以前述べた通り、遺物の捜索結果、国の俗字
である、王を口で囲った書体は、弥生時代に
日本に伝来していたと”國とのハイブリッド
書体”墨書土器の存在から推定した。しかし、
鎌倉時代より前に、この俗字そのものが日本
に有ったという証拠を、本ブログの管理人は、
これまで掴んでいなかった。しかるに最近、
福島空港のある、福島県玉川村の江平遺跡で、
西暦2000年前後に、土器に、該俗字が書
かれているように見える遺物が、発掘されて
いるのを写真で発見した。下のようなもので
ある。

福島空港囲み王.gif

 この遺物の写真はweb上に公開されて
いるpdf形式の発掘報告書内に載ってお
り、pdfファイルは、以下の名称である。
それは奈良文化財研究所発掘報告書データ
ベース全国遺跡報告総覧に登録されている。
23635_3_福島空港・あぶくま南道路遺跡発掘調査報告12.pdf
発掘報告書の名称は、以下の通りである。
福島県文化財調査報告書第394集
福島空港・あぶくま南道路遺跡発掘調査報告12
江平遺跡、福島県教育委員会・
財団法人福島県文化振興事業団・
福島県土木事務所、2002年。
 遺跡の場所は以下の通りという事である。
福島県石川郡玉川村小平字江平と、その他。
 成立年代は、年号の入った木簡が共出土し
ていて、奈良時代だと考えられている。
前記遺物の写真は、報告書の297ページの、
”70~72・74号住居跡出土遺物”の
右下隅に記載されている土器である。表面に

白抜きで王と記載された墨書が有るように私
には見える。

遺物番号は、第197-3番とナンバリング
されているようである。発掘報告書では、

付着したススのヨゴレ

と見ている旨が、本文中に記載されているよ
うである。
 このケースは上記の写真から、字が更に墨
に埋もれていて、発掘報告書の見解は否定で
きないだろう。ただし遺物を見ると、囲み王
の上部に”大”という字も読め、

大国と、国を治める大王とをかけて表現

していると見るのが、自然なように私には見
える。だから一応この遺物の墨(すす)から、

奈良時代に国の俗字として、王を口で囲んだ
ような字が有ったと、ほぼ見て良い

のではないだろうか。
 以上の事から、以前に紹介した例に加えて
この遺物からも、王を口で囲んだような国の
俗字は、少なくとも奈良時代には既に有って、

奈良時代には国の字の俗字として、日本でも
自然な書体と見られていた。

以上のように言える可能性が、かなり高いの
ではないかと、私は考えるのである。
(2021/04/11)

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