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岩手県山田町沢田Ⅲ遺跡で現字”国”縄文土器(長さん)

本ブログでは以前に、笹原宏之氏著書の
”日本の漢字”、岩波新書、2006を紹介し、
”鎌倉時代中期成立の平家物語の写本に、字体
の「国」が書かれている等、
平安時代末期までに教育漢字の「国」の書体が
成立していた”とされると紹介した。ところが、
最近奈良文化財研究所発掘報告書データベース、
全国遺跡報告総覧に登録されて、web上で見
る事が出来るようになった、pdfファイルの
発掘報告書に、漢字そのものが未伝来とみられ
る縄文時代成立の土器に、”国”の字のように
見える模様を見出したので、以下に紹介する。
なお発掘報告書に、墨書の指摘は特に無い。
 遺跡は岩手県下閉伊郡山田町山田にある、
表題の岩手県山田町沢田Ⅲ遺跡であり、
発掘されたのは2013年~2020年の間、
報告書は今年発行され、全国遺跡報告総覧には、
2021年の4月20日に登録され、pdfで
公開されたようである。pdfファイル名は、
以下の通り。
90839_7_沢田Ⅲ遺跡発掘調査報告書.pdf

王だけ本物であり、枠のクニガマエと、玉の点
は、たまたまの焦げ目の模様のよう。だが、王
の字の日本伝来が、相当に早い事を示している

とみられる。
 発掘報告書の名称は以下の通り。
岩手県文化振興事業団埋蔵文化財調査報告書第722集
沢田Ⅲ遺跡発掘調査報告書、2021、
国土交通省東北地方整備局三陸国道事務所・
(公財)岩手県文化振興事業団。
 写真が、この発掘報告書pdfの、188
ページ、写真図版188 縄文土器(24)
の右下に、遺物番号第311番とナンバリング
されて載っている。

沢田遺跡国.gif

土器のほぼ、真ん中の位置に、「国」のように
私には見える、玉を口で囲んだような模様が有
る。第1pdfの
90839_1_沢田Ⅲ遺跡発掘調査報告書.pdf
の、目次を見る限り、縄文時代の土器を紹介し
ているように見える。中国で漢字が誕生してい
た頃には、教育漢字の国は、伝来していたこと
に、国と書いた墨書だと解釈すればそうなりそ
うだ。
 平家物語の伝承者である琵琶法師が、”国”
を作成したという類の、本ブログの論は、今の
解釈が正しいとすると完全に吹き飛んでしまう。
 そこで、上記の図を良く見ると、国の枠の口
は、左右の一部だけ、確かに縦筋が有るようで
あるが、それだけである。つまり枠の横筋であ
る水平のラインは、全体の模様の一部が、枠に
溶け込んでいるだけである。

クニカマエは、たまたま存在する破線型の縦筋
の存在によって、そう見えるだけであり人為的
な墨書ではなくて、自然に出来た焦げ目である
疑いがあると見られる。

 また、王ではなく玉になるように見える点は、

王より薄く、たまたまの焦げ目の斑

のように思える。ただし、

王までニセモノにするのも不自然

だ。
 縄文時代のものとされているように、私には
認識されるこの遺物の、王の模様に限っては、

王という文字が日本に伝来したのが、相当に早
かった事を、示している

のではないか。成立時代の推定に、かなりのバ
ラツキが有るのだろう。この土器の国の字に見
える模様は、王のほかは焦げ目であり、結論と
して偶然の模様であるように私には思える。
(2021/04/29)

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